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賭博

「よぉぉぉぉしぃっ!僕の勝ちぃ!」


「クソぉぉぉぉおおおおおお!男の生尻を触るチャンスがァっ!?」


「わっはっはっは!悪いけど、このお金はもらっていくよ!」


 華やかな王都の裏。

 表の通りから裏路地の方に入れば、そこには華やかな都市の現実がある。

 何の手入れもされていない街並み。そこに住まう職のない人たちや孤児。華やかは遠く離れた現実だった。


「あ、あわわ」


 だが、そんな場所だからこそあるものもこの裏の世界にはあった。


「と、賭博なんて良くないわよ……!何をしているのよ!」


 僕がナターシャと来た場所。

 それは賭博店だった。


「良いじゃん、良いじゃん。勝っているんだし」


 粗雑な女たちが集まった酒場で行われる賭博。

 僕はそれを最大限に楽しんでいた。


「で、でも……自分の体を掛け金にして賭博なんて……ふ、不純だわ!」


 ちなみに僕の掛け金は自分の体。

 それがナターシャは気に入らないようだった。


「あ、貴方の身に何かあったらどうするの!?」


「ハハハ!勝てばよかろうなのだ!どれだけ勝ち続けても、僕に勝てたらこの美しい体を好きなようにしてあげるっていえば、女どもがほいほいお金を賭けていくらでも僕の養分になってくれる!最高に楽しいじゃないか!」


「く、くそぉ!負けてばかりじゃないぞ!このペテン師か!いくら何でも勝ちすぎだ!」


 ナターシャの心配そうな笑い飛ばしていた僕の言葉へとこの店にいた中の一人が食いついてくる。


「ハハッ!君たちが素人である僕のイカサマを見つければいいだけだよ!」


 その言葉を僕は軽く退ける。


「あっ!こいつ、自白しやがった!黒だろ!これはもう!」


「ちゃんと証拠もってこいよ!」


 野次を退けた後、僕は足を組んで己の座る机の前で手を広げる。


「さぁ、賭けをしよう。次はだれが乗る?」


「く、くぅ……!絶対に勝てねぇ、ってわかっているのに、女としての本能が抗えねぇ」


 次の賭けを求める僕の元へとふらふらと、既に多くの金を失った連中が近づいてくる。


「か、勝ち続けるのも良くないわよ……下手に恨みを買ってもいいことなんてないわっ。賭けとか無視して、襲い掛かってきたらどうするつもり?」


「心配性だなぁ。無理だって、それは既に地面で伸びている連中が教えてくれているじゃないか」


 この酒場の床にはもう既に僕を性的に襲い掛かろうとしてきた数名の連中がボコボコにされた上、有り金全部むしり取られた状態で転がっている。


「この場の連中に僕が負けることはない。その、確信からの僕の行いだよ」


 酒場のごろつきを相手に負ける役者は花形とは言えない。

 僕は花形役者になりたいのだ。

 こんなところで負けるくらいなら死んでやるわ。


「さぁ、張った張った!金儲けは女の花なんだろ?」


 僕は笑顔で周りの人間を挑発し、賭け事へと誘うのだった。


 

 ■■■■■


 

 それからしばらく。

 連勝に連勝を重ね、大金を積み上げた僕はホクホク顔で賭博場となっている酒場を後にしていた。

 気持ち的にはもうちょっと遊びたかったが、既にあの場にいた人たちの有り金が亡くなってしまった為に諦めるしかなかった。


「……あぁ、完全にやり過ぎているわよ。逆恨みされたら、どうする気なのよぉ」


「何とかするでしょ」


 あそこにいる連中はその日暮らしの冒険者たちだ。

 人に仇なす魔物を狩り、それを売って暮らす連中で、賭け事を楽しめるぐらいには金の余裕がある奴らだ。明日から彼女たちは皆、必死こいて金を稼ぐだろう。

 それだけで終わりさ。


「……ァ?」


 隣のナターシャの言葉を退けた、そのすぐ後に。


「どうしたの?」


「魔力反応かも?」


 こちらへと近づいてくる複数の存在を感知し、首をかしげる。


「あっ、来るよ」


 僕の一言の後。


「……ッ!?」


 音もなく複数の人影が僕たちの前に降りてくる。


「あぁぁぁ!ほらぁ、来た!逆恨みがァっ!」

 

「……いや、彼らの狙いは僕じゃないね」


「えっ?」


 目の前に現れた怪しい人影に対するナターシャの叫び声を僕は一言で斬り捨て、静かに自身の魔力を活性化させていった。

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