юDiary 0/2/25 『ゴブリンチャイルドとの死闘』 God:Sandman
юDiary 0/2/25 『ゴブリンチャイルドとの死闘』 God:Sandman
創世暦元年 2月25日
GOD:Sandman 惑星:Aldodehd
惑星アルデヒドにてゴブリンチャイルド四種とパーティ対戦を試みました。
下記、その際のプレイログに解説を交えてお送りします。
■『ゴブリンチャイルドとの死闘』オープニング
荒廃とした砂の大地に立つ神殿。
そこは冒険者にとって神聖な場所である。
誰にも汚されてはならない。だが悪戯好きなゴブリンの子供達が神殿に迷い込んだようだ。
ここは一つお灸をすえてやらねばならないだろう。
プレイ目的:ゴブリンチャイルドの討伐
討伐対象:
○ Green Goblin Child Cleric
HP 26 物理防御 18 物理攻撃 18 魔法防御 31 魔法攻撃 26 素早さ 20
○ Green Goblin Child Hunter
HP 30 物理防御 22 物理攻撃 22 魔法防御 20 魔法攻撃 15 素早さ 29
○ Green Goblin Child Magician
HP 24 物理防御 13 物理攻撃 11 魔法防御 24 魔法攻撃 33 素早さ 18
○ Green Goblin Child Soldier
HP 36 物理防御 26 物理攻撃 33 魔法防御 13 魔法攻撃 9 素早さ 22
参加プレイヤー
○Sandman
HP 33 物理防御 13 物理攻撃 32 魔法防御 13 魔法攻撃 10 素早さ 25
武器:サパラ(PA8)
防具:ビオレット一式(PD3,MD3) HP+3,素早さ+3
○Woldia
HP 48 物理防御 26 物理攻撃 22 魔法防御 26 魔法攻撃 10 素早さ 6
武器:クレイモア(PA12,SPD-4)
防具:ブロンズ一式(PD4,MD4) HP+8
○Exe
HP 35 物理防御 18 物理攻撃 25 魔法防御 14 魔法攻撃 10 素早さ 29
武器:キャットクロー(PA5,SPD+9)
防具:シャメロ一式(PD5,MD1)) HP+5,重量無視,火属性被D+50%
○Rain
HP 28 物理防御 18 物理攻撃 12 魔法防御 18 魔法攻撃 25 素早さ 20
武器:エナメルロッド(PA2,MA+5,再詠唱短縮-20%)
防具:ビオレット一式(PD3,MD3) HP+3,素早さ+3
戦術:
Woldiaを盾としてSandmanが僧侶タイプを攻撃,Exeが魔道師タイプを攻撃する。Rainは遠距離から敵弱点である水属性魔法で戦士タイプを攻撃。ハンターは最後に残す。Woldiaはプロボークで四匹のターゲットを常に集めながら、傷付いたらRainの癒しの水で回復を受ける。前衛二人が敵の後衛を倒したら、まず先に戦士を協力して片付ける。最後にハンターを全員で攻撃する。
■プレイング開始
曇天が世界を覆う。
砂嵐に塗れた四人は外界の荒れ模様にうんざりとしながら神殿の中へと滑り込む。
大地の精霊が怒れる理由を四人は知っていた。他でもない。本来訪れてはならない迷い子が四匹、彼らの存在が精霊の逆鱗に触れたのだろう。
神殿内の柱にはそこら中に鈍器を打ち付けられた破損とそして落書きの跡が見られる。
サンドマンはうんざりとしたように口を開きそして仲間達に向かって呼びかけた。
「悪いな、こんな用件に付き合わせて」
「なに、気にすることはない。好きでやってる事だ」
ウォルディアの返答は優しくそして頼もしいほどに力強い。
「わたしはまず魔術師を狙うんでいいのよね?」
パーティーに唯一交じった女は鋭い眼光を神殿内に配っていた。
「だけど気をつけなきゃ、君は魔術師の攻撃をくらったらひとたまりもないからね。ターゲットはウォルディアがうまく引きつけてくれることを祈るしかない」
細身の術士レインの言葉の重圧にウォルディアは今一度戦術を繰り返しシミュレーションしていた。
だが、間も無く戦いの火蓋は切って落とされることになる。
願ってもない、戦いを望んだゴブリンの子供達が向こうから現れたのだ。
まずは盾が前に出る。
ウォルディアの動きを見計らっていたサンドマンの頬をふと掠める一線。
ゴブリンの狩人が放った矢弾を前に思わず頭に昇った血液を必死に押さえる。右手で頬を押さえながらサンドマンはじっと敵の動きに目を配っていた。
既に陣営の盾は敵の中央に斬り込んでいる。プロボークの挑発効果は使用者を中心に円状に広がる。
その効果範囲は半径五メートルにも及ばない。だからこそ、敵陣営に斬り込む必要があった。
ウォルディアのプロボークを受けたゴブリンの子供達は一斉にターゲットを切り替える。
まるで、集団のいじめのようによってたかってウォルディアに集り始める。
「ウォルディア、大丈夫か!」
