表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/358

8話 シエル登場!!

 馬車の中で居眠りしていると、徐々に景色が変わる。門を潜り抜けると、どうやら街に入ってきたらしい。

 克己が窓から外を見ると、遠くにお城が見えてきて兵士に確認する。やはりあそこが目的地のお城『グランパレス城』というところだった。

 今日は遅くなったので宿屋に宿泊するよう入り口の兵士から指示があり、王宮側で宿屋を手配してくれた。

 克己達は明日の朝、王宮へ行くこととなった。克己は宿屋の厨房を借りて蜂蜜入りパフェを作り、ノエルとレミーの二人に食べさせてみると、大好評で、二人はこんなの食べたことがないと言われる程の物だった。

 次からこれを店の看板メニューとして売り出し、女性客のリピートを増やしていければと克己は思い、メモに記載する。

 また、ホームセンターで買っておいた豆を挽いて、コーヒーを作り、パフェとコーヒーで寛げるお店を考える。克己は楽しそうにノートへイメージを殴り書きした。

 どこまでが現実になるか分からないが、ヘッポコの護衛達もいることだし、なんとかなるような気がして本日は就寝することにした。

 翌朝、ノエルに起こされ顔を洗って、美味しくない朝食をとり王宮へと向かうことになると、ヘッポコ剣士の二人は緊張した様子で城の中に入り、謁見の間に通された。

 克己はそれに続くかのように中には入り、ようやく王様とご対面したが、なんか偉そうな奴で気に食わなかった。


「おぉ、お主達がパルコの街を救った英雄か!」


 王様はいきなりヘッポコ剣士達に英雄と言い出したが、戸惑いながら二人は膝を突いて頭を下げ、王の発言を訂正して克己を紹介した。


「あ? あぁ、はい。ドラゴンを倒したのは俺です」


 そう言うと王様は驚いたように、たった一人で倒したのかと質問してきたので、「そうだ」と答えたらどうも話が行き違っているようで、側近の誰かと話していた。

 取り敢えず、なんとなく納得はしてもらい、王様から褒美のメダルと卿の位を貰ったが、王様から要らない依頼が舞い込んできた。

 どうやら王様は、克己の実力が信じられないようで、近くに有るゴブリンどもの巣を壊滅してきてほしいとお願いしてきたのだった。が、克己はできれば直ぐに帰りたいことを話、他の人に依頼してくれと言う。

 しかし、王様や側近が克己の実力が信用できないとの理由で受けざる得なくなったで、壊滅したら何か素晴らしく、王様が大切にしている物が欲しいと話をしたら、王様は笑いながら了解してくれた。

 証人となる兵士は、克己を街から城まで案内したヘッポコ兵士であった。

 克己は溜め息を吐いて、その兵士に巣の場所を確認する。早く帰りたい気分だったので、翌日の朝には四人でゴブリンの巣へと向かうことにした。

 宿屋に戻ってきて、克己はリュックの中から改造したマシンガンタイプのレーザーガンを取り出し、翌日に使用するため組み立てる。組み立てた銃は壁に立てかけ、今日は特に何もしないで休むことにして、翌朝直ぐにゴブリン狩りへと向かおうと考えた。


「明日の作戦だけど、ノエルとレミーは俺の背後から襲って来るやつを相手にしてくれ、俺は前から来る奴を始末していくから」


「そんな作戦で大丈夫ですか? いくら克己様が私達より強くても、多分、ゴブリンは100匹位いると思いますよ!」


「問題ない、逆にコアがいっぱい手に入ると考えれば願ったり叶ったりだ!」


 そう克己は言って部屋に戻り、マシンガン銃の最終調整を行い、ビームサーベルの研究に没頭して気がついたら早朝になっていた。

 サーベルは完成しなかったが、コアを使った武器は中々強く、克己が思い描いていたような感じになってきた。

 克己は三人を起こしてゴブリンの巣へと向かうことにし、面倒臭いなぁと思いながら、森の中に入って行くとゴブリンの巣らしき場所を発見した。


「じゃあ二人とも、昨日言ったようにフォローをお願いするね、何かあったら呼んでくれれば直ぐに助けに行くから」


 克己は簡単そうに言うが二人は不安な状態で、これで自分たちの人生も最後かと思いつつ突っ込むことにした。

 もちろん、克己のレーザーマシンガンで攻撃をする。ハッキリ言うと、戦いというものは行われず、一方的な殺戮行為が行われた。ゴブリン達はたまったものではない、見たこともない武器で一方的に撃ち殺されていくのだ。ゴブリン達は阿鼻叫喚。逃げ出そうとするが、克己のレーザーガンはそれを許さず、ゴブリンの巣はあっという間に壊滅したことは言うまでもない。

