ぽかぽかクマくん
クマくんは、ヘビさんとわかれると
ガマガエルくんの家へいそぎました。
あたりは、まっくらです。
夜はまだあけません。
クマくんの目は、なみだでいっぱいになりました。
「……どこへいったの? ノネズミくん」
キラキラまたたく夜空の星が
つめたく悲しく、ひかります。
ポロポロとなみだが、こぼれました。
いいえ、悲しんでなど、いられません。
クマくんは、ノネズミくんをさがさなくてはなりません。
ノネズミくんは、小さいのです。
寒さに、こごえているかもしれないのです。
クマくんは、グッと手をにぎりしめました。
「かならず、みつけるから、まっててね……!」
目のまえに、ガマガエルくんの家がみえてきました。
クマくんは、かけだします。
ドアのまえで、クマくんは、おおごえでさけびました。
「ガマガエルくん! ガマガエルくん! たいへんなんだ!」
ガマガエルくんは、すぐに出てきてくれました。
「ふあああぁ。……あぁ、クマくんかい? いったいこんな夜更けに、どうしたんだい?」
グルグルとノドがなりました。
「たいへんなんだ! ノネズミくんがいないんだ……」
ぐすぐすと、鼻をならしながら、
クマくんは、いいました。
「なんだって!? それはたいへんだ! まってな! いますぐいくからな!」
いって、ガマガエルくんも、部屋のおくに、きえました。
ドタドタドタと大きな、ものおとがして、
ガマガエルくんは、すぐにきてくれました。
クマくんは、なきそうになりました。
「すぐ、みつけてやるからな。ぼくは雪をみて、あしあとがないか、さがしてみる。きみは大きいから、みるのがむずかしいだろ? そのかわり、このさきのウサギさんのうちへいって、応援をたのんできてほしいんだ」
「わかった!」
クマくんのこころが、すこしだけ、ポカポカとあたたかくなりました。
これで、ノネズミくんもすぐに、みつかることでしょう。
クマくんは、ウサギさんの家にいそぎます。
ドンドンドンドン!!
「ウサギさん! ウサギさん! たいへんなんだ!」
ウサギさんも、すぐにおきてくれました。
「まぁ、クマくん。どうしたの?」
ウサギさんは、ながい耳をゆらしながら、出てきました。
「ノネズミくんが、ノネズミくんが……」
ノネズミくんがいなくなって、
もうずいぶんと時間がたっています。
クマくんの大きな手ですら、
すでに、かじかんでいて、うごかないのです。
ノネズミくんは、無事なのでしょうか?
「ノネズミくんが、どうしたの?」
ウサギさんが、たずねます。
クマくんは、あわてて説明をしました。
「そうなのね……」
ちらりとクマくんをみながら、ウサギさんはつづけます。
「タヌキおやじの家へは、いったかしら?」
「ううん。……まだいってない」
「そう。だったら、みんなをよんで、タヌキおやじの家にあつまりましょう」
ウサギさんの提案に、
クマくんは首をかしげます。
それをみて、ウサギさんがいいました。
「やみくもにさがしても、みつからないのなら、みんなで協力して、さがすべきだとおもうの」
クマくんは、もっともだとおもいました。
「わかった! みんなをよんで、おやじのところに集まるよ!」
クマくんは、ウサギさんとわかれて、
みんなを呼びにいきました。
タヌキおやじの家へつくと、
部屋のなかは、すでにポカポカとあたたかでした。
おいしそうなスープの、においもします。
ウサギさんはすでにきていて、
台所でなにやら作っているようです。
「おうおう。きたか。きたか」
タヌキおやじは、暖炉のまえの揺りイスにすわって、
本をよんでいました。
みんながきたのに気づくと、
老眼鏡を頭のうえにおしあげ、
もっていた本を、テーブルのうえにおきました。
「さあさあ、外は寒かったろう? 火に、あたるといい」
そういいながら、暖炉のそばを、ゆずってくれました。
みんなは、わらわらと暖炉のそばに、ちかづきます。
「ほらほら、クマくんも……」
「ぼくは……ぼくはいいんです……」
なきそうなこえを、あげました。
「……」
タヌキおやじは、なにかをいいかけましたが、
ちょうどそこへウサギさんが、
あたたかなスープをもってきました。
コトリ、コトリ……とテーブルにスープがならびます。
ひとつ。ふたつ。みっつ。よっつ。いつつ。むっつ……。
「さあ、すわって、すわって……」
しかし、クマくんはふるふると頭をふります。
あたたかな湯気がスープからたちのぼり、
とてもいい、においがしています。
ウサギさんは、こまったように、耳をパタパタさせました。
ガマガエルくんは、グエグエとノドをならしています。
ヘビさんは、暖炉のまえで、
ゴロゴロ、ゴロゴロと転がっています。
タヌキおやじは、揺りイスをゆすりながら、
くすりとわらいました。
「すわらないのかい……?」
「ぼくは、ぼくは……」
いいながら、クマくんの目から、なみだがあふれます。
ポタポタ、ポタポタポタ……。
ウサギさんが、そっとその背中をなでました。
タヌキおやじは、ふっとため息をつきますと、
クマくんに、ことばをかけました。
「さがしものは、ちかくにあるはずなんだよ」
「?」
クマくんは、きょとんとします。
「それなら質問だ」
タヌキおやじは、スープをひとくち飲みました。
「ノネズミくんは、さいしょはどこにいたんだい?」
「……ぼくの家だよ。冬をいっしょにすごそうって、ぼくといっしょにいたんだ」
クマくんが、ぐずぐずと鼻をならします。
「部屋のなかは、さがしたかい?」
「ぜんぶ。ぜんぶ、さがしたよ。ベッドのしたも台所も、真綿にまぎれてるかもって、ぜんぶひっくり返して、さがしたよ……っ」
だけど、いないんだ……と、クマくんは、したをむきます。
「ふむふむ。それなら、外へいったのかな?」
するとこんどは、ヘビさんとガマガエルくんが、
口をそろえていいました。
「「それはない!」」
「それは……どうしてだい?」
タヌキおやじが、うれしそうにたずねます。
「だって、雪のうえはまっさらで、なんのあしあとも、ついていなかったから」
ガマガエルくんがいいました。
「わたしもみたけれど、なかったわ」
地を這う、わたしが、みおとすわけない! と、
ヘビさんは、いきごみます。
「ふむふむ。それならノネズミくんは、外へはいっていないのだろう……」
「そんなはずない!」
クマくんは、おおごえをあげました。
「ぼくは、ぼくは、ちゃんとさがしたんだ! どこにもいなかったんだ!!」
クマくんのこえは、ふるえています。
「……となると、外に出たんだろうな」
タヌキおやじがいいました。
なにをいってるのか、わかりません。
──外へ出ていないのに、
外へ出た……?
