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傾国

 交渉。

 それは大変な事柄であるとされている。


「仕方ないなぁ……お前にだけは特別だぞ?この王都で少し無茶する権利をあげよう。特別だぞ?」


「わーい!やった!ありがと!」


 だが、それはこの世界の男だと別の話。

 僕は自分の前にいる一人の女性へと抱き着く。


「おっほぉー!」


 ただそれだけで一人の女性は甲高い叫び声をあげ、満足げな表情を浮かべる。それでどんな交渉も終わりだ。


「何をしているのですかーっ!お母様!」


 僕が己の願いを貫き通す為、ある人物へと交渉していた真っ最中に一人の無粋な少女が入り込んでくる。


「な、ナターシャ!?」


 入り込んできたその人物はナターシャであり、そして、僕が交渉していた当の相手はこの国の王様その人であった。


「恥ずかしいわよ……!私は貴方の娘として!」


 この国の女王様。

 ターニャ・アルベルトへとナターシャは怒り心頭と言った表情で近づいていく。


「そこの少年は毒夫です!傾国の王子!毒そのもの!そんな彼を軽々しく懐に入れてはなりません!」


 そして、僕の危険性をいきなり叫び出す。


「大袈裟だなぁ。僕なんて人畜無害もいいところだよ?それをそんな悪魔のように……失礼だと思わない?」


「だっれがぁっ!」

 

 僕の言葉に対し、ナターシャは怒りの言葉を返してくる。


「自分がやってきたことを思い出してから口にしなさいよ!クラスの女子たちに取り入り、その家の隠し持ち


「ふふんっ」


「誇るな!『僕の魔力研究は順調そのものだよ?』よ!その時の貴方、とんでもない悪魔のような笑顔を浮かべていたわよ!」


「えぇ……そんなつもりはなかったんだけどなぁ?」


「何を世迷言……っ!というか、いい加減人の母から離れなさい」


「わーっ」


 女王陛下の膝の上に乗り、べったりとくっついていた僕はナターシャの手で引き剥がされる。


「ひっどぉい」


「何がよ!……本当に読めない男ね!無邪気に、子供ように遊び回っていたかと思えば、その次の瞬間には人を手玉にする悪魔のようになる……意味がわからないわ」


「むぅ」


 僕はただ、人よりも好奇心が強いだけだというのに。

 人生を楽しみたいという気持ちも合わせて。


「お母様も……何、甘やかしているよ。いい年の癖に」


「い、いい歳だからよぉ……私も老けてきて、夫たちも段々私に見向きもしなくなってて……そんな中で、若い男の子はちょっと毒薬というか」


「……はぁー」


 ナターシャの重たいため息が響く。


「……ババァがごめんなさぁい」


 そんなため息を前に、思わず女王陛下も涙目だ。


「たはは」


 この世界の女性は老化という現象を知らないのか?ってくらいみんな若々しい。

 四十、五十になってもお世辞でも、なれ合いでもない。本当に美魔女としか言いようのない若々しさを持っているのだ。男は普通に禿げて、お腹も出て、年相応に老けるんだけどね?


「ちょっと!何諸悪の根源が笑っているのよ!」


「んにゃ。厳しいなぁ……でも、ナターシャだって嫌いじゃないでしょ?」


「きゃっ!?」


 ずかずかと、躊躇うこともなく近づいてきた彼女の手を引いて態勢を崩させ、そのまま抱き支える。


「僕のこと」


 そして、耳元で言葉を囁く。


「わ、私を簡単に篭絡できると思ったら大間違いだーっ!」


 それは刺激が強すぎたのだろうか?

 一瞬で頬を赤く染めあげたナターシャは僕の体を突き飛ばし、そのまま何処かへと走り去っていく。


「ありゃりゃ……からかいすぎちゃったかな?」


 そんな彼女の姿を僕は苦笑しながら見送るのだった。

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