 克己はコアを拾いつつ考える。ペルシアは自分がいないお店をしっかりやっているのかと……。克己は店が気になり、早く帰りたい気持ちを抑えながら二人に指示を出してゴブリンのコアを全て回収し、ヘッポコ兵士に確認してもらって王宮へ帰ることにした。

 王宮へ戻り、王様に報告したら王様は驚いていた。

 ヘッポコ兵士はありのままを話して、まるで夢を見ているようだったと王様に報告していた。


「では王様、大事な物はなんでしょう? お金とか勲章等のゴミは寄越さないでくださいね」


 そう言って克己は王様を追い詰める。

 克己は時間がかかりそうなので、先にパルコの街へと帰るから、後で大事な物をパルコの街へ送ってくれと言って宿屋へと帰ることにした。

 翌朝、馬車が宿屋に到着すると、馬車の中にはヘッポコ兵士と、新たな女性が馬車に乗っていた。


「あ、あの~、あなたは誰ですか?」


 克己達は気になり、ノエルはその女性に質問した。

 その女性は偉そうにふんぞり返り、ドレス姿で馬車に乗っているものだからレミーとノエルはドン引きしていた。


「私はグランパレス第三王女! 貴様が大事な物をというので私が貴様の元に嫁ぐ事になったのよ!」


 この王女様は何故か怒っているようで、克己もドン引きしていた。


「あ、あの~、な、名前は何て言うのですか? また年齢は……」


「今年で18になります、名前はシエルという名前よ!」


「俺と一緒に来ても幸せになれるか分からないのですが、それでも構わないのですか?」


「貴様が大事な物って言うから私が選ばれたんじゃない! 幸せにする義務は貴様にはあるのよ!」


「そ、そんな~。マジかよ……面倒くせ~」


「克己様、諦めるしかないですよ……」


 ノエルがそう言ってきたが、なんか納得ができない克己であった。

 しかし、来てしまったものをチェンジとは言えないし、王女と言われるだけあって、綺麗で可愛い姫様なため、仕方なくパルコの町へと連れて帰ることになったのである。

 兵士は姫に頭を下げて、城へと帰っていく。


「帰りは付き人との兵士とかいないんですね」


 克己がそう言うと、シエルはあんたが強いから別に問題ないでしょ! と、ブチギレモードで返答してきた。

 触らぬ神になんたらだと克己は思い、タブレットPCを取り出してビームサーベルの研究を続けることにした。

 皆、タブレットPCが気になるのか、シエルから質問が多かった。面倒なのでマジックアイテムだと言ったら黙るようになった。

 また、ノートに落とし描きとかしていても「上質な紙が……」みたいなことをボヤいていた。

 ゴブリン退治で使用したレーザーマシンガンは中々上出来な仕上がりで、二人のヘッポコ剣士はやはり役にたたなかった。

 取り敢えず後方と横だけ警戒してくれれば良いかなと思っていたので丁度良く、二人は呆気にとられながらも警戒だけはしてくれていた。

 これで武器に関する問題は剣のみとなったが、この剣だけはどうしてもヒートよりも、ビームにしたかった。

 ある程度は目処がついているのだが、日本へ帰り、大学で研究してみない事には何とも言えないため、早く街へと戻りたかった。

 シエルは気になっていた。

 克己の奴隷であるノエルやレミーが着ている服が上質な生地で作られていること。

 自分より上質な物を着ていることに驚きを隠せず、二人に説明を求めていたが、ノエルは魔法の国で手に入れたとしか言えず、レミーに関してはまだ、日本に行った事がないため、貰ったとしか言いようがなかった。

 数日後、ようやくパルコの町へ戻ってきた克己は、直ぐに店へと向かった。そして、店を見ると繁盛はしているが、客層は男性ばかりで女性が少なかった。

 克己は直ぐに日本へと戻り、ホームセンターでミキサーを購入して、パフェ等の作り方を料理人に教え、紅茶やハーブティーをネット通販サイトで発注し、紅茶等が到着する前にレシピをペルシアに渡して覚えさせた。そして、先に新しいメニュー表を作るよう指示し、直ぐに交換ができるよう先手を打つ。ノエルやレミーは克己の指示に従い、家へと戻り、クローゼットがある部屋を除き掃除を開始し、シエルは店の椅子に座り、優雅にお茶を楽しんでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