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第91話 モコちゃんとシロちゃん

未熟ながら精進して参りますのでよろしくお願い致します!

感想・レビューお待ちしております!

 バン!!


「ハァ… ハァ…」


 ずぶ濡れになった凛がドアを思い切り開けた。


「シン!! マックス!!」


「大変だ!!」


「!?」


「凛!! どうした!?」


「モコちゃんが…」



「モ(・)コ(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)が(・)ま(・)た(・)い(・)な(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)!!」



「……」


「それは… 大変だ…(毎度のことなので特に驚きもないな…)」


「マックス… 探しに行こう…」


「うん!! そうしよう!!」


 シン達はモコちゃんを探すためマトンの家を出た。


「マトン!!」


「!?」


「シン様!!」


「また、モコちゃんがいなくなったらしいな…」


「そうなんです…」


「今朝、様子を見に来たらいなくなっていて…」


「……」


「この雨だ…」


「早いとこ見つけ出さないとな…」


「そうですね…」


「今、集落のみんなにも探すのを手伝ってもらっているんです…」


「集落の中にはいなかったらしいので、外を探しに行ってもらってます…」


「わかった… 俺達も行こう…」


 シン達もモコちゃんを探すため集落を出た。


「モコちゃーん!!」


「いたか!?」


「いいや…」


「おーい!!」


「!?」


「マトン!! 3人共!!」


 シン達は大男の元に駆け寄った。


「モコちゃんは…」


「見た感じ、まだ見つかっていないようだな…」


「……」


「この雨だ… 万が一ってこともあり得る…」


 ぐすん…


 マトンはうつむいて肩を震わせ始めた。


「モコちゃん…」


「大丈夫よ…」


 凛はマトンの肩をさすり、優しく声をかけた。



「おい!! みんな!!」



「マ(・)ト(・)ン(・)の(・)羊(・)が(・)見(・)つ(・)か(・)っ(・)た(・)!!」



「えっ!!」


「けど!! 大変なことが起こった!!」


「ともかく!! 集まってきてくれ!!」


「……」


「行こうマトン!!」


「はい!!」



「何だ!? 凄い人だかりだ!!」


「あれって…」



「モ(・)ヘ(・)ア(・)集(・)落(・)の(・)人(・)達(・)で(・)す(・)!!」



「おい!! あの羊お前達のだろ!!」


「うちの可愛い山羊ちゃんをあんな危険な目に合わせて一体どういうつもりなんだ!!」


「冗談じゃない!! あれは山羊の習性だろ!!」


「お前たちのクソ山羊が、うちの羊を誑(たぶら)かしてるに違いない!!」


「何だと!!」



「みんなーー!!」


 マトン達は2つの集落の人だかりの中に駆け寄った。


「マトン!!」


「一体何があったの!?」


「モコちゃんは!?」


「あれをよく見ろ…」


 ウール集落の住民の男は、崖の方を指さした。


「えっ…」


 男が指さした先には、モコちゃんを先頭にして、その後ろに山羊がつき、ほぼ垂直な崖を登っていた。


「山羊が崖を登ることは知ってたけど、羊が登るなんて聞いたことない…」


「あー… だから…」


「あの山羊に誑(たぶら)かされてあんな危険な目に合ってるに違いない…」


「……」


「この雨だ… もし足を滑らせたりしたら…」


「ともかく!! 一刻も早く助けよう!!」



「ハァ… ハァ…」


「みんな!!」


「ラム!!」


「シロちゃんは!?」


「あそこだ…」


「嘘でしょ…」


「最近、迷子になることが多くて心配してたんだけど… 崖を登ってたの!?」


「それに、あの羊は…」


「私のモコちゃんよ…」


「マトン…」


 ぐすっ…


 ラムは涙目になった。



「あ(・)れ(・)は(・)一(・)体(・)ど(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)な(・)の(・)!!」



「何であなたの羊が先導して、シロちゃんが崖を登っているの!?」


「……」


「それは… わからないわ…」


「わからないですって!?」


「崖から落ちたら死んじゃうのよ!!」


「……」


「だから… 今から、助けるの…」


「助ける…?」


「どうやって!?」



「そのためには、みんなの力が必要なの…」



「マトン…」


「みんなって…?」


「モヘア集落の奴らもか!?」


「そう…」


「じょ!! 冗談じゃない!!」


「こいつらと協力するなんてまっぴらごめんだ!!」


「それは!! 俺達もだ!!」


「ラム!! お前の山羊は俺たちだけで助けよう!!」


「……」


「わかった…」


 ラムは悲しげな顔をした。


「マトン…」


「申し訳ないが…」


「俺達も同意見だ…」


「お前の羊は俺達だけで助けよう…」


「……」


 マトンはその場でうつむいた。


 ぐっ…


 凛は右拳を強く握った。


 何なのこの人達…


 どうして、こんな状況でもいがみ合っていられるの…


「ともかく時間がないから…」


「私の作戦を伝えるね…」


「まずは誰か長いロープを持ってきて…」


「わかった!!」


 集落の大男がロープを取りに行った。


「それを、私の体に括(くく)り付けて…」


「括(くく)り付けてって…」


「まさか!! あの崖を登るつもりなのか!?」


「そうです…」


「それは危険すぎる!!」


「もっとほかの方法を考えよう!!」


「……」


「シン様… お心遣いありがとうございます…」


「危険かもしれないですけど… こうするしか方法はないんです…」


「それに…」



「こ(・)の(・)役(・)目(・)は(・)私(・)に(・)し(・)か(・)で(・)き(・)な(・)い(・)ん(・)で(・)す(・)…」



「私を信じてください…」


「……」


「俺とお前との仲だ…」


「わかった…」


「信じよう…」


「けど、マトン… “私にしかできない”ってどういう意味なんだ…?」


「……」



「この役割は命を落とすかもしれません…」


「けど…」


「私の能力を使えば…」



「万(・)が(・)一(・)の(・)こ(・)と(・)が(・)あ(・)っ(・)て(・)も(・)助(・)か(・)る(・)可(・)能(・)性(・)が(・)あ(・)る(・)っ(・)て(・)こ(・)と(・)で(・)す(・)…」



 能力…?


 そういえば… マトンの能力は見たことなかったな…



「おーい!! マトン!!」


「ロープ持ってきたぞー!!」



「みんな…」


「覚悟はできてる…」


「力(・)を(・)貸(・)し(・)て(・)!!」



 能力名:羊の執事(ひつじのしつじ)



 第91話 FIN

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