始業式 前編
きみOいを読んで、悲恋に手を出しました。困惑しています。反省していません。
高校が始まって一年が経った。初めは不安だったけれど、普通に友達が出来て、普通に高校生して、普通に充実した高校生活を送っていた。これは、そんな普通の日々に突如降り立った女の子と僕の関わりを書き残しておいたもの。
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4月13日
みんな話しかけてくれて助かった〜。友達も早くできそうだし、不安だったけれどそこまで心配することもないかなー。ああ、あと倒れた女子の携帯を持ったままになってる。どうしよう。
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目覚まし時計がけたたましく鳴って、一回叩き損ねて2回目で止めた。外はあいにくの雨で、2階の窓からは多くの人は傘をさして歩いているのが見えた。これはとてもじゃないけど清々しい朝とは言えないなぁ、などと思いながらおもむろに通学カバンに教材を詰め込む。散らかったままの机に昨日読んだ漫画が積み重なっているのが目に入って、ちょっとテンションが下がった。
今日は始業式。正直友達ができるのか。中学の時にそれほど友達が多くなかった俺からしてみたらすごく不安だ。僕の通う学校は共学の高校だから、せめて、人並みに友達と彼女を作って高校生活をエンジョイしたい!
玄関先でいってきます。と誰もいない家に向かって呼びかける。母さんは早くに仕事に行っていて、父さんはいない。母子家庭というやつだ。父さんが死んじゃったのは物心がつく前の事で、覚えていない。写真の中の父はとても優しそうな顔をしている。事故死だったらしい。他にも父さんの事をいろいろ聞こうとしたことはあったのだが、母さんがとても悲しそうな顔をするからやめておいた。こんなに普通で、むしろ他より少しばかり豊かな暮らしができているということは、父さんは本当に僕と母さんにたくさんの物を残しておいてくれたのだろう。
傘を差す。靴が濡れないように気をつけながら駅へと向かう。高校までは乗り換えなしの一本で通え、駅も家の近くにある。結構恵まれた立地をしているなぁと、自分でも思う。
電車は混んでおらず、でも空いてもなく、一つ二つと空いている席が見える。その一つに腰掛け、今やっているソーシャルゲームのログインボーナスだけ受け取って閉じた。
駅に付いた。僕と同じ制服を着た人がポツポツ他の車両からも降りてきた。高校は駅から出て3分くらいで、歩いていくにつれてみんながなんだかソワソワしている。僕も少し緊張してきた。そこそこきらびやかな校門をくぐって入ると、お城のような、とは行かなくても、大学のような立派な校舎が!僕はきれい好きだから、この校舎の美しさは学校を選ぶ一つの理由だった。クラス分けの紙が貼ってあって、僕のいる学科は4つにクラスが分かれていたけど、当然ながら知っている名前は一つも無かった。
教室の扉を開けると半分くらいはもう来ていて、席に座っている。ちょっとざわついていて、緊張した空気は流れていない。少し安心した。席につくと、隣の男子が話しかけてきた。
「なあ、今来たそこのメガネ系男子、ちょっといいかい?」
「ああ、何?」
「俺は佐々木健一。北村中から来たんだ。よろしくな!」
「こちらこそ!僕は木崎涼。市田坂中から。」
「へえー、結構近いんだ。」
普通に自己紹介を交わした。しかしこいつ,,,イケメンだ!よくクラスのカーストトップにいるような!ちょっと茶色に染めた髪に、緩く着ている指定ベストが良く似合っている。こんなに話しかけやすい見た目してたら、みんなの第一印象も良いんだろうな。
「へえー、木崎くんは市田坂から来たんだー!私は斎藤桃。よろしくね!」
「ああ、よろしく!」
話しかけてきたのは隣の女子。明るい系っぽい。ポニーテールで茶髪をまとめていて、こちらもゆるっとした感じの雰囲気を受ける。結構かわいい。
みんなに話しかけられて少し明るくなれた僕は他の人にも話しかけてみようと後ろを振り返った。
斜め後ろの席の子に目が止まる。綺麗な子だと思った。それ以上に表現が浮かんでこないような。色素の薄い目には悲しみが宿っているような気がした。気のせいかもしれないけど。
「ねえ、そこの子。ちょっといい?」
彼女は読んでいた本をそっと置いてこっちを見た。
「僕は木崎涼。君は?」
彼女は驚いたような様子で、そして少し微笑んで。
「私は水無咲。よろしく。」
と、言葉少なにそう言って本に向き直った。
その目にはまた悲しそうな色が混ざっていた。
短いけど許して下され,,,




