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⭐︎第31話 羨望なる苦悶



 この身に与えられた美徳が奇跡を成すならば

 この身に刻まれた罪業が世界を冒涜するのならば

 美徳を苦悶により昇華させるのならば


 罪過を償うすべは何処に用意されているのか。


 救済の道に我はなく

 我が道に贖罪は伴わず

 汝を救い続けるも贖罪は現れず。




 贖罪とは見る事も触れる事も叶わぬ大望

 されど贖いの華は必ずや貴方の元に訪れる。



 見守るも 育てるも 愛でるも

 貴方は自由に選択する余地がある


 されど其の華は一つのみ

 見つけられる前に 摘まれる前に 手折られる前に——



 奇跡と必然が重なり其の華が訪れたならば

 貴方に選択出来る余地などありはしない


 

 


  ——捻れた信仰——






ーー

ーー

ーーー



『あははは!楽しいね!』

「——っ」


 狭い室内を所狭した駆け回るミリアム。

 死角からの攻撃を狙う事もあれば真正面から攻撃してくる事もあった。

 ミリアムの動きは速くもある。遅くもある。足場の悪さが影響しているのだろうか。

 少なくとも今のあたしには見えているし躱す余裕もある。



 そして


「疾ッ——!」

『はぁあは!』


 反撃する余裕もある。



 ミリアムの腕がダラリと落ちた。手加減する気も余裕もありはしない。


 あたしの世界では後ろに七つの美徳が関わっていないか。それを第一に危惧していた。

 関わってなければ問題はない。

 関わっていればお爺ちゃんが指揮をとった。


 それはお爺ちゃんが昏睡するまで続き、お父さんが代理当主を務めてからは七つの美徳には極力関わらなかった。


 理由は誰しもが納得のいくもの。

 

 七つの美徳はひいお爺ちゃんである柊刀を再起不能へと追いやっているのだ。

 



『中々にやるね。今の技……名前はあるのかい?』

「……技じゃないわ。たんなるシッペよ」


 腕がもげてもミリアムの表情が変わる事はない。きっと痛みなどないのだろう。

 あたしでは痛みを与える事など出来ないのだろう。


 あたしに出来た事はミリアムに作られた笑みを浮かべさせる事だけ。



『羨ましいね。年月をかけ研鑽し練磨し受け継がれたコレが技ともいえない児戯同然ということかい。羨ましいよ……あたいにはそんな事は出来ないんだからね』


 もがれた腕がすぐさま腐ったように地面に溶けていく。

 なおもミリアムの表情は崩れない。





『楽しませてもらった礼としてあたいも一つ魅せてやろうか。


 少女の瞳は青を写す 

 少女のまなこは蒼を映す

 されど少女は我を見ず 

 ならば我は熱情纏う蒼炎とならん

 その溢れんばかりの熱情をってして

 美徳を纏い尚も苦悶を知らぬ少女よ

 その輝く青眼に我を移したまえ!

 

   羨望なる奇跡(コピーアクション) 』




 ミリアムにずっとなかった気配が生まれた。

 これからは目視や音に頼らずとも気配でミリアムの動きを探れる。


 ミリアムの動きが洗練された動きに変貌している。

 全身をしならせ鞭のように放たれた一撃は紛れもなく


「——ッッ!?」

『疾っ——!疾風打って技かい!中々速く動けるものだね』



 

 見様見真似で完全に疾風打を模倣された。

 しかし動きが単調故に躱すことができたけど、


 

 ミリアムは避けたあたしに狙いを定め床を蹴り身体ごと稲妻の如き一撃を繰り出し——


『これから見せるのは本当に強かった男を羨望コピーした技だ。この幸福をよく噛み締めなよ!

    断風  雷鋒   』


「!?  くっっ……うぐぅぅぅう」


『どうした!呻き声を出すほど効いちゃいないだろう!舐めんてんじゃないよ!』


 あ  あ  不味い……不味い……

 断風をまともに喰らった。

 ビックリしたなんて言い訳は通用しない。

  マズイ……痺れる熱さが纏わりついている。


 まずい……まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい楽しい!まずいまずいまずいまずい!

 電気を帯びた血が溢れてくる。

 血液が逃げ場を求めて外へと押し出されていく。



 もたもたしてたら放電が来る。



 ……やってやるわよ。

 次にミリアムに触れられたら……もう後なんてありはしない。……やってくれるわよね?


 全てじゃなくてもいいから。

 あの子のお願いじゃないけど——お願い。


 拳銃に詰めていた弾丸を落として空にする。

 ここから先、使うのは一発だけ。





「  装填換装(トリガーチェンジ) 極死舞踏(シンデレラ) 」



『細胞の形が変化している?——まるで奇跡の末子様のようじゃないか!まだ底があるとは羨ましいね。殺しはしないからさ!せいぜいあたいを楽しませなよ!』



 


 ↓弱体化してもなんとか踏ん張れている柊心さん

「使わない弾丸を落とした理由?そっちの方が格好良さそうだからよ!もちろん後で拾うわよ!」



挿絵(By みてみん)



 面倒でなければ感想やいいね、評価を貰えたらイラストを追加していきたいです。






 ーーレイラと柊心のおまけーー



「頑張えですわ!心ちゃんがんばえ〜ですわ!」

「おまけとは言え応援されるってのは悪い気しないわね。レイラはお茶でも飲みながら次回を楽しみにしてなさい」


「心ちゃん、この戦いが終わったら二人でお夜食を食べましょうですわ」

「そうね。でも歯磨きはしっかりしなきゃダメよ」


「それにわたくしはまだ心ちゃんに言ってない事がありますの……この戦いが終わったらちゃんと伝えますから……だから絶対に勝ってほしいですわ」


「…………うん?」



「実はわたくし心ちゃんの為にお守りを作ってますの。この戦いが終わったら完成しますから、必ず生き残って受け取ってほしいですわ」



「ちょ、ちょっと待って。頑張るわよ。勿論あたしは頑張るからそんな死亡フラグ連発しないでちょうだい。あたしも本当に余裕ないんだからね」


「またまた冗談キツいですわ〜。次話は新技の【シンデレラ】でサクッと倒すんですわよね?これはもう予想つきすぎて読者様は次話を飛ばしちゃいますわよー」


「……わざと言ってないわよね?」

「なにがですの?秘密の台本にも『片腕を失った女性が負ける』って書いてますのよ。これはもう心ちゃんの勝率100%ですわ!」



「ならいいんだけど」


「では次話を飛ばしちゃうせっかちな読者様のために次回予告ですわ。


【やめて!羨望の特殊能力で弾丸を焼き払われたら、本編で弾丸と拳銃で繋がってる心ちゃんの精神まで燃え尽きちゃいますわ!

お願い、死なないで心ちゃん!心ちゃんが今ここで倒れたら、わたくしやバルザックとの約束はどうなっちゃいますの? 弾丸はまだ残ってる。ここを耐えればミリアムに勝てますのよ!

  次回  心ちゃん死す  レディスタンバイ】」



「ありがと。ここまでやると逆に大丈夫な気がしてきたわ」


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