10.キャバクラ編 本入店
バックヤードの中に入ると、もうすでにスタイリストさんが居て準備をしていた。
「おはよ〜!早いね〜。着替えたらこっち来てね。」
「はい。」
私はスタイリストさんを通り過ぎ、衣装のある場所へと歩いた。
「どれにしようかな・・・。」
正直、どのドレスも少し脇のところが臭かった。
ドレスを選んでいると後ろから、
「ドレス高いけど自分の買ったほうがいいよ。」
と後ろから男性が話しかけてきた。
「あ、え・・と・・・。」
「あ、俺、安西・・・てか、一番最初にお店まで連れてったじゃん!」
「あ、そうでしたね。」
「俺、安西豊って名前だからよろしく。みんなからユタポンって呼ばれてるからユタポンって呼んでもいいよ。」
「あ、はい、豊さん・・・。」
「源氏名何にしたの?」
「”みつき”って名前にしてもらいました店長に・・・。」
「みつきいいじゃん。頑張って。俺、基本外でお客さん案内してるから店内あんま居ないけど外にいるからなんかあったら言ってね。」
「ありがとうございます。」
「あ、ドレス、どれもくっせーよな。定期的にクリーニング出してるんだけどさ、匂い取れないんだよね。嫌なら自分の買いなね。」
「はい・・・。あの、ドレスってどこで買えばいいんでしょうか?」
「え?うーん、そこらへんのお店に売ってると思うけど・・・俺買ったことないからわかんねえわ。わりぃ。」
そう言って豊さんはバックヤードから出ていった。
「・・・。」
早く自分のドレス買おう・・・・。
どのドレスにするか迷ったが、昨日と同じ白いミニドレスにすることにした。
「お、昨日と同じだね?やっぱり似合ってるよ白。自分で買うなら白買ったほうがいいね!」
と少し遠くからスタイリストさんが話しかけてくれた。
着替えが終わり、貴重品などをロッカーにしまってスタイリストさんの元へ向かった。
「今日は髪型どうしようか〜。」
「うーん・・・バリエーションもわからないんですが・・・。」
「じゃあ、私が決めていい?」
「助かります。」
そう言うとスタイリストさんは鼻歌を歌いながらコテで髪の毛を細く巻いてくれた。
セットしてもらっている間、なんでキャバクラで働き始めたのかなどを話していた。
スタイリストさんは私の話に笑うわけでもなく、そうなんだ!と、優しい顔で聞いてくれた。
10分後
「じゃーん!完成しました!今回は、毛先を細く巻いて、ふわふわに仕上げました!」
「わー可愛いです!!!」
「みつきちゃんはあんまりゴテゴテした盛り髪にしないほうが可愛いと思う!今後も可愛い系で攻めましょう!」
「ありがとうございます!」
「あ、セット終わった?みつきちゃんちょっといいかな?」
店長が私を呼んだので小走りで向かった。
「ごめん、接客についてなんだけどさみつきちゃんて超初心者じゃん?どういうスタイルで行くか決めようかなって思って。」
「スタイル・・・ですか?」
「うん、まずさ接客方法って大まかに2パターンあって、色恋系で行くか、友達系でいくかなんだけど・・・わかる?」
「色恋ってつまり、お客さんに惚れさせるって意味でしょうか?」
「そうそう!まあ、これが基本っちゃ基本なんだけど・・・昨日の接客見てたら、色恋よりも友達系で攻めたほうがいいんじゃないかなと思ってさ。」
「なるほど・・・。」
「みつきちゃんの出せるところまででいいから包み隠さず接客したほうがウケると思うんだよね。実際、色恋って大変だしさ。」
「そうなんですね・・・。」
「そうはいっても接客してると好かれること多いけどね。それにどんな接客したっていいんだけどさ。笑」
「じゃあ、昨日のようにやっていけばいいでしょうか?」
「まあ、最初はね。で、大切なことがあって、お客さんとはできるだけ連絡先を交換してほしいんだけどできるかな?」
「連絡先を教えるんですか!?」
「これも仕事だからね。どうしても嫌な場合は・・・断ってもいいけど、基本的にはラインとかメッセージで連絡取ってもらわないと指名につなげるのは難しいと思う。中には一切連絡先教えない子もいるけど、相当テクニックがいるし今の段階では不可能だと・・・思う・・・。」
「そうなんですね・・・。」
お客さんと連絡を取らないといけないなんて知らなかった・・・。
「うちはノルマは無いけど、やることはちゃんとやってもらわないと退店してもらうことにしてるからよろしくね。」
「はい・・・。」
「あとは、アフターと、同伴ってあるんだけど。」
「?」
「アフターは営業終わりにお店の外でお客さんとご飯行ったりとかすること。同伴は、出勤前にお客さんと会って、一緒にお店に来ること。」
「アフター、同伴・・・。」
「アフター行ってもお金は出ないけど、同伴は同伴料として+1000円お客さんからもらってるからそのままバックであげてるよ。」
「アフター行ってもお金にならないのに行くんですか?」
「お客さんもさ、お店の外とかで会ったりないと離れてっちゃうからさ、メンテナンス?っていうの?管理しないといけないんだよ。」
「そうなんですね・・・。」
「これで一通り説明できたかな〜。わからないことあったらその都度聞いてね。」
「はい・・・。」
バックヤードに戻り、椅子のある方に進むともうすでに何人か女の人が座ってた。
挨拶したほうがいいのかな?でもやっぱり話しかける雰囲気ではない。
椅子に座って少し立つと、店内に音楽が流れ始めた。
それに続いて、チカチカと光るライトも点いた。
今日も営業が始まる。




