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「ブレトは食べないの?」
ニコニコとディードが食べる姿を見つめているだけの婚約者へ声を掛けると、ブレトは自身の分のケーキをフォークで掬ってディードの前へと差し出した。
思わず反射的に頬張る。
「おいしい! ありがとう、ブレト」
「どういたしまして。良ければ残りも食べますか?」
その提案はとても魅力的だったから、ディードはちょっと悩んでから自身のフォークを持つ手を伸ばした。
ケーキを掬って、ブレトへと差し出す。
「あーん。ほら、口開けて」
「?」
「すっごく美味しかったから。ブレトにもちゃんと食べて欲しい。僕はちゃんと新しいパティシエの腕は知ってる。でもこのケーキはこれまでで一番美味しかったから。ブレトも食べて?」
上目遣いに見上げられて、ブレトの頬が赤く染まる。 おずおずと口を開いて食べさせて貰った。
「……おいしい」
幸せを嚙みしめるようにケーキを味わうブレトに、ディードは惚けた様子で呟いた。
「知らなかった。ケーキって好きな人に食べさせて貰うとよりおいしくなるだけじゃなくって、 好きな人に食べさせて嬉しそうにして貰うだけで、自分が食べてなくても幸せな味がするんだねぇ」
にっこりと微笑み合う。その時間が、とても幸せで大切だ。
その後はお互いに食べさせ合って、「おいしいね」と笑い合う。
普段のディードなら食べないミントのケーキ。スパイスの効いた辛みのあるケーキ。
甘いばかりではない刺激が口の中に広がるのは新鮮で、ブレトが好きな味を知ることも新鮮で、心がちょっと甘くて幸せだった。
「僕ね、今のこの時間が、だいすきだよ」
ありがとうと呟いて、愛しい人の頬へ、手を伸ばした。
こちら。自分でも書いた記憶がなかったんですが()
えっくす君(Twitterランド)で検索したら出てきたディード君とブレトさんの会話です。
こんな時間を過ごしているといいなーと思ったので、残しておきます。
最後までお付き合いありがとうございました!
また次の連載(ゴルドちゃんじゃなくてもw)にお付き合い頂けたら嬉しいです♡




