始業式 後編
水無さんは「みずなさん」と読みます。ややこしい読みですみません。
校長先生の話が長い。校長先生の話が長いというのは、よくあることだけど、もうかれこれ10分以上話している。さっき紹介された担任の先生も心なしかちょっと目が曇ってきている。立って聞いてるから誰か倒れるんじゃないかと不安になる。正直、これがあと10分続いたら僕は貧血を起こす自信がある。
「―――――それでは、話を終わります。礼。」
ドサッ
その瞬間、案の定誰かが倒れた音がした。
「水無さん大丈夫?」
「うん,,,木崎くんと佐々木くん,,,だよね。急に倒れてごめん,,,」
「とんでもない!俺もそろそろ倒れる奴居るんじゃないか?ってワクワク,,,ゴホン!ヒヤヒヤしてたからな!」
「佐々木君,,,本音は曝け出すか隠すかどっちかにしよっか。」
ツッコミつつ、水無さんを見る。顔色が悪い。
「ねえ、一回保健室に行ってきたらどう?顔色すごく悪いよ」
水無さんは頷いて、先生に言ってから、保健室に向かった。
先生が教壇に立ち、水無さんに注目していたみんながいそいそと席につく。
「いやあ、不幸な事故だった。さて、ではみんな。気を取り直して自己紹介でもしようか。」
という先生の言葉に
「あ、じゃあ始めに先生!お願いします!」
「私も!やっぱこういうときに先生が出ないと!」
「うんうん。」
と、いつの間にか先生が自己紹介をする空気になっていた。うちのクラス,,,強い!
「えー,,,先生的にはみんなが自己紹介したあとでバーンと出たかったんだけどなぁー。まあいい。えーっと、俺の名前は石川草介。国語科の担当だから、よろしく。」
と先生が無難な自己紹介をするや否や、
「はーい!先生!お若いですけど年齢は!?」
「恋人はいますか!?」
「好きな女優は!?」
「結婚して下さい!」
などと様々な言葉が飛ぶ。
「あー、分かった分かった。質問な。とりあえず皆手挙げてから喋れ」
一斉に手が上がる。みんな積極的だなぁー。僕もなんとなく、差し障りのない質問くらいはしておいた方がいいかな?と思って、周りを見渡したとき、斜め後ろの席に携帯電話が置きっぱなしになっているのを見つけた。誰のものだろうか。みんな質問に夢中で気づいていないようなので、とりあえず回収。なんとなく、水無さんが置いていったのではないかと考える。
先生の話(もとい質問攻め)が終わったらしい。携帯に気を取られてよく聞いていなかったが、いい先生なのだということは分かった。
今度は、皆が順々に発表していく。これは、みんなと関わることもあるから、しっかり聞いておこう。
数人が自己紹介を終えて僕の順番が回ってきた。出席番号順に発表していたので、「木崎」という名字では、ちょうど場が盛り上がり始めた辺りで発表が出来る。
「僕は木崎涼です。市田坂中から来ました。木崎なり涼なり、好きな方で読んでください。渾名も別に構いません。趣味は読書、彼女はいません!」
なんとなく、これまでに恋人がいるかどうかをみんなノリで言っていたので僕も言っておいた。数人から結婚して下さい!などの声が上がる。主に男子から,,,
僕のルックスは普通。なんとも言えない。メガネをかけているのは、コンタクトを今日忘れてきたからだ。かわいい顔と良く言われるのがなんとも気に食わない。
僕の自己紹介が終わって、次に立ち上がったのは体格のいい、ジャイアンのような男子だった。
「俺は橋田毅。呼び名は何でもいいが、中学のときにはジャイアンと呼ばれていた。」
ドンピシャで当たる。本当。柔道部にコウイウ人がいてもおかしくない。
「中学時代は柔道部に入っていた。よろしく頼む。」
マジかよ,,,
みんなの自己紹介が終わり、早くも帰宅時間になる。
「木崎くん、じゃあな!また明日!」
「木崎くんまた明日ねー」
「ああ、また明日!」
佐々木君と斉藤さんを見送り、帰ろうと駅に向かう。すると、カバンの中で携帯のバイブが,,,
「しまった!」
自己紹介に気を取られて、おそらく水無さんのものと思われる携帯を先生に突き出すのを忘れてた!とりあえず、何も見なかった事に,,,とは行かないので、そっと明日忘れないようカバンの奥にしまいこんだ。
短くてすみません(定期)




