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後編

後半です。よろしくお願いします!

「リリアナ、どうしてレイチェルと一緒にいるんだ? お昼は私と食べる約束をしていただろう?」


 学園の昼休み、友達となったリリアナとカフェテリアに行くと、ミハイル王子がいた。


 最初はリリアナへの嫌がらせを陰ながら何とかしようとしたけど難しかったので、僕は作戦を変更することにした。

 折角リリアナとお友達になれたので、「お二人の恋路の邪魔をする意思は全くありませんわよ」という姿勢を近くでアピールすることにしたのである。

 題して、“私は貴女達の味方ですわよ” 作戦!


「ミハイル様、わたし、レイチェルとお友達になったのです! これからは、レイチェル様もランチをご一緒してもいいですよね? レイチェルはミハイル様の婚約者でもありますし……」

「リリアナ、レイチェルに騙されているのではないか? レイチェルはお前を虐めてきたのだろう?」


 ミハイル王子が眉を顰めて言った。


「誤解です! わたし、レイチェルが大好きです! いくらミハイル様でも、レイチェルを悪く言うのは、許しませんよ! わたしはレイチェルとランチを食べますので、ご不満でしたら、ミハイル様はどこかへ行ってください!」


 リリアナは可愛らしく頰を膨らます。


「リリアナ、私が悪かった!レイチェルが改心したのなら、私も許そう」


 こうして何故か、ミハイル王子とリリアナと僕と3人で過ごすことが増えた。奇妙な三角関係である。

 僕とリリアナは、下の名前を呼び捨てで呼び合うほど、すっかり仲良くなった。

 これで、レイチェルの酷い断罪の未来はないだろう。


 しかし、改めてじっくり見ていると、リリアナは別にミハイル王子のことを何とも思っていないようにも思える。いい友達と思っていても、恋をしているようには決して見えない。

 乙女ゲーム的には、どうなっているんだ!?

 ―――今度姉上に聞いてみないと……。




「レイチェル、今度、一緒に王都に買い物に行きませんか? そろそろミハイル様のお誕生日です! 一緒にプレゼントをあげませんか?」


 少し首を傾けて、可愛くリリアナが尋ねてくる。

 さすがヒロイン。何をやっても可愛く見える!


「いいですわよ」


 週に一度の学園がお休みの日、僕達は王都で一緒に雑貨屋巡りをすることになった。

 これは、僕の人生初デート!?……見た目はレイチェルだけど。


 リリアナお勧めという、裕福な庶民もよく出入りする、可愛らしい一軒の雑貨屋を訪れた。

 そこで、僕は菫色の瞳のリリアナに似合いそうな、菫の花がモチーフの、紫の小さな石がついた可愛い髪飾りを見つけてしまった。

 僕はそれを手に取って、リリアナの頭にそっと付ける。


「これ、リリアナに似合いそう。お友達として、記念に差し上げますわ」

「えっ、いいのですか!? わたし、お友達からプレゼントを貰うのなんて初めてです! 嬉しい!」


 いやいや、それは反則です! 頰を真っ赤に染めて、キラキラ見つめてくる貴女は、可愛すぎますから!


 まるで本当のデートのようで、僕もちょっと浮かれていた。

 ―――だから、油断してしまった。



 本来の目的であった、王子の誕生日プレゼントを購入後、休憩しようとカフェを探して通りを歩いていた時だった。お喋りに夢中で、つい人通りの少ない道を歩いてしまった。


「おっと、こんなところに極上の女が2人もいるぜ」


 下卑た笑いを浮かべた男2人組が現れた。


「俺らと一緒に遊ばないかい?」


(やばいな)


