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狐面は伊達じゃ無い!  作者: 遮二無二
3章 登場!謎の美少女狩人!
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第32話 戦・闘・決・意

アル視点です。

「アル、どうやらお前の魔法が効いていないようだな」


 ウィルさんはスピーノの状態を確認して状況を判断したようだで、僕が相手して無傷な理由を一瞬で分かったようだ。


「えぇ、素手で全て叩き落とされました。こんな事は初めてです。一体どうやって……」


「……魔人は膨大な魔力を秘めている上に、魔力操作も非常に卓越している。腕や拳に極限まで魔力を溜め込んで魔法を弾いたのだ。基本的に魔力は他人の魔力と反発する性質があるからな。それが魔法の効かない正体だ」


 まさかそんな魔法の攻略法が存在するとは知らなかった。

 少なくとも色んな所を旅して人間でやっている人は見たことがない。

 しかし何故ウィルさんは知っているのだろうか。

 ……魔力視の能力だろうか?


「ヘェ、随意と魔人に詳しいなァ! その通りだ人間! しかし、タネが分かっただけじゃあこのスピーノ様は殺せねェぞォ!」


「俺が隙を作る。体の先端である腕や足以外には極限に魔力は溜めにくい筈だ。胴体に撃ち込むか奴の防御を貫けるような威力の魔法を頼む」


 呪いのせいで魔法の威力はこれ以上は期待できない。

 ならば胴体を狙うのみだ。


「分かりました……前線はお願いします」

「ああ、任せろ」


 スピーノに向かって駆け出すウィルさん。

 ウィルさんも身長が180cm程とかなり高い部類に入るが、スピーノは3mと更に高い。

 魔力による肉体の強化は原則本人の肉体の強さに比例するのでウィルさんと言えど、まともな一撃を食らえば致命傷になりかねない。

 故に僕が決めなければウィルさんが危険に晒される。

 やれるか、いや、やるんだ! 僕は杖を握りしめてイメージをしながら魔力を籠める。

 相手を貫く炎の槍、しかし今の僕では呪いに邪魔をされて満足に発動出来ない。ならどうする?


「人間ごときが調子乗るンじゃねェ!」

「ふんっ!」


 スピーノの拳による連続攻撃を正面から受けずにいなし、避ける事を徹底して確実に防御していくウィルさん。

 時折攻撃を試みるが拳で同じように弾かれてしまう。

 スピーノの体勢が一瞬崩れた。

 やるなら今だ!


「ブリーズシュート!」

「ウゼェ!」


 しかし僕の放った魔法はあっさりと避けられてしまう。

 そして自分の思い通りに行かない事に苛ついたスピーノは一度後ろに跳躍し、距離を取る。


「チッ! テメェ等ムカつくンだよォ、死ねェ!」

「アル、盾を!」

「クレイウォールッ!」


 自分に付着していた石の破片を拾い集めてこちらに投げてくる。ただの石の破片と言えど魔人の多量の魔力で強化された物だ。

 危険な事には変わり無い。

 僕は土壁をウィルさんの前に張り、何とか初撃を防ぐ。

 しかし、至る所に穴が空いてぼろぼろになり、もう盾とは機能しなくなってしまった。


「チッ、この石コロじゃ力が籠められねェかァ。ならこれはどうだァ?」


 スピーノは地面を手で握りしめる。

 そして僕らに見せびらかすように手を広げた。

 広げた手の平に乗っている物はどう見てもただの土塊だ。

 しかし、スピーノはニタニタとしている。

 ウィルさんはその土塊を凝視している。魔力視を使っているのだろうか。


「こいつは効くぜェ~」

「アル、あの土塊には魔力がかなり籠められているようだ。もう一度盾を頼む!」

「分かりました!クレイウォール!」

「無駄ァ!」


 瞬間、ボッと音が聞こえた。

 これは土塊が空気を叩く音だろうか。

 そんな事を考えた次の瞬間、僕のクレイウォールは弾けて砕け散った。


「アルよ! 伏せろ!」

「ッッ!」


 僕はウィルさんに言われた通りに咄嗟に伏せる。

 ウィルさんは土塊をハルバードのの斧部の腹に手を添えて土塊の軌道を変えるように弾く、土塊の軌道を僅かにずらした。

 しかし土塊は勢いを緩めずに近くにあった民家の屋根をあっさりと剥いで行きながら空へと消えていく。

 もしもあれが人間に当たったら……それを考えるとゾッとしない。


「ヘェ、あれを防ぐかァ? おもしれェ」

「済まないアルよ、ハルバードの斧の部分が破損してしまった。次に同じものが来れば俺は村を守りきる事が出来ない。故に俺は接近戦を仕掛けて土塊を投げさせないようにする。だから、次は頼む」


 ウィルさんのハルバードの斧はひしゃげてもう使えなそうだ。

 もう武器として使えるのはハルバードの先端に着いている槍の部分だけだ。

 次こそ奴を倒さなければこの村はもう終わりだ。


「やります……皮肉にも奴の攻撃で魔法の威力を高める方法が一つ思い付きました」

「……お前が無理をしなくともイズナが居れば奴を力ずくで抑えれるのだがな。全く、何処に行ったのだか」

「確かに……そうですね」


 確かにそうかもしれません……イズナさんが居ればもっと楽に対処出来ていたのかもしれない。

 でも今は彼女は居ない。

 だったら誰がやるか? そう、僕だ。


「……でも、ここで僕が決めなくては男が廃りますから」


 それを聞いてウィルさん軽く表情を緩める。


「うむ。ならば行くぞ!」

「はい!」


 僕は決意する、スピーノを必ず倒し、罪の無いストラーナの村人を守ると。

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