第24話 路地裏での出来事
二郎は大きな兄を背負い、走る。
真希との戦闘もあり、体を負傷している。
至る所に傷があり、走る度に血が少しずつ地面に垂れていく。
「兄貴、大丈夫だ、俺が必ず病院に連れて行くから、それまで耐えてくれ」
一郎は体中から血を流しており、特に心臓部は見るも無残なものとなっている。
兄が1%でも生きている可能性があるのならと、二郎は走り続ける。
『こっちの道の方が早い』と思った二郎は暗い路地裏へと踏み込む。
「もう助かりませんよ」
二郎の目の前に暗闇の中から、両腕を後ろに組んだ一人の小柄な男が現れる。
その男を見た瞬間、二郎は額に汗をかく。
二郎はこの男を知っている。
しかし、今、二郎の頭の中にあるのは、兄を早く助けることだけだった。
「どけ!今、お前を相手にしている時間はない」
「君にはなくても、僕にはあります」
「兄貴、少し待ってくれ」
二郎は血だらけの一郎をそっと床に置く。
「君ら二人でも勝てませんか、あの兄弟は。正確に言えば『金星君』ですが」
「黙れ。今はそんなことどうでもいい。早く兄貴を」
「関係なくないですね。君たちが彼らに負けたせいで、僕たちは拠点を一つ失いました。アームドをうまく行使できない者にこれ以上、利用価値はありません」
男の表情が強張る。
二郎は構わず、ナイフを男の首を目掛けて切り込んだ。
「だから、どけーーーーーー!!!」
二郎は完璧に男の首を捉えた。捉えていた。
しかし、首を跳ねられたのは二郎の方だった。
二郎の首が床に転がる。体は倒れこむ。
これが黄泉兄弟の最後となった。
「はぁ~。僕の見込み違いでしたか。見る目がないですねぇ~困ったものです」
男は二郎を気にすることなく、一郎の右腕に手を置いた。
すると、『ガキン』という音とも徐々に腕から離れ、小さな箱の状態に戻った。
男はそれを持ち再びため息をつく。
「一郎君はなかなかに強かったのですが残念です。これは次の者に託すとしますか」
男は両腕を後ろに組み、暗闇へと消えていった。