 僕は素早く、咄嗟にスカートの下に隠していた護身用の短剣を取り出し、リリアナを守るように前に出た。


「レイチェル?」

「リリアナは後ろに下がって。私が何とかするから!」

「おやおや。随分と勇ましいお姉ちゃんだ。いつまで、虚勢を張ってられるかな」


 言い終わるか終わらないかで、攻撃をしかけてきた。女だと甘くみていたのだろう、僕は軽やかに横に交わし、男の首筋に強く剣の柄を叩き込むと、巨体が崩れ落ちた。


「こ、こいつ!」


 もう1人が正面から突っ込んできたので、鳩尾辺りを思い切り蹴り上げた。

 こう見えても、僕も護身用にそれなりに鍛えているし、武術の心得くらいはある。

 素人だったらしいら2人組の男は、「覚えてろよ」という定番の捨て台詞を吐いて、逃げるように去って行った。


「リリアナ、大丈夫?」


 振り返ると、リリアナが大きく目を見開き、僕の頭の辺りを指差している。


 ふと足元を見ると、僕の鬘が地面に落ちていた。

 どうやら派手に立ち回った時に、落ちてしまったようである。


(バレたか……)


 僕は頭の後ろを掻きながら、頭を下げた。


「ずっと黙っていて、ごめん……。僕は、レイチェルの弟のレイモンド。ちょっと事情があって、姉上の代わりに、学園に通っていたんだ……」


「レイ、モンド……」


 リリアナが呆然として、僕を見つめる。しかし、はっとして、僕の両手を握りしめた。


「わたし、昔も貴方に助けられたことがあります! 覚えていますか? 4年前、わたしが12歳の頃、伯爵家に引き取られて、初めて連れて行かれた貴族のお茶会で、子供達に馬鹿にされて虐められていたわたしを、レイモンドは庇ってくれましたよね? 初めてレイチェルにお会いした時に、どこかで見た顔だと思ったのです! だから、ずっとレイチェルに憧れて、お友達になりたいと思っていました! 私の直感、間違えてなかったのですね」


 リリアナが目に涙を浮かべて、ふんわりと微笑む。

 ああ、やはり可愛いなぁ。

 でも、バレてしまったから、リリアナと会えるのも、もうこれで最後か……。


 ―――そんなの絶対に嫌だ!



 僕は意を決して、リリアナの両手を握り返した。


「僕、リリアナが好きなんだ。僕はリリアナより1歳年下だけど、年下の男は恋愛対象として、ダメですか?」


 僕は勇気を振り絞って、リリアナを見つめる。


「ダメな訳ないよ。レイモンドは、わたしの初恋だもの」


 リリアナは潤んだ瞳で僕を見つめ、恥ずかしそうに答えてくれた。


 ―――ヤバイ。抱きしめたい!可愛すぎる!!


「抱きしめても、いい?」


 リリアナは頰を染め、上目遣いに僕を見上げて、頷いた。

 僕はリリアナを引き寄せ、額にキスをして、ぎゅっと抱きしめた。


 ―――僕、今、幸せすぎる!!!


 でも、ふと我に返る。


「そういえば、リリアナは、ミハイル王子のことはどう思っているの?」

「え? 最初からずっとお友達よ?」


 ……ですよね。


 ――――――――


「姉上、僕、リリアナとこれから結婚を前提に、交際することになりました。父上の許可はこれから取る予定なので、姉上も協力してくださいね。これだけ、姉上に振り回されたんですから」


 可愛い弟のレイモンドが、おずおずと報告してきた。


 ふふふっ。上手くリリアナは、レイモンドルートに乗ったわね。

 悪役令嬢レイチェルこと、レイモンドは実は隠しルートの隠しキャラである。

 私は知ってたけど、敢えてレイモンドには内緒にしていた。だって、言ってしまったら、攻略が面白くないでしょ?

 無事、ハッピーエンドなんだから、後で教えても文句は言わないでよね!

 このルートのお陰で、私も断罪エンドは避けられたし、これで私も晴れて自由の身っ!



 ―――前世の私が大好きだった登場キャラのリリアナとレイモンド。これからも2人で絶対幸せになってもらわないと!



 どうやら全て、元悪役令嬢レイチェルに、掌の上で転がされていたとレイモンドが知るのは、しばらく後の話。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

楽しんでいただけたら、幸いです( ^ω^ )


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