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狐面は伊達じゃ無い!  作者: 遮二無二
3章 登場!謎の美少女狩人!
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第28話 魔・像・調・査

 ストラーナに着いた次の日の朝、俺らはティティを含めた四人で朝食を食べる。


 メニューは焼きたてのパンと付け合わせのプラムのジャム、そして野菜が入ったスープと言ったシンプルな物だ。

 街や村に入ると焼き立ての柔らかなパンが食べられるのは良いものだ。

 旅に出ている間は主食はパンはパンでも保存のきく堅焼きのパンになってしまう。

 このパンは保存を良くするために水分が殆ど飛ばされているのため驚くほど固く、俺の場合は身体強化【剛力】を掛けなければ噛みきれないほどだ。

 普通はスープに着けて柔らかくして食べるのが主流だが顎に良さそうなので普通に食べていたらアルにドン引きされたのは良い思い出だ。


 そしてなんと言ってもこの付け合わせのプラムのジャム。

 これがまたパンの美味しさを引き立てる。

 この村の特産であろうプラムで作ったジャムは甘酸っぱく、パンが進む進む。

 パンはお代わり自由との事でティティを除く俺ら三人はモリモリとパンを消費していった。


 因みに一番食べているのは呪いによって魔力消費が未だに激しいアルだ。

 小さな体の何処にそれだけパンが入るのか、ちょっとした怪奇現象である。


「今日は悪いけど別行動させて貰っても良いか? ちょっと調べたい事があるんだよ」


 俺は村の中心にある像の事を調べてみようと思い、別行動の許可を俺らが狩人パーティー【フルールドリス】リーダーのアルに求めてみる。


「ギルドに滞在報告したら今日は自由行動で良いですよ。2~3日程この村で休息と道具や食料の調達をしてから出発する予定にしましょうか」

「分かった、俺のワガママに付き合って貰ってすまないな」


 アルは首を横に降り気にする必要はないという身振りをする。


「イズイズ達と後数日は一緒に居れるんだね。ヨロシクね!」

「あぁ。短い間だが宜しくなティティ」

「もうそんな仲になったのか。早いな」


 ウィルがほんの少し驚いたように言う。

 昨日は俺が逆上せてダウンしたために夕食の時間がアルとウィルの二人とずれてしまった。

 だから俺とティティが仲良くなったのを知らないわけだ。


「ハーティさんも滞在報告を行いに僕らと一緒にギルドに向かいますか?」

「ううん! ボクはちょっと用が有るから後で行くね! また後でねイズイズ! 皆!」

「またなティティ」


 と、言う訳でティティと別れて俺達は対魔ギルドストラーナ支部まで来た。

 建物は小さく、中に入ってギルドの受付のおばさんに話を聞いてみると、ギルドメンバーも少ないと言われるアルストよりも人数が居ないみたいだ。

 本当に魔物が現れないのか。


「はいよ、これで滞在の登録は終わり。ギルドマスターが遠くに出てて居ないけど2~3日程ゆっくりしてっておくれよ。仕事したくても魔物が出ないからここでの仕事はほとんど雑用さ。それでも良ければ受けておくれよ! アハハ」

「はい、ありがとうございます」


 なんと言うか話好きのおばさんだった。

 受付嬢って綺麗なお姉さんだけでは無いんだな。


「ではここからは自由行動にしましょうか」

「おう」

「うむ」


 アルの合図で俺達は別れる。

 二人が何処に行くのか少し興味があるが今は像を見に行きたい。

 俺は村の中心に歩いてくと村の広場のような場所にたどり着く。

 中心には件の像が有ったが……


「でけぇ……」

『ふーん……』


 石で作られた男の像の高さは足元から頭の天辺までおよそ3m程。

 少なくとも普通の人間では見たことがないサイズだ。

 しかもやたらと精巧であるで、顔や体はまるで人がそのまま石になったように滑らかな曲線で再現されており、腰まで届くトゲトゲとした髪の一つ一つまで彫られている。

 腰の布巻を模した部分も風にたなびく様を完全に描写されている。

 確かに威圧感は凄いが魔物が近寄って来なくなるような類いの物ではなさそうだ。


「そこのお嬢ちゃん。その像に興味が有るのかい?」


 話しかけられたので後ろを振り向くとそこには白髪の生えた男の老人が立っていた。

 髪型がロングでサイドテールで、超ミニスカ和服を着てるから女の子と勘違いしたのだろう。

 ここはちゃんと俺が男だと訂正せねば。


『イズナ、悪いがそのまま話を聞いてくれ。話が拗れかねん』


 と、思っていたら思考を先読みしてたが如くタマモに牽制された。

 くっ、分かったよ……


「……魔物が寄り付かないって聞いて見に来た。おじいさんはこの像について何か知ってるか?」

「ほっほっほ。その像は古い魔人が封印されたとか石にされたとか伝説があるのぉ」

「石に……された……?」

『封印だと? おい、イズナ』

「あぁ、分かってる」


 石にされた、この言葉を聞いて俺は母さんを思い出す。

 鉄仮面からの攻撃を受けて母さんは体が石化していった。

 まさか同じような能力で? だったらこいつを調べれば母さんの石化を解くヒントに?

 そして封印、これはタマモに関係している。

 アルストでは封印や石化に関する情報が一切手に入らなかった。

 まさか旅に出て一発目でこの二つの情報が手に入るとはな。

 こうなったらやるべき事は一つのみ。

 俺は情報が手に入るかもしれない期待から口元がニヤリと歪む。


「おじいさん、その話もっと詳しく聞かせてくれ!」

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