0話 俺は何を語るか
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山は季節とともに変わっていく。その景色は人々の気持ちをいつだって穏やかにさせた。そのような美しさとは反対に脅威もある。自然とは人間が上に立ち、コントロールできるほど簡単なものではない。自分の身体の中だって満足に知るできないものが、どうして他のものを完全に知ることができるのだろうか。不思議である。そんなことができるとしたら、そいつはもう人間ではない。いや…人でない俺でも、知らないことは多い。
俺の名前はヤクスリという。もしかしたら、もっと違うかっこいい名前だったのかもしれないが、今はそう名乗っている。街に医者がいるように、そいつらを街医者と言うならば、俺の職業は山医者である。両者は病気を治すという根本で繋がっているものの、その性質は、全く別のものである。街医者は頭がいいものがなりたくてなるものであるのに対し、山医者は事故でなるものであり、頭の良し悪しは問われない。街医者は金をたんまりとって、研究で熱心に頑張っている。それに対し山医者は、金を取らない、たくさんはな。その代わり患者とは深い、密接な関係になり、それこそ金で買えないものをもらう仕事である。俺たちのやり方はシンプルである。街医者では絶対に治せない病気がある。大抵はそういう奴らは街から離れ山なんかでひっそりと集落に入ったりして暮らすもんさ。そこにふらついてる俺らが通りかかって治すっていう仕組みだ。治し方なんかは俺らで共有しているし、その全てが実例が元となっている。だから治る確率も高いというわけである。
長くなって済まないが、前置きはここまでだ。俺は今までたくさんの患者と出会った。不思議なことは結構身近に起こるものだということを知ってもらうため、昔話でもしようじゃないか。
はじめまして、花恋音です。カレンと読みます。初投稿でいろいろとわからないことだらけですが、よろしくお願いします。




