103話 革命前夜5
リザたちの元にユルゲンたちが尋ねてくる。もう夜で非常識だということはユルゲンも分かっていた。本来ならもっと早く伝えるべきだった。たとて答えが望まないものだったとしても。
ユルゲン「奴隷解放団のみなさんに話があります。」
リザ「……何ですか?」
このタイミングで彼女は何の話か大方想像していた。小国とはいえ大統領が直接尋ねてくることが非常事態。
ユルゲン「明日、革命軍によってテレビ局が襲撃されます。レ……彼らは演説を行いそれをテレビで流すつもりです。民間人は既に避難はさせてますが少なからず犠牲者は出ます。」
リザ「その犠牲者は襲撃時のみだけですか?」
演説がどういった内容なのかは分からない。テロ行為を扇動したりする内容なら犠牲は増え続ける。
ユルゲン「そこまでは分かりません。ですが演説を阻止できれば被害は少なくて済みます。最善は尽くしてはいますが軍、警察、オートマタに戦闘経験のある者は少数で戦力になるとは思えません。傭兵部隊もいますがそのほとんども素人。それに比べて革命軍は奴隷解放軍の仲間にして攻めてきます。対抗策はあなた方、奴隷解放団しかないのです。」
彼とマッテオは土下座までしてお願いした。土下座で国が救えるのなら安いものだと彼は思っていた。国を、民を守らずしての大統領に意味などない。
リザ「顔を上げてください。私たちにも守らせてください。奴隷制度のないこの素晴らしい国はこの世界に必ず必要です。」
ユルゲン「本当にありがとうございます。」
協力を取り付けることができた彼の目には涙がこぼれていた。国を守れることができてとても嬉しかった。
だけど彼らが見ている国、国民は一部でしかないことを自覚してすらいなかった。守ろうとしている者は一握り。この国の社会から弾き出されたものの存在を知らなかった。




