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孤島で“鬼”になった少女は、文明世界で人の心を取り戻す ――Princess of the Flies――  作者: ベルモット
第2章 役に立つ力

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気配

 昼前、廊下が少し騒がしくなった。


 足音が増える。扉の開く音が続く。私は、自分の部屋でそれを聞いていた。


 呼ばれてはいない。


 でも、空気が違う。


 私は、ベッドから立ち上がった。


 廊下に出ると、人が集まっている。数人の大人が、低い声で話していた。


 私の姿に気づくと、声が止まる。


 誰も、何も言わない。


 それだけで、分かってしまう。


 話題に、なっている。


 私は、視線を外した。


 通り過ぎようとしたとき、後ろから声が落ちてくる。


「……あの子の件だ」


 直接じゃない。


 私に向けた言葉でもない。


 でも、聞こえる距離だった。


「落ち着いてきた」


「外傷もない」


 短い報告。


 私は、足を止めなかった。


「今日は、もう大丈夫だろう」


 誰かが言う。


 その言い方が、少し引っかかる。


 今日は。


 私は、指先を握る。


 部屋に戻る。


 扉を閉める。


 静かになる。


 私は、椅子に腰を下ろした。


 窓の外は、いつもと同じだ。


 でも、昨日とは違う。


 何かが、私のいないところで動いている。


 私は、それに触れていない。


 まだ。


 タケトシの姿は、見えなかった。


 それが、少しだけ救いだった。


 私は、深く息を吸う。


 次は、まだ来ていない。


 そう、思うことにした。


 思わないと、身体が先に動いてしまいそうだった。

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