第57話 どうして彼女はその姿なのか ※イメージ有り
急に話し掛けてきた男、マサト=オオシマに警戒しつつも俺は気になったワードを問い掛けてみる。
戦闘になることは無いと思うが、ルナを何時でも庇えるよう前に出る。
「探偵? なんだそれは?」
「まぁ、依頼を受けて様々な調査をする仕事って所だな。今時間有るなら話を聞きに俺の事務所に来な。茶位なら出せるからよ」
どうしたものか、と考えていると意外な人物から話し掛けられる。
『おい、イズナ。そいつに付いていけ。私はその男に興味がある』
唐突にタマモが喋り、オオシマに付いていくよう促される。
タマモが他人に興味を持つなんて初めての事だったので、俺自身も興味が少し湧いた。
もしかしてタマモの封印関係なのかな?
「え? そうだなぁ……うーん……ルナ、気になるから行ってみても良い?」
「イズちゃんがそう言うなら私は大丈夫だよ」
ルナからも許可を貰い、オオシマに付いていく事となった。
道中殆ど喋る事もなく、王都を15分程度歩いた所、似た作りの建物の一角の前で立ち止まる。
「ここが事務所だ。中に入ってくれ」
オオシマに促されて入ると建物の中は明かりが点いていた。
そして少し離れた場所からパタパタと足音が聞こえ、人がやってくる。
「お帰りなさいマー君。お風呂にする? 私にする? それともわ・た・し♡?」
「ら、ライラぁ……タイミングが悪ぃよ……」
その女性は薄桃色の髪の上に同じ色の三角の髪飾りを着け、青い瞳を持ち白黒を基調としたドレスのような服を着ている。
確かユリ姉が話していた冥土服とか言う恐ろしいネーミングの服だ。
昔母さんから冥土とは、死んだら向かうとされる場所の事だと聞いた。
そしてこの格好をした冥土惨は何でも偉い人に仕える格好らしく、恐らく俺の想像だが、冥土の偉い人――――死神辺りに仕えているのだろう。
ユリ姉の家に泊まった時の寝る前にそんな感じの話されて、寝ぼけていた意識は一気に覚醒し、眠れなくなった思い出がある。
しかもそれを俺に着せようとしてきた時は流石に勘弁して貰った。
怖いからな。
「わお、マー君女の子二人もお持ち帰りぃ? ライラ、妬いちゃうなぁ」
「馬鹿言え、面白そうな二人を我が事務所にヘッドハンティングしようと連れてきたんだって」
冥土服を着た女性はうーんと呻いたと思ったら、次の瞬間には何かが閃いたような顔付きをする。
「連れてきた女の子が銀髪美人ちゃんにマスクドロリっ子ちゃんって、まだハーレム諦めて無かったんだねぇ?」
「滅茶苦茶人聞き悪いな! 俺がいつハーレムを目指した!?」
ルナがジト目でオオシマを見る。
ハーレムねぇ……俺は男なんだけど言うのは後で良いか。
「その、オーシマさん……?」
「断じて違うぞスタークさん! おい、ライラ、いい加減にしてくれよ」
「あ、自己紹介しないとね。どもども~ マー君のお嫁さんで、このペット探し業者のハートフィールド探偵事務所のボス&事務&営業のライラ=ハートフィールド、18歳だよ~ 因みにこのメイド服はマー君の趣味で着させられてるんだからね?」
嘘だろマサト……? 人の趣味にとやかく言わないけど、かなり引くぞ?
そんな縁起の悪い服を着させて喜ぶなんて変態って奴なんじゃねーのか?
「マイペースかよ! しかも半分位嘘じゃねーか!」
「そしてこちらが私のヒモで二枚目気取りの三枚目、ヘタレダメンズのマー君26歳でーす」
「俺に対しての当たりが少し強すぎねーか!? そんなに女の子を連れてきた事が嫌なのかよ!?」
「あはは、ジョーダンだよ、ジョーダン!」
なんだ冗談か……あ、これが尻に敷かれているって奴か!
ケラケラと楽しそうに笑う女性の三角の耳飾りが、笑いに連動するように動いている。
更に良く見ると冥土服の裏の腰辺りから、尻尾のようなものが垂れているのが見える。
「あれ、その耳本物?」
「んー? もしかして耳を見るのは初めてなのかな? ライラは猫獣人のママと人間のパパを持つハーフだよ……にゃん」
「今更取って付けたような語尾は止せよ。キャラ付けするには遅すぎるわ」
獣人……? 全く聞き覚えの無い単語が出てきたので、俺は首を傾げる。
そうするとルナが後ろからそっと耳打ちしてくる。
「魔人と違って変身能力を持たないけど人間とちょっと違うのが亜人で、獣人は獣の性質を持った種族だよ。アーネスト大陸では亜人の人は珍しいけどビトレイアル大陸では人口の半分は亜人なんだって」
「ありがとうルナ」
亜人か……なんか強そうだな。
獣の性質を持っているのなら俊敏性とか反射神経も良さそうだ。
人間より耳が良い生き物も多いと聞くし、全く知らない動き方や戦い方をするんだろうな~。
「じゃあとりあえず皆座って待っててね~ライラお茶を用意するから」
「俺も少しトイレ行ってくるから待っててくれ」
「分かったよ」
二人に言われた通り座って待っているとオオシマ、ライラさんの順番で戻って来て、お茶を配り終える。
そして俺が一番先に聞きたかった事を聞いてみる事にした。
「えーと、それでさっきの話は何処までが本当なの?」
「ほら見ろライラ。かっこ良くミステリアスに登場した分の貯金がお前のせいでパァだぜ?」
オオシマは情けなくお手上げと言った様子で拗ねてしまった。
※マサト=オオシマ
※ライラ=ハートフィールド




