◎Playing 0/1/26 : 『アップルキートン』 God:Ark
創世暦元年 1月26日
サイト:World View ターゲット:Ark スタイル:Classic B
惑星:Nothern Light
働き蜂が日中忙しなく春を運んだ森では、静かな夜が訪れようとしている。
鳥々の囁きも虫の鳴き声もそこには無い。散策者の耳に届くのは草を踏みしめる一歩一歩。
一人で過ごす夜がこんなにも寂しいものだとは。真夜中の月は散策者を叙情的に、内面に閉じ込められた感情を引き出そうとする。
彼の言葉を探っているのか。だが悲しいかな。
幻想的な光景を前に返す上手い言葉など持ち合わせてはいない。ただ綺麗だとしか、それじゃ不満足かい?
こんな人恋しい夜には月とでも話したくなる。
木々の合間から空を見上げる散策者に向かって、欠けた月は絶えず光を注いでいた。
月明かりが差し込む静寂の森を抜けた先に、目的の果樹園がある。
果樹園とは名ばかりの裸の樹木が、所狭しと枝を重ねて寄り添っている。
晩春にでもなれば、美しい薄紅を交えた白の花が咲くのだろう。それを踏まえた上で、裸の枝々を眺めるならば、生命力を蓄える自然の逞しさと力強さは活動的なエネルギーを分け与えてくれる。
季節はあっという間に過ぎて行く。巡り行く四季の感動を味わうには、余りにも日常が忙しなくて。そんな意味では、人恋しい夜は散策者にとって一役を買ってくれた。
野晒しの林檎の樹の前では、高枝切りバサミを抱えた守り神が眠っている。
まるで大切な宝物を守るかのように、口元で結わいた橙色のスカーフをもごもごと動かしながら夢を見ていた。
散策者は想像する。心の中を覗き見るように。
果樹園にやってきた盗人を懲らしめる他愛もない懲悪劇。
高枝切りバサミを短い腕で必死に振り回して、ばっさばっさと切り捨てる。その可愛らしい寝顔はどこか誇らしげだった。
可愛らしい寝顔を撫でようと、一歩近付いたところで散策者は足を止める。
夢から目覚めさせてはいけない。誰しもが大切な宝物を秘めている。
小さな守り神が胸一杯に抱えた聖域の中に、土足で踏み込むような真似をしてはいけない。
また彼が起きている時に尋ねてみよう。訪れる季節を変えてみるのもいいかもしれない。その時はもしかしたら笑顔で案内してくれるだろうか。
果樹園に今背を向ける散策者。
結果として、やはり月夜の散歩は妄想を齎したのだ。




