58, 【閑話】地圏の大魔女の独白③
五百年の封印が解け、再び古き友と相見えることになろうとはのう。
水圏の大魔女アウローラ、火圏の大魔女ペレ。
相変わらず、ふざけたやつらじゃったが……まあ、なかなかに愉快なひとときではあった。
ミカも無事に友人たちを救うことができた。
結果としては、上々じゃろう。
それにしても、ミカの成長は目を見張るものがある。
今回の一件で、妾の慧眼も捨てたものではないと証明されたわけじゃ。
まあ、これも妾の教育の賜物というところかの。
これでミカも、気圏の大魔女の名にふさわしい存在となった。
大気を、まるで己の手足のように操っておったからな。
ディースラ帝國の皇帝も代替わりしたことじゃし、あの軍事国家が今後どう変わっていくのか、しばらくは静観するとするかの。
アウローラもペレも、妾と同じく成り行きを見守るつもりじゃろう。
妾たち大魔女は、一歩誤れば国ひとつを滅ぼしかねぬ力を内に秘めておる。
それゆえ、特定の国に肩入れするのは、あまりに危うい。
ゆえに、エアーレイ王国は守りこそすれど、その願いが他国への侵攻であるならば、妾は手を貸すことはあるまい。
無論、アウローラもペレも同じじゃ。
ミカに関しては……あれはもとより争いを好まぬ性質じゃ。
自ら進んで争いに与するとは思えぬな。
そういえば、当初は「気圏の大魔女」という呼び名を気に入らぬ様子であったが……
自らその名を名乗ったところを見るに、ようやく受け入れたようじゃな。
もっとも本人は「あの時はハッタリでもいいから、そう言う必要があったのよ」などと申しておったが……
ふふ、満更でもなさそうであったぞ。
今後、ミカはますます力を高めていくじゃろう。
すでにアウローラもペレも、大魔女の一柱としてあれを認めておる。
いずれは世界中が「気圏の大魔女ミカ」の名を知ることになるに違いない。
もっとも、当の本人はそれを望まぬやもしれぬがな。
一度、人々の耳に渡った名は、そう容易く消えるものではない。
なにせ、長らく伝説とされてきた“気圏の大魔女”の再来じゃ。
ミカの思いとは裏腹に、思いもよらぬ騒動に巻き込まれることもあろう。
そうなれば、アウローラやペレも、ただの傍観者ではおれまい。
……無論、それを言うなら妾も、じゃがな。
まあ、いずれ来る波もまた、あれが越えるべき試練のひとつ。
何はともあれ――今後のミカの歩み、そして活躍が楽しみでならぬわ。