「なに、問題は無い。ただ何点か痛い攻撃は混じっているようだ」
敵戦士の振り回す片手斧、そして魔術師が放つストーンブリッツ。
ウォルディアがダメージを受けるソースはこの二点しかない。
「何、すぐに片付けてやるさ」
飛び出したイグゼが一直線に敵の魔術師に殴り掛る。
事は予定通りに進行している。ならばとサンドマンは自らの役割を理解していた。
敵の回復源である僧侶を潰す。
小さなゴブリン達の前に面々が立ち塞がるとそこから火花が散り始める。
サンドマンの一撃によって苦悶を浮かべたゴブリンチャイルドのHPバーが勢い良く減少を始め、半分以下までに一気に低下する。攻撃力と素早さに特化したサンドマンの一撃はクレリックにとって致命傷になる。計算通りだった。
そして、自己回復をしようと錫杖を振り上げたクレリックに止めの一撃を加えようとしたその時だった。再び視界に飛び込んだ矢弾がサンドマンの太腿を捉える。
ここに予想外の動きをするアウトサイダーが一匹紛れ込んでいた。
ゴブリンチャイルドハンター、狩人タイプである。
「狩人タイプが自由に動き回ってる。ウォルディア、もう一度プロボークを!」
「ダメだ、敵がばらけ過ぎている。危険な戦士と魔術師を優先するしかない」
目を離した隙に敵は自己回復を終えていた。
縦横無尽に立ち回る狩人は再びサンドマンに凶矢をヒットさせる。その一撃は重い。
先ほどのダメージと合わせて既に体力の半分が削られている。対して敵二人の体力は全快状態。
そのとき、ちょうどイグゼが敵の魔術師の討伐を終えたようだった。
だが魔法の一撃を受けたのか、体力は大きく減少している。回復に一時的にレインが彼女の元へと駆け寄っていた。
ウォルディアは敵戦士の強力な攻撃を一身に受け止めている。手は離せない。
考えられる手は一つ。イグゼが回復するまで僧侶と狩人の二匹を相手に持ち堪えるしかない。
悩めるサンドマンは必死の思いで狩人の矢弾の回避に努める。
だが、素早さに勝る狩人の攻撃をかわすことは容易ではない。
突き刺さる矢弾、目まぐるしい敵のスピード攻撃にサンドマンは限界を感じていた。
そしてあと一撃でサンドマンの命は奪われる。
「こいつは予想外だ。アウトサイダーが紛れ込んでいるとは思わなかった。俺の敗因はハンター、お前の存在を軽視した事か」
緑色の肌に薄笑みを浮かべるゴブリンチャイルド。
引かれる弦から矢弾が放たれるとサンドマンは覚悟を決めた。
敵の攻撃に飛び込んで矢弾の軌道すれすれでかわす。
ここで放つのは命を懸けた極限状態に放つサンドマンの必殺の一撃。
「エクスキューション」
一日一回と限られたアビリティスキル『エクスキューション』の効果はあらゆる箇所への攻撃をクリティカルヒットへと変える。
轟音と共にサンドマンの咆哮が木霊する。
それはまさに捨て身の一撃。だが効果は充分なものだった。
身を貫くような至高の一撃にハンターの身体は崩れ、光芒を立ち昇らせながら消える。
残されたゴブリンチャイルドの僧侶にはサンドマンの命を奪う術はない。
「大丈夫か、サンド」
ここで駆け寄ってきたイグゼが合流する。
「正直、生きた心地はしないな」
苦言を漏らしたサンドマンに微笑するイグゼ。
あっという間に形勢を逆転させた二人は僧侶を瞬殺すると、残された戦士の元へと向う。
「サンド、今回復を」
駆け寄ったレインからの癒しの水を受けながら、激闘を繰り広げるウォルディアの勇姿を見つめる。
厳かな大剣クレイモアを背負いながらも残念ながらその通常打撃は一切敵に通らない。
それは攻撃を受けて耐えるだけの一方的な死合である。
攻撃に加わったイグゼの攻撃でも一切戦士にダメージを与えることはできない。勿論それはサンドマンが加わったところで同じことだ。
奴を仕留めるにはレインの魔法攻撃が必要不可欠になる。
「レイン、回復はもういい。あいつを仕留めるんだ」
サンドマンの言葉に頷いたレインは残された勇猛な戦士と向き合うと、ウォルディアの影から呪文の詠唱を始める。
放つ魔法はウォータースフィアである。
エナメルロッドの先に渦巻いた水流が球を形作り、そして解き放たれる。
「これで終りにしよう」
レインの掛け声と共に轟音が再び鳴り響き水球が炸裂する。
残された戦士は攻撃を受けた今も仁王立ちをしていた。
「そんな効かないのか」
「いや、よく見てみろ」
声を荒げるサンドマンをウォルディアが諌める。
その言葉に続けるようにイグゼが優しく呟いた。
「彼はもう尽きているわ」
光芒を立ち昇らせながら消えていく。
苦しい戦いだった。思い返せば戦術的な後悔は尽きない。
予想外の敵の動きに翻弄される前にとれる対策はあったはずだった。
それにしても悪戯好きな子供達との格闘は大人の手にも余る代物だった。
大地の精霊はこれで怒りを鎮めてくれるだろうか。
そこには祈りを捧げる四人の姿があった。
砂嵐が止み、この地に再びの平安が訪れることをただ願う。