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第7話 名探偵ニーチェちゃん


あらすじ


 変な石が盗まれた  らしい。



 ニーチェは何処から拝借してきたのかキセルを手に持ちテーブル周りををクルクル、クルクル。


「それ、私の観賞用のキセルなんですけど、流石にニーチェ様でも触らないでほしいです」


 メイデンの冷めた表情もなんのその。遥か未来を見据えるニーチェの瞳。目で語るとはこのことか。



『石を盗んだ犯人はお前だな?』



「私が盗むメリットがありません。今もお嬢様はこんなにも悲しんでおります。私もとても悲しいです」


「ニーチェ先生様、メイデンはそんなことしませんわ。いつもわたくしのことを思ってくれてますの。わたくしはメイデンを信じてますの!」


 レイラとメイデンの付き合いは長い。今やレイラのメイデンに対する信頼は絶大であり、メイデンのレイラへの忠誠も絶対だ。



「お嬢様……私如きに勿体無いお言葉。おやつはクッキーにしましょうか。今日は特別に砂糖をふんだんにまぶした甘いクッキーです」


「わ〜い!嬉しいですわ!クルミも入れてほしいですわ」

「フフ、胡桃は高カロリーですが……今日だけですよ」




 二人は笑いながら部屋を後に





「待て待てーい!ストップ!鉄メイデンはそこでストップ!金ロリはクッキーを貰いにゴーゴー!」



レイラを退席させメイデンが腰を下ろした。どことなく不機嫌なオーラを纏いながら、


「さっきお前はメリットはないと言ったッスね。しかしこの屋敷では金ロリの物が無くなる怪事件が起きてるらしいじゃないッスか」


「怪事件でもなんでもありませんよ。お嬢様のお召し物は毎回おろしたてをご用意させていただいているだけです。不必要な物はこちらで処分しているから勘違いなされているのでは?」


「ドミ――……あの石も処分したんスか?」

「あり得ませんね。処分しているのはあくまでお嬢様の衣類だけです」


 メイデンの言い分などまるで信じていないニーチェ。ニーチェは知っている。遥か昔に同じ言葉を口にした仲間を。


「個人的疑問ッスけどなにに使うんスか?知り合いもあっしの衣服を処分と称して収集する奴いたッスけど使い道を教えてくれなかったんスよね〜。なんか鉄メイデンとロクロリは同じ匂いがするッス」


「……なんのことでしょうか?」


 メイデンは表情を変えずにニーチェを睨んでいる。



「金ロリをこの場から離したのはあっしの情けッスよ。正直に言えッス。お前出来る事は何でもするって言ったじゃないッスか」


「…………――。」


 メイデンはニーチェの耳元に口を近づけ手で動きを隠した。シノブに内容を読み取らせないために。


「――――」

「……ふむふむッス」

「―――」

「……に?煮!?」

「――」

「ちょっと吐き気してきたから黙ってもらっていいッスか?」



 ニーチェは窓を開け放ち新鮮な空気を取り込み深呼吸を数回。


「大丈夫……ロクロリはそんな変態さんみたいなマネはしないはずッス……大丈夫……大丈夫……」


 自らを言い聞かせ


「まぁ冗談なんスけど、鉄メイデンが犯人だとやってることメチャクチャだから白ですねッスね」



 明らかにニーチェがぼんやりしてきた。ニーチェとの付き合いが短くてもわかる人にはわかる。



  飽きてきている。

 自分で集めておいてこの状況が面倒くさくなっていた。


…………



 ニーチェはレイラが持ってきたクッキーを摘みつつソファーに寝転がり


「犯人はわからんッスね。一応バル坊やが1番怪しいってことで解散〜ッス〜。お休み〜」


「バルザック……信じてましたのに……」


 一方的に犯人扱いされたバルザックは納得いかない。何よりもレイラに疑われている状況が許されない。


「ちょっと待ってよ。まだヒイラギのお兄さんがいるだろう?僕を悪魔から助けてくれたのは嬉しいけどさ、正直ヒイラギのお兄さんが1番石を盗めたと思うんだよね」

 

「状況的に拙者が疑われるのは仕方ないな」


 バルザックの言葉に納得するシノブ。対してメイデン、レイラ、ニーチェの顔は可哀相な者を見る瞳。


「はぁ……疑ってる訳じゃないッスけど一応シノブンにも聞くッス。盗んだッスか?」

「拙者は盗んでいないな」


「はい。シノブン白。この話し終わり」


「はあ!?なんだよそれ!納得できる訳ないだろ!」



 バルザックにしてみれば明らかな身内びいきが発生していた。それを許せる件ではない。2度目になるがレイラに疑われるということはバルザックにとっては死活問題なのだ。


 それを諌めるのは他でもないシノブだった。


「バルザック殿、拙者を疑うという事は相応の証拠と命を賭ける覚悟はできているのか?」

「証拠?そんなの僕だってないし、それに覚悟って……」


「バルザック!貴方はシノブ様を甘く見すぎですわ!シノブ様が真の犯人ならばまず疑われる状況事態作りませんわよ!お兄様あたりを犯人に仕立てあげてますわ!」


「………………」



「レイラ殿、拙者をわかってきたな」

「勿論ですわ!わたくしはバルザックと違ってシノブ様を信じてますわ!」


 場は和気あいあいとなる中で明らかにアウェーの風を感じるバルザック。


「タウロスを……犯人に仕立て上げる?可能なの?」

「規模によるがタウロス殿のアリバイは完璧だ。町全体に信じ込ませるには準備に10日間ほど必要だが……見せてやろうか?」


「お願いします!」



「あの……俺の目の前で犯人に仕立て上げるとかやめてくれません?」


 ついに部屋の主が一声をあげた。雑談ならばいくらしても構わないが目の前で自分を陥れる策略は見過ごせない。


「タウロス殿は少しやつれたな。やはり悪魔捕縛は荷が勝ちすぎていたか?」

「それもありますけどライラ母様が来ると思うと胃が痛くてですね……あ……」


「本当ですの!ママが来ますの!?」



 自らの失言に慌てて口をつぐむタウロス。だが時既に遅し。レイラはぴょんぴょん跳ねながら部屋を飛び出してしまった。


「ちょっと待って!ウィル父様かもしれないから!」


「パパも来てくれますの!こうしてはいられませんわ!」



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