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死体の山で蝿に囲まれていた少女は、“蝿の王女”と呼ばれながら人間になることを学んでいる  作者: ベルモット
第3章 使われる力

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選んだと言えるか

 拠点に戻ると、男は奥へ連れて行かれた。


 私は外に残る。

 朝の光が強くなっている。


 肩が、じわりと熱い。


 弾は浅くかすめただけだ。

 血はにじんでいない。


「見せろ」


 タケトシの声。


 私は黙って肩を向ける。


 指が触れる。


「浅い」


 それだけ言う。


 私は頷く。


「撃たれた理由は分かるか」


 問いは静かだった。


 私は、少し考える。


 踏み込みが遅れた。


 距離を詰める前に、迷った。


「……加減を考えました」


 それが本当だ。


 止めることを優先した。

 終わらせるより先に。


「迷ったか」


「はい」


 タケトシは、わずかに頷く。


「悪くない」


 私は顔を上げる。


「だが、迷いは隙になる」


 言葉は淡々としている。


 責めてはいない。


「選ぶなら、最後まで選べ」


 私は、息を吐く。


 殺さないと決めたなら、

 撃たれる覚悟も必要だということか。


「今回は俺が条件を出した」


 タケトシが言う。


「だが、引き金を引かせたのはお前の判断だ」


 胸が、少しだけ軋む。


 私は視線を受け止める。


「選んだと言えるか」


 断らなかった。


 動いた。


 だが、それだけでは足りない。


「……まだ」


 タケトシは頷く。


「なら、次だ」


 短い言葉。


 私は自分の肩に触れる。


 痛みは小さい。


 だが、遅れた一瞬は確かにあった。


 加減。


 それは優しさではない。


 決めることだ。


 私は、ゆっくり息を吸う。


 同じ動きでも、

 選んでいるかどうかで意味は変わる。

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