13.キャバクラ編 店長の野望
家につくと、彼がまだ眠っていた。
起こしたら悪いと思いまたこたつで寝た。
昨日と同じく、彼の準備の音で目が冷めた。
「おはよう・・・。」
「あ、おはよ!昨日もどうだった?」
「うーん、まあ普通。」
一瞬今日あったことを話すと思ったがやめた。
「なんだよ普通って。(笑)じゃ、俺行ってくるね!」
「いってらっしゃい・・・。」
ガチャン。
ドアが閉まる音がやけに大きく聞こえた。
・・・本当に嫌じゃないのだろうか。
大人だから?
信頼してるから?
ほぼ違う時間帯で生活している私達の会話は朝の数分だけ。
・・・こんなんでいいの?
私はとても寂しかった。
本当は今日あったことを言いたいし、慰めてほしい。
そんな風に思いながらこたつで寝てしまった。
ピンコン。
「・・・。」
ラインの通知音で目が冷めた。
目を細めてメッセージを見ると、
「今日も8時過ぎにこれる?」
と書いてあったので
「大丈夫です。」
と送った。
ふと、時計を見ると5時34分だった、
全然大丈夫ではなかったので急いで支度をした。
「おはようございます!」
勢いよく重たいドアをあけると店長がおしぼりを巻いていた。
「あ、おはよ。」
と顔だけ上げてまたおしぼりを巻いていた。
「おしぼりって店長が巻いてるんですか?」
「うーん、巻いてる日と巻いてない日があるな。だいたいは下の連中にやらせてるけど、、寝坊したらしくて変わりにやってる。」
そういいながら、山になったおしぼりに何かをシュッシュと吹きかけた。
「なんですかこれ?」
「柔軟剤を水で薄めたやつ。吹きかけるといい匂いになるからさ。」
「あ!だからいい匂いだったのか・・・。」
「今日もよろしくね。あ、準備終わったら少しいいかな?」
「はい。」
私はバックヤードに入った。
「あ!おっはよ!」
「おはようございます!」
バックヤードにはもうすでにスタイリストさんが来ていて、こちらもせっせと準備していた。
「着替えてきますね!」
「うん!待ってるね〜。」
バックヤードの奥に行ってドレスを選ぶことにした。
どれにしようか・・・。
正直、まだ自分のドレスを買う気になれずにいたのだが・・・・。
迷った挙げ句、紺色のタイトなドレスにした。
「ちょっとセクシーすぎるかな・・・。」
と心配しつつも着替えた。
「えー!!!こういうのも結構いけるんだね!似合ってるよ!」
「あ、ありがとうございます・・・恥ずかしい・・・。」
「ねぇ、意外とおっぱいでかいよね?何カップあるの?」
と言いながらスタイリストさんが私の胸をツンっと指で押してきた。
「わお。しかも弾力がある・・・。」
「恥ずかしいです・・・。(笑)Dカップですよ。」
「わーやっぱり!?でかいと思った。」
キャハハと笑うスタイリストさんがとても可愛かった。
「今日の髪型は、お姉さんぽく、毛先だけ巻こうか!」
「はい!お願いします。」
「そういえばさ、みつきちゃんて何歳なの?」
「私は21歳です。」
「わーーー若いわぁ・・・。いいな若さ・・・・・。」
「おいくつなんですか?」
「えぇ!?聞いちゃう!?・・・38歳・・・。」
「えぇぇぇ!?!?嘘ですよね!?」
「嘘だったらどんだけいいか・・・。」
「私より何個かお姉さんなんだろうなとは思ってましたが・・・。」
「お、それは嬉しいね。こちとら若作りに必死なのよ〜。」
「多分今年で一番おどろきました・・・。」
「ふふ、嬉しいけどね。無駄に年だけとってるから何でも聞いて〜。大体の悩みは答えられるとおもいよ?」
「なにかあったら是非お願いします。」
「はい!できたよ!」
「わー今日も素敵です。」
「もう、みつきちゃんは褒め上手なんだから♪」
準備が整ったので、店長の元へと向かった。
「準備終わりました。」
「お、早かったね・・・てか・・・。」
「はい?」
「いや、清楚系な感じしか似合わないとばっかり思ってたから、少しびっくりした。昨日は可愛かったけど今日はきれいだね。」
「あ・・・ありがとうございます・・・・。」
まっすぐに見つめて言ってくるので恥ずかしかった。
「あ、ごめんごめん、ちょっとついてきてほしいんだけどいいかな?」
「はい。」
店長のあとに付いて、お店をでた。
「あの、どこにいくんですか?」
「あぁ、一個上の階にね、和食屋さんが入ってるんだけどそこに行こうとおもって。」
「へ?」
「ま、いいからいいから。」
店長に背中を押されてエレベーターに乗り込んだ。




