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第27話「西へ」

サァアアーーー

雨が降り続く。


「......」

「......」

「......」


俺達の足取りは重かった。


誰も言葉を発せなかった。


【悲しいときは泣け......】


――無意味だ。


俺が、カエルムを殺した。

泣いたところで、何も変わらない。

非合理だ。


泣く資格なんて――

俺にはない。



【カイトとイオを責めるな......】

お父さんの最後の言葉を忘れないようにしてた。

カイトさんはあの時様子が普通じゃなかった。


王の死刑宣告からあの日を境に――

カイトさんは、おかしくなった。

いや、

違うっすね。


“元に戻った”だけかもしれない。


それでも――

......その目は、

前と同じじゃない。


「......カイトさん?」

......カイトさん、ですよね?


信じてもいいんっすか?


声は雨音でかき消された。

あるいは無視をした。


今のアタシには分からない。



カイト達に一瞬だけ目配せをした。

ヘーラー様の計画ですとカイトを、

“必ず生かす必要がある”。

眼もありますし、古代人形はひとまず置いておきましょう。


彼の行動言動はたぶん......いや、まだ確定してないので言及するのは止めておきましょう。



それぞれの思惑を胸にカイト達はヒュマリア王国までたどり着いた。


――雨はいつの間にか止んでいた。



――ヒュマリア王国


国境警備員にアルが通行証を見せてすぐに入国出来た。


......準備していたのか。


アル......一体何者なんだ。

そんな考えも本人に問う余裕も無いまま最初の街、狭帝街に入街した。


さっき気づかなかったけど、ここの街は――


「......これがヒュマリア王国なんっすね」


「はい、ヒュマリア王国っていうのは帝国で言われてる名前ですね」

「正式には、」


「――出雲国」

和服や刀、街の建物――


......日本だ。


「話には聞いてたっすけど、変わった恰好してますよね」

「それに――」


「おい!コイツAIになんか頼ってるぞ!」


ゴッ、バシッ


石を投げる子供。

その先には同じくらいの子供。手には帝国で見かけた端末を持っていた。


「や、やめてよー」


「この国ではAIは犯罪だー」

「持ってる奴はこうだ!」


投石を再開した。


大人は誰も止めない。

それどころか冷たい視線が端末を持つ子供に向けられていた。


この感覚――

「......変わらない」


止めようとトレイターに触れた瞬間。

「......いや」


――ザッ


「なんの騒ぎだこれは?」


「隊士さん、あの子を見て!」


「ん?これは一体どういうことだ?」


手に持ってた端末を取り上げられそれを地面に叩きつけた。

画面はひび割れた。


「あぁ......」


「これは君のものでは無く“拾ったもの”そうだな?」


「......はい」

子供は裾をギュッと掴み涙を堪えていた。


「我が青龍隊、AIの文明は断じて許さない」

「童よ、運がよかったな」

「成人だったら“死罪”もある」


「気をつけよ」


「......」


子供は、何も言えなかった。


「行くぞ」


隊士は一言放ちその場を後にした。



「――あの噂は本当だった......みたいっすね」


「......」


「ここヒュマリア王国いや、出雲国は――


「AI、人形を別視する国」


「事実上禁止扱いしてる国っす」


「王様が......嫌ってるっす」

「理由は色々あるらしいのですがどれが本当か真相かは分からないっす」


エストは子供に近づいた。


「......大丈夫っすか?」


「いつも......この国はこうだ」

「全てを人だけで解決する」


「帝国ではこうじゃなかった」

「分からない問題は調べてもいいし、人形だってたくさんいた」


「聞くときも人、話し相手も人、家事も、仕事も!」


「なんでも人人人!!」

「うんざりなんだよ!」


「あっ、ちょ」


振り返らずに走り去った。

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