第95話 友達失格
未熟ながら精進して参りますのでよろしくお願い致します!
感想・レビューお待ちしております!
ヒューッ…
あっ… 改めて見ると、恐ろしい景色だわ…
ブルッ!!
ラムは恐怖のあまり身震いをした。
「ラム…」
モヘア集落の男は優しくラムに声をかけた。
「大丈夫か… 足が震えているぞ…」
「だっ… 大丈夫よ…」
ラムは無理やり足の震えを止めた。
「……」
「行くわ…」
「わかった…」
モヘア集落の男はラムにヘッドライトがついたヘルメットをかぶせ、腰のあたりをロープで結んだ。
「準備万端だ…」
モヘア集落の住民達はロープを握った。
「おい!! モヘアの奴ら!!」
モヘア集落の住民達はウール集落の大男の方を向いた。
「助けが必要だろ!! 俺達も手伝うぞ!!」
「……」
「いやっ… いい…」
モヘア集落の男は代表して答えた。
「俺達だけでやるから… お前らは… ただ見てればいい…」
「何だと…」
「お前らのとこの奴も助けてやるから… 安心してそこで見ていろ…」
「……」
「あー… そうかい…」
その場にギスギスした空気が流れた。
「よし… 行くよ…」
モヘア集落の人達はロープを強く握った。
ラムは少しずつ、崖を下り始めた。
「……」
「なぁ… マトン…」
「どうしたんですかシン様…?」
「俺… 初めて見たマトンの能力…」
「あー… そういえば…」
「普段の生活でこの能力を使うことがないんですよね…」
「シン様こそ…」
「聞きたいことが山のようにあるんですけど…」
「……」
シンはマトンにこれまであったこと全て話した。
「そんなことがあったんですね…」
「ということは…」
「このモフモフしたやつ…」
「もしかして、私の能力をシン様が使ったってことですか…?」
「簡単に言えばそうだな…」
「まだ、その原理はよくわかっていないんだがな…」
「なるほど…」
「それと… シン様…」
「怒ってないんですか…?」
「えっ… どういうこと…?」
「……」
「シン様が大変な時に私… 勝手にやめちゃったじゃないですか…」
「ここで初めて会った時に少し心配だったんですよね…」
「あー… そんなことか…」
「全然気にしてないよ…」
「それよりも…」
「マトンが元気で本当に良かった…」
シンは満面の笑みでマトンに微笑んだ。
「シン様…」
マトンは頬を赤らめた。
「シン様こそ変わりましたね…」
「私が働いていた時は自分のことしか考えてない本当にどうしようもない最低なクズ野郎だと思っていたんですけど…」
「こうやって、私達の為であったり、誰かの為に命を懸けれる今のシン様は…」
「私!! 大好きです!!」
「マトン…」
「俺のとこで働いていた時、そんなこと思ってたのか…」
ガクッ…
「まっ… 前はですよ!!」
「今はそんな事全く思ってませんから!!」
「そっ… そうか…」
シンはふと上を見上げた。
「……」
「ん…」
「何か上から光が近づいてこないか…?」
「……」
「あっ… ほんとだ…」
「あれ何ですかね…?」
「それじゃあ… 策を伝えるわ…」
「見ての通り、私は今、山羊になってるの…」
「山羊ってね…」
「蹄は2つに分かれていて、肉球が柔らかいから、崖の昇降が得意なの…」
「だから… 私がこの崖を降りてみんなを助ける…」
マトン… あんたはよく頑張った…
本当は私が行くべきだったんだけど…
恐くて、足が動かなかった…
あんたが勇気を振り絞ってシロちゃん達を助けようとした時…
私は自分が情けなくなった…
もう逃げないよ…
ここで逃げたら…
あんたの友達失格だ…
絶対に…
皆を助ける…
ラムは地上から半分ぐらいの位置まで降りていった。
「あれは…」
「ヘルメットをかぶった山羊…?」
「……」
「ラムだわ…」
「えっ…」
「ラムが助けに来てくれたんですよ!!」
ラムは順調に崖を降りて、地上に足をつけた。
「ふぅー…」
「ラム…?」
「ラムなのね…?」
「……」
「そうよ…」
「やっ… 山羊がしゃべった!?」
「失礼ね!! せっかく助けに来たのに!!」
ラムのライトの明りがシンの周りを照らした。
「……」
「えっ… あんた…」
「何!! その姿!?」
「しっ… シン様!!」
「えっ…」
シンは自分の周りを見渡した。
「何じゃこれ!?」
シンの全身を羊毛が覆って、巨漢のようになっていた。
「あんた… お相撲さんみたいだよ…」
「通りで崖に落ちてもあんまりダメージがなかったわけだ…(何も見えなかったから、全然気付かなかった…)」
「……」
「もしかして、私の能力をシン様が使ったってことですか…?」
「簡単に言えばそうだな…」
えっ… 私の能力って、こんな感じなの…?
メェェェ…
「あっ… シロちゃん!!」
ラムはシロちゃんに駆け寄った。
「大丈夫…? 怪我はなかった…?」
「……」
「あっ… この姿じゃわからないか…」
シュウウウ……
ラムは人間の姿に戻っていった。
メッ!!
メェェェ!!
ラムを認識して近寄って来たシロちゃんをラムは抱き寄せた。
「よしよし…」
「でっ… ラム…」
「ここに来たってことは助けに来てくれたってことでいいの…?」
「そう…」
「おーい!! ラム!!」
「!?」
「あっ!! 上にいるみんなからだ!!」
「みんなー!!」
「もう地上に着いたよ!!」
「そうかー!! 良かったー!!」
「これから、引き上げ始めるよ!!」
「わかった!!」
第95話 FIN




