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活用法

「貴方が、狙いじゃないとするなら彼女たちは───」


 既に臨戦態勢に入った僕の横で悠長に口を開いていたナターシャへと敵の一人が一気に距離を詰めてくる。


「きゃっ!?」


「危ないなぁ」

 

 それを僕が横から蹴りを叩き込むことでその行動をキャンセルさせる。


「はーい、一人撃滅。後三人……かな?にしても、こうして襲ってくる連中でみんな黒ずくめだよね?なんかもっとカッコいい格好してきてくれない?」


 僕たちの前に降り立ったのは全部でたったの四名。

 その彼女たちは真っ黒なローブで全身を隠すという何度も見た井出立ちだった。


「個性欲しいよね、個性……ちょっと三人とも。キィー!って叫んでくれない?それでキャラ付けしようよ」


「……」


 意気揚々と語る僕のことなど無視し、黒ずくめの奴らのうち二人が僕との距離を詰め、もう一人がナターシャの方へと向かっていく。


「よっと」


「ちょっ!?」


 混乱から抜け出し、その一人を撃退しようと構えていたナターシャの首根っこを掴み、僕はその場から後ろへと逃げていく。


「な、なんで逃げるのよ!あれくら───」


 僕へと文句を告げるナターシャの言葉を遮るように先ほどまで僕たちが立っていた場所へと、倒壊した建物のがれきが降ってくる。


「えっ?」


「大規模なことをしてくるね。まさか、建物自体に工作しているとは」


「……き、気づいていたの?」


「何となくの勘で」


 地形を活用した罠はあれくらいかな?何か違和感の感じる場所はない。

 後は、目の前の三人を力づくで叩きのめすだけだね。


「……せっかくだ。技術を試させてもらうよ」


 僕は魔力を手の平より放出し、その魔力を物質化させていく。

 魔力に意味を、形を。魔力で自分の体の成長を組み替えた時を思い出す様にして……ただ、濃度の高い魔力を結晶化させて剣を生み出す。


「ど、何処から武器を!?……いや、待て」


「……」


 剣を僕が握った瞬間、再び黒ずくめの連中は僕の方に向かって地面を蹴って距離を詰めてくる。


「まずはドーン」


 そんな彼女たちが僕たちの元へとたどり着くよりも前に魔力で波を作って巨大な音を前方にだけ作り、黒ずくめの連中の鼓膜を破壊する。


「二人目」


 その隙を狙い、僕は黒ずくめの連中の一人を斬り捨てる。


「くっ!」


 そんな僕へと咄嗟にもう一人が抱き着きに来ると共に、もう一人がナターシャに向けて全力で駆けていく。


「流石に少しくらいは輝いてよ?」


 僕は抱き着きに来た黒ずくめの女性のことなど無視し、ナターシャの方に視線を送る。


「……ッ!」


 自分へと近づいてくる黒ずくめの女に体を強張らせたナターシャだが、すぐに持ち直す。


「暗器かっ!」


 黒ずくめの女性がローブの中から取り出した短剣により初撃をナターシャは回避し、短剣を握る相手の拳を下から蹴り上げる。

 蹴りによって弾かれた短剣であるが、黒ずくめの女性が腕を少し降ろせば、通常はありえない挙動で短剣が素早くナターシャに向かって降りてくる。


「……ッ!?」


 それをナターシャは魔力の膜を作ることで自分に当たるよりも前に防ぎ、短剣が当たらぬよう黒ずくめの女性との距離を詰めながら、その腹に蹴りを叩き込み、その体を吹き飛ばす。


「おっ?僕の方に来ちゃったよ」


 蹴りを受けて吹き飛ばされてきた黒ずくめの女性の体を僕は片手で受け止め、軽く上へと放り投げる。

 一人はナターシャに実力で負け、もう一人は僕へと抱き着いた体勢から何かをしようと暴れながらも片手1つで抑えられている状態。

 既に半数やられている。

 もう詰みだ。


「……覚醒だ」

 

 そんな中で、僕へと抱き着いていた一人が小さく呟くと共に、その内部の魔力が変質していく。


「あぁ……一度、それは見たよ。不愉快だ」


 いつもであれば、僕は相手の攻撃を全部見る為に変身中の攻撃はしない派だ。

 だが、彼女たちがやろうとしているそれは一度、見たことがある───その上で、不愉快極まりないものだったと記憶している。


「あがっ!?」


 魔力の変質と共に、肉体が変質しようとしていたところを強引にキャンセルさせる。

 それは上に吹き飛ばされていった奴も同様だ。

 一度見たからね。無効化方法もわかってしまうのだ。


「……まったく、何処で流行っているんだが。前も見たよ。禁止薬物か何かか?薬は駄目だよぉ、薬は。ちゃんと人を壊せる力があると、自分の身で一度試したからね」


 気絶させた二人を持ち前の縄で縛っていく僕へとナターシャが近づいていく。


「……まさか、貴方」


「んぅ?」


「クラスの女の子たちと仲良くしていたのって」


「……ふふっ」


 そのナターシャは襲撃者たちについて言及するのではなく、僕が手に持っている剣へと視線を落としていた。


「あぁ、これね?……クラスの女の子たちから聞いたんだよ。良いでしょ?僕の新技術さ」


 魔力は万能だ。

 だが、その魔力の活用法は各家がそれぞれ秘匿している為、研究開発が閉鎖的であまり進んでいなかった。

 そんな中で、僕は自分が男の子である点をうまく活用し、クラスの女の子たちから魔力の使い方を聞いて回っていた。


「僕の魔力研究は順調そのものだよ?」

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