表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/13

たったひとつの避けたいやりかた

あらすじ


本格的に『帰る』決心がついた俺は、方法を模索するのであった・・・

何も難しく考える必要はない。

方法を見つけ、元の世界に帰るだけだ。



とはいっても、ここは異世界・・・これは世界線の話。

宇宙の誕生に比べれば水素原子ほどに微々たるジャリ公の俺が、『確実な正解』なんて見つけられるはずもない。


となると、いくつか候補を考えて、ギャンブルをするしかないのだ。


後で後でとなあなあにしていれば、この世界である程度は幸せな人生を送れるだろう。

そして、もし戻れたとしても、俺は寿命を全うすることなく、どこかで首をくくって終わるだろう。

俺はそういう人間だし、あそこはそういう世界だ。




だが、俺は戻るのだ。

幸せになれないと分かっていながら戻るのだ。




戻る理由はただ一つ。


愛だ。


愛したものの為に戻るのだ。


スノゥを初め、名優・名監督たちが造り上げた、数々の名作。

俺を含む人々に夢を与え、人生を教え、感動を与えてくれた数多の作品たち。


愛した作品(もの)の為に戻る(死ぬ)のだ。


『俺』を創り上げた、ある意味『親』の元で死ねるなら本望だ。


幸せな人生を与えるエンタメの為に不幸せな人生を選ぶとは、何とも皮肉な話だが、

究極的なワガママ・・・自分の為に生きた人生だとも呼べなくもない。


これなら俺は笑顔で首をくくれるだろう!




さて、自己肯定により気持ちを高めたところで、候補を挙げていこう。



『夢オチ説』

実は「植物状態となった俺の見ていた夢でしたー!」という、小中学生が喜ぶような子供向けアニメの都市伝説にありがちなオチ。

この場合、戻るもクソもなくなってしまうので、考えないでおこう。



『入れ替わり説』

何かのきっかけで精神というか魂が入れ替わった説。

このテの場合、入れ替わったもう一人の俺と同じショックを与えることで、元に戻れるだろう。



『多重人格説』

元々この世界の人間なのだが、俺がそれに気づいていない説。

体を元の持ち主に返せば全部解決だが、俺は消える。



『偽の記憶説』

俺の今までの人生は全て国家かテロリストか宇宙人によって造られた、でっちあげの記憶だという説。

しかし、頭に電脳を積んだ記憶はないし、SFの見すぎだな。 没。




ない頭ではこのくらいしか思いつかないが、ここで俺はあることに気付く。



入れ替わり説しか、俺が助かる道はない!



なんてことだ!

説だ何だ考えたところで、選択の余地はなかったのだ!


いや、簡単にたどり着いた答えが正解でないなんて言いきれない。

難しく考えればいいってもんでもないのだ。


よし!『入れ替わり説』で考えていこう!





次に、『どういったショックが必要か』だ。


始まり方が「いつも通り目が覚めるとこの世界だった」以上、ヒントとしては役に立たない。


なら、何か「我が身に異変」が起こった時・・・

そういえば、こっちの世界に来てそれ程経ってない頃、意識を失ったことがあった。

だが、あれはセッションの後に何の前触れもなく意識を失い、すぐに復活している。


イマイチよくわからないが、この線で考えよう。


あの日、他に違和感はなかったか?

倒れたことと、陰キャが陽キャになったこと以外で・・・










部屋の中から歌声がこぼれる。


「くたばれおれさま あきらめな~ おまえに普通はありゃしない~」


・・・なんちゅう歌だ。こんなのが流行るとは世も末だな。












これだ!

いくら常識が違うとはいえ、こんな歌が流行るわけがない!


つまりアレは俺の幻聴!

ならば、あの歌はヒントのはずだ!




・・・よし!

検索しても、あんな歌詞の曲は存在しない!


当たりだ!!!




で、歌詞は何って?


「くたばれおれさま あきらめな」





・・・駄目じゃん。

つづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