「「「…………」」」
みんなが、だまりこみます。
ウサギさんが、ずずずっとスープを飲みました。
「わたしは、気になることが、あるのです……」
「!?」
いっせいに、みんながウサギさんを、みました。
ノネズミくんの、てがかりになるものは、
どんな小さなことでも、たいせつでした。
みんなの視線をあびて、
ウサギさんはドキドキしました。
ポツリポツリとたずねます。
「えっと。……クマくんは、きょうは片方だけ、耳あてをしているのですか?」
ハッとしてクマくんは、じぶんの耳をさわりました。
左耳のなかに、なにかがつまっています。
おそるおそる、とりだしてみました。
「あ……っ!!」
かじかんだ、手のひらのなかにあるものをみて、
ポロポロ、ポロポロと、またなみだが、あふれてきました。
「ノネズミくん……っ」
クマくんの耳から、
ふわふわの真っ白いノネズミくんが、
ころがり出てきたのです。
クマくんの大きな手のひらにころがって、
ノネズミくんは、モソモソとうごきました。
「う……うーん。もう、春なの?」
かわいらしい小さな鼻が、
ひくひくとうごきました。
「あ、あぁ、……ノネズミくん。ノネズミくん……」
小さな、ふわふわの毛並みにほおずりして、
クマくんは大きな鼻面をちかづけました。
「クマくん? クマくん、なの? くすぐったいよ……!」
ふふふと、ノネズミくんが、わらいます。
「ノネズミくんだ。ノネズミくんのにおいがする……!」
ノネズミくんからは、やさしくあまい、
いいにおいがしました。
クマくんは、幸せなきもちで、いっぱいになりました。
──ドドドドーン!!
どこかで、花火があがりました。
みんなは、びっくりして、窓の外をのぞきます。
「うわっ! 花火だ!」
みんなは、おおよろこびです。
ははははは。タヌキおやじが、わらいました。
「あけましておめでとう! きょうは、お正月なんだ」
「お正月?」
ヘビさんがたずねます。
「そう! 一年のはじまりの、お正月! いつもは、ひとりで祝っていだが、きょうは、にぎやかだ」
にこにこと、とてもうれしそうです。
タヌキおやじの家がポカポカだったわけ。
そうか、お正月を祝うために、おきていたのか。
みんなは納得します。
「せっかく、みんなであつまったんだ。新年のお祝いをしよう」
さあて、どれどれ……とタヌキおやじは、
テーブルのうえをみまわします。
「んんー。これはこまった……」
おやじが、こまったかおで、うなりはじめます。
「どうしたの? タヌキおやじ?」
ノネズミくんが、首をかしげました。
「ふむ。……それがな」
いいながら、みんなをみまわします。
「だれか、わしの眼鏡をしらんかね……?」
「「「「「……………………」」」」」
小さな小さな森のおく。
かわいい動物たちの新年会。
タヌキおやじの眼鏡をみつけたひとは、
そっとおしえてくださいね。
しんしんと雪が降ってきました。
ノネズミくんのような、ふわふわの綿雪。
雪にまぎれて、願います。
どうか、どうか、今年一年が
みなさまにとって、幸せな一年で
ありますように。
健康で、みんなと笑いあえる、
一年で、ありますように。
これで、小さなノネズミと
大きなクマのおはなしは、おしまい。
ふわふわ粉雪をみたら、
2匹のことを、
おもいだしてくれると、うれしいです。
*A HAPPY NEW YEAR*
今年一年が、あなたにとって、
素晴らしい年でありますように♡
2021ねん1がつ1にち0じ ゆかり
明けましておめでとうございますm(_ _)m
今年も、よろしくお願いいたします☆
さてさて、ノネズミくん。
まさかの、クマくんのお耳のなかにおりましたw
どうやら、寒かったようです。
けれど、一緒に寝たら危ないって、本人はちゃあんと
知ってますw
あったかくて、危なくないところ。。。
耳のなかしかないじゃないですか……!
なので、仲良く一緒に寝て貰いました。
『みてみん』で年賀状描いて
アップしようかなーとか、思ってたんですけど、
ちょうど、童話イベ開催中なので、のっかりましたw
宇宙さん、雪さん、あけおめ(o´ω`)ノ
今年もめげずに、付き合ってねwww