11.キャバクラ編 本入店
今日は12月25日。
店内に音楽が流れ始めた直後にお客さんが入ってきた。
「いらっしゃいませ〜!!!」
店長の大きい声が店内に響き渡っていた。
「みつきちゃん、いけるかな?」
「は、はい・・・。」
昨日と同様、なんでキャバ嬢を始めたのかを話してウケる、という昨日と全く同じことを繰り返して時間はあっという間に過ぎた。
そんなこんなで午後2時。
お客様がぼちぼち帰り始めた頃、一人のお客さんがやってきた。
「みつきちゃん、ちょっといい?」
「はい!」
「次、ついてもらう人なんだけど、ダイキっていうキャッチのヤツで、ウチにもお客さん回してくれてる身内だから、よろしくね。こいつはただ、飲みに来てるだけだから営業とかいいから楽しくのんで!」
「あ、そうなんですね。わかりました。」
店長のあとについてダイキさんのところに行った。
「よう、ダイキ。新人の子で悪いけどよろしくね。なんか一杯飲ませてあげてもいい?」
「ちわっす。いいすよ。」
「じゃ、隣座って。緑茶ハイでいい?」
「あ、はい。お願いします。」
そういいながらダイキさんの隣りに座った。
「みつきです。よろしくお願いします。」
「よろしく。」
「え、と、今日はお休みなんですか?」
「え?うん。休み休み。」
「そうなんですね。普段は、キャッチ?してるんですよね?どこにいるんですか?私見かけたことないですけど。」
「人の流れ具合で変わるし。ていうかお前なんでキャバクラで働いてんの?」
「私ですか?」
ここで、なんで働くことになったのかを説明した。
「ふーん、そうなんだ・・・で?」
「え?」
「で、なんなの?」
「あ、えっと・・・。」
「お前さ、つまんないんだけど。」
「すいません・・・。」
「いや、謝られても。だいたいずっと敬語だし、なんか気使うし疲れる。」
「ごめんなさい。」
「俺、トイレ行くわ。」
「あ・・・。」
ガタン!と席を立ってトイレまで行ってしまった。
数分後、トイレから戻ってきたダイキさんは私に
「キャバ嬢向いてないからやめたら?」
と言われた。
「普通にさ、今の彼氏と別れて、普通に昼働いたらいいじゃん。」
「あ、え・・・あ・・・。」
何も言い返せなかった。
そうだよ。今すぐ別れたらいいし、こんな仕事辞めたらいいんじゃん。
と思った瞬間涙が流れた。
「え、泣くなよ。冗談じゃん。」
「あ、すいません・・・えと・・・。」
涙が止まらなかった。
”つまらない”
一生懸命、接客してるつもりだった。
無言にならないように、沈黙にならないように頑張っていた。
実際、自分で話していても何が面白いんだろう?と思いながら話していた。
こうもストレートに言われるととても悲しいものだ。
「ちょっと、どうした!?」
店長が小走りでやってきて私の顔を覗き込んできた。
「こ、困るよ!冗談通じないじゃん!」
少し顔を赤らめたダイキさんが店長に大きめの声で言った。
「えーダイ、何したの〜。とりあえず、こっちおいでみつきちゃん。」
「・・・。」
店長が私の腰に手をまわしてバックヤードまで連れてってくれた。




