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#01 それは人間みたいな考えを持つ馬で

えー、前話から激烈に更新が遅くなってしまった事。誠にお詫び申し上げます。すんまへん。


楽しんでっておくんなまし。

うららかな春の日、少し肌寒く感じる風。


あ、どうもこんにちは、私です。そうですあの時、落雷によって産み落とされた者です。

皆さまいかがお過ごしでしょうか。私は北海道に来てもう2年になります。ここは良いところです。空気も美味しいし夜空はロマンチックな星たちの会話が聞こえてきそうです。




イヤイヤイヤ!この2年で何があったんだよ!お前前話で松○優作ばりの奇声上げてたじゃないか!と思いませんか?思いますよね?そう、思うんですよ。

じゃあ何故俺がこうして馬として生きているのか、少し振り返ってみるとしましょうか。




俺、片岡湊人は競馬好きの一会社員だった。

会社員としての自覚を持ち始めてきて、ようやく大学生気分が抜けそうな頃、大学の頃の友達から『競馬場に行かないか?』と電話があった。もちろん競馬が好き俺は二つ返事で答えたんだ。

思えばそれがこうなってしまった1つのトリガーだったのかも知れない。


現地で集合して、昔(と言ってもそんなに昔ではないが)話をして、レースの予想をして、勝って負けてを繰り返して、メインレース前には3万円のプラスだった。

メインレースはG1宝塚記念。一番人気は…恐らく『感嘆すべき』とか『感心する』とか、そんな意味の英語の冠名の馬だった。はず。


ただ、パドックで押しくら饅頭になりながら見ていた時に目の前に彗星みたいな青い光が見えた。その光はパドック上をグルグルと2、3周回った後、スッと5番ゼッケンの馬の中に入っていった。瞬間友達の手をつかんで走り出し、気が付いたら投票所の前で友達に『5番に全部突っ込め!』と言っていた。もちろん俺は勝っていた3万円をぶち込んだし、友達も残った軍資金の半分を突っ込んでいた。そしてレースが始まり終わった。



3万円が帯付きで帰ってきた。しかも帯付きが2つ。浮かれまくった俺はコースに向かって一礼して『ありがとう!…ええと、タツノオトシゴロ!』と言ってホクホク笑顔で友達と別れ、帰宅。そしてベッドにダイブした瞬間に心臓が止まって死んだ。


嘘みたいだろ?死んだんだぜ。


そんでから気が付いたら狭いぬくいところにいて、出てきたら稲妻。改めて自分の体を見て松○優作になったと言う訳だ。

おわかり頂けるかな?そう、よくある転生モノだよコンチキショウ!そりゃあ超絶美少女に生まれ変わったりイケメンに生まれ変わったりしてるさ皆は!でも!なんで俺は馬なんだよ!いや好きだけどもさ!

違うじゃんかよぉ…



まあそんなこんなで競走馬として生まれ変わったんだが、まあウチのじーさん(馬主のオトシゴロスのアレな)はとにかくスパルタで有名らしく、生まれてから僅か2日と経たぬ内に調教を始めやがった。しかもヤネはなく、規模はトレセンより小さいものの本格的(?)なヤツを。角馬場もあるし坂路もある。さすがにポリトラックはないが簡易的なプール施設もある。全長15m位のやつが。じーさん曰く『オトシゴのおかげ』だそうな。


もちろん俺はそこで調教されるわけだが、テキトーに走ってるのがバレると帰ってきた後にじーさんに鞭でバシバシ叩かれる。これがまた痛いんで逃げまくるわけだ。そしたらまた叩かれる。おかげさまでスタートダッシュと逃げ足だけは速くなったよマジで。

あ、プール調教は好きだけどね。何時間でもやりたいぐらいだよあれ。気持ちいいんだよなぁ。



閑話休題。



つまり俺は、朝起きて調教して逃げて叩かれて朝飯食って調教して昼飯食って調教して夜飯食って軽く運動して寝るっつう生活を約2年間続けたわけさ。嫌ではあったけど、楽しかったな。最後の方とか調教後に俺が逃げるのは一連の流れになってて、上手く逃げ切れたらご褒美に鞭無しでニンジン貰えたりしたしね。あ、もちろん上手く逃げ切れたらの話。ダメなときは鞭でぶっ叩かれたよクソが。




そうしていよいよ俺も厩舎に行くことになった。その厩舎は明石厩舎と言う所。じーさん曰く『昔はG1馬も調教していて、オトシゴロも預けていた名厩舎じゃ。まあ?ワシのオトシゴロよりも?他の明石厩舎のG1馬は?弱かったがのお?』だそうな。イキっておるこのじじい。


実はこの明石調教師とは初めてではなく、既に1歳とちょっとの時に会っていたりする。快活なおやっさん気質ないい人だ。ちょっと暑苦しいけど。俺の調教を見てて泣いて『是非ウチに!』って言ってたよ。よかったな明石のおやっさん。




遂に馬運車が来た。俺はこれから栗東の明石厩舎へと運ばれていく。あの厳しかったじーさんも涙を浮かべ…てねえわあれ絶対あくびしただけだわ。感動が台無しだよ畜生。

さて、俺も競走馬デビュー出来るように、そんでもって直ぐに引退して行方知れずにならないように、頑張っていかねぇとなあ!

馬運車に乗る直前にじーさんが言ってたよ。「あ、そういえばお前の馬房にはカメラがついておるからの。いつでも見守っておるぞ。安心してしごかれてくれ。」








くっそがああああああああああ!!!!!!!

じーさん「いやー最近はネットのおかげで調教も北海道から見れるし、ええ時代になったのう」

馬「」

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