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国外追放されたマッドサイエンティスト、何を血迷ったか世直しを始めてしまう~狂科学者のオリジナル武器無双~  作者: 日和崎よしな
第2章 剣聖ホーリスと風の射手アルチェの救国

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第88話 宣戦布告②

 里長は胸倉をつかまれても平然としていた。


 それどころか、アルチェを見下ろす目は深海の底を思わせるほど冷たかった。


「それとこれとは別問題だ。里の掟は絶対なのだ。それよりも、最大の重罪人はおまえだぞ、アルチェ」


 里長がアルチェの手首をつかみ、腕に青筋を立てた。


 アルチェの顔は苦痛にゆがみ、手は里長のシャツを離した。


 里長が言うには、里の侵入者への対処法は決まっているらしい。


 1回目は警告。

 2回目はひたいに侵入者の刻印。

 3回目は問答無用で攻撃。


 それが里の掟なのだという。


 ただ、里から追放された者の場合は内容が少し変わってくる。


 追放者に警告はない。

 1回目で刻印、2回目で鞭打ちの刑となる。


「アルチェ、おまえは自身の侵入に加え、部外者をふたりも里に入れた大罪人だ。ひたいに刻印を打ち、そのうえで鞭打ち2倍刑に処す」


 里長が命令すると、エルフの男が両脇からアルチェを拘束して連れていく。


「いやっ、離して!」


 男たちの力は強く、アルチェが抵抗してもつかまれた腕はビクともしない。


「アルチェ!」


 男女ふたり組が声をあげた。


 誰よりも心配そうな顔をするこのふたりがアルチェの両親なのだとベントにもわかった。


 ふたりは里長ににらまれると、うつむいて沈黙するしかなかった。


 アルチェの連行者たちは足を止めていたが、里長がアゴで促すとふたたび進みだした。


 だがそのとき、突如としてアルチェは解放された。両脇のふたりの男がバタリとその場に倒れたのだ。


「なにっ!? 貴様か!」


 里長が視線を向けた先で、ベントがアルチェのいる方向に銃を向けていた。


 銃口がパラボラアンテナ状になっている世界にひとつだけの銃。小型GESである。


「大切な仲間に手を出されては私も黙っているわけにはいきません」


 ベントはそう言ってから小型GESを下ろした。


 里長に向けた顔に感情は乗せていない。

 いつものポーカーフェイスである。


「部外者が里の問題に口を出すな!」


 里長が眉間にしわを寄せてベントに詰め寄った。


 ベントは視線を鋭くして対抗する。


「あなたはアルチェさんを里から追放したんでしょう? だったらアルチェさんは私のほうがよっぽど身内です。私の身内に手を出すことは私が許しません」


「身内の問題ではない。里の問題だ! ウィルド王国にも法はあるだろう? 長耳族の里にもある。国家のルールの問題だ」


 エルフ国問題。


 ベントはカリナーリをはじめ、アルチェや情報屋のフォルマンにも訊いてエルフの里についての情報を集めていた。


 エルフの里はウィルド王国の領土内にあり、辺境伯領の一地域である。


 だがそれはあくまでウィルド王国の認識であり、エルフの里はあくまで独立国家であると主張している。


 要するに、エルフの里に里外の者が入ることは、彼らにとっては不法入国されたという認識なのだ。


 里は土地も人口も小さい。

 部外者の侵入を認めて、もしその者たちに侵略でもされたら、エルフはあっという間に消えてしまうだろう。


 そう考えると、エルフの里の厳格な掟も、里長がそれを固持するのも、納得できないわけではない。


 だが、ベントからすればエルフの里の方針は間違っている。


 エルフたちがいくら里の掟を守ろうとも意味がない。


 もし里の侵略を企てる者がいるとしたら、それは里外の者なのだから。


「はぁ……」


 ベントは小さくため息をつくと、ディーアに耳打ちしてから里長の正面に立った。


「わかりました。私はエルフの里をひとつの国家と認めたうえで、ここに宣戦布告します!」

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