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101/102

100.それぞれの生活と幸せと孤独

夜道を歩く。

人通りは少ないけれど、街灯が煌々と暗闇を照らしていて、

車の往来もそこまでは少なくない時間。

左手には幾つもの団地が立ち並んでいる。

遮光カーテンではない部屋の明かりは外に漏れ出して、

そこここで生活が動いている。


私も生活を動かしている1人ではあるのだけど、

生活を幸せと感じているんだろうか、

それとも孤独と感じているのだろうか。


重い荷物が肩に食い込むものだから、

私は反対の肩にトートバッグの紐をかけ直した。

既に電気を消して眠っている部屋もあるだろう。

時刻は午後10時を過ぎていた。


もう40にもなろうというのに、

父親は夜道に気をつけろと心配そうで、

なんともないとケラケラと笑って見せたが、

少しだけ夜道が「怖い」と思うのは、近年の「変化」のためだろうか。


テレビ画面やスマホ画面に流れてくる事件や事故の情報。

その度に、いつどこで何が起きるかわからないと、

心がざわつくようになった。

明日が我が身なのかもしれないと、考えることさえある。


だから楽しく生きた者が勝ちなのだと思うようになった。

好きなものを我慢して、嫌なことを我慢して、

結局私は孤独になって、幸せも楽しみも欠落した人形になった。

やっとのことで、人並みの生活を送れるようになったけれど、

また崩落するのではないかと毎日怯えている。


だからこそ、楽しく生きるのだと。我慢することを辞めた。

太るから食べないなんて無理なダイエットは辞めて、

ほしいと思ったものを買うようになった。

可愛いけれどもう収納場所がないと買うのを諦めることを辞めて、

部屋の断捨離を始めて新しい好きなものを集めるようになった。


結婚もしてない

子供もいない

親がいなくなった先のことを考えると

尚更私は世界で孤独になりそうだけど

それはあくまで未来の話。きっとまだまだ先のこと。


辛いからと死にたいと願ったことも、

このまま落ちたら楽になれるかもと涙したことも、

一歩前に進めば全てが終わると思ったことも、

馬鹿げていると思うのだけれど、当時の私はそんなことばかり考えていた。


人それぞれの、部屋毎の、家毎の生活が幸せなのか孤独なのかはわからないけど、

今を生きるべきだと感じた午後10時。明日から本格的な夏がくるらしい。


今を生きる人達へ。

私は、一度死んでしまったけれど。

大丈夫、きっと生きていけるから。

世の中そんなに悪くはないよ。

100作目になりました。ここまで読んでいただいてありがとうございます!

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