第65話 治療
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シュウウウ……
「……」
改めて、感じる…
とても、暗く、重い空気…
これが邪気なんだ…
「じっちゃん… やるよ…」
「わかった…」
「該伯流気術…」
「吸…」
フゥ―ッ……
凛は、2人の体から出ている邪気を少し吸った。
ハァ… ハァ…
「もっと思い切って、力強く吸い込まないとだめじゃ!!」
「そんなんじゃ、日が暮れるわい!!」
ハァ… ハァ…
「わかった…」
フゥーッ…
凛は呼吸を整えた。
「該伯流気術…」
「吸!!」
フゥ―ッ!!!!
凛は、勢いよく邪気を吸い込み始め、半分ぐらい自分の体内に取り込んだ。
うっ……
やばい…
息が、続かない…
ハァ… ハァ…
シュウウウ……
「えっ…?」
私の口から邪気が出てきてる…
「……」
「邪気は全て吸い込んだ後に、気術で外に漏れないように結界をするのは知っておるの…」
「だから、中途半端に吸い込むのをやめると…」
「体の外に漏れだす…」
「よいか凛…」
「さっきも言ったと思うが、思い切り吸い込み…」
「一息で、終わらせることを意識しなさい…」
ハァ… ハァ…
「わかったよ… じっちゃん…」
「該伯流気術…」
「吸!!」
フゥ―ッ!!!!
凛は、一息で2人分の邪気を全て体内に吸い込んだ。
よし…
バタン!!
凛はその場にしりもちをつきうずくまった。
「ん… んー…」
「……」
「よし… 気術で結界をしたよ…」
「これで… 治療は…」
シュウウウ……
凛の体から邪気が少しずつ漏れ出した。
「えっ… どうして…」
「結界をしたはずなのに…?」
「……」
「原因は2つある…」
「1つ目は、単純に気術の結界のし忘れ…」
「2つ目は…」
「本人の気術が邪気よりも弱いということ…」
「これは、本人のその日の体調や、修業の期間によって変わってくる…」
「恐らく… 原因としては2つ目…」
「凛の気術が邪気よりも弱いので、気術の結界がうまく機能してないんじゃろう…」
「えっ… じゃあ…」
「私じゃ、この邪気を治療できないってこと…?」
「……」
「残念じゃが… そうじゃ…」
凛の吸収した、邪気は凛の体から全て放出された。
ピタッ…
凛はその場で涙を流し始めた。
「何で… 何で… 私には…」
「才能がないの…?」
「……」
「凛…」
「それは違う…」
「お前はまだ若い… だから、これから気術の勉強をして、成長していけばよい…」
「この邪気はわしが対処する… だから後はわしに任せろ…」
「ぐすん…」
「……」
「凛…」
えっ…
お父さん、お母さん…?
「もう1度やってごらんなさい…」
「……」
2人共ごめんなさい…
それに…
無理だよ… 私には…
「大丈夫…」
「次は必ず成功する…」
「俺たちを信じて…」
わかった…
「じっちゃん…」
「うん… どうした…?」
「最後に1回だけ…」
「挑戦させて…」
「!?」
凛の顔つきが変わった… さっきは、不安げじゃったが… 今は、何か吹っ切れたようじゃ…
「自信はあるのか?」
「うん…」
「わかった… やってみい…」
フゥーッ…
凛は目を閉じ呼吸を整えた。
やってみせる…
凛は大きく目を見開いた。
「該伯流気術…」
「吸!!」
フゥ―ッ!!!!
凛は再度、2人分の邪気を全て体内に吸い込み、その場でうつむいて立ち尽くした。
くっ… ダメだ…
結界を張ったのに…
邪気が、体から漏れそうだ…
「凛!! 大丈夫か!!」
くっ… 苦しい…
「……」
「凛…」
「!?」
お父さん…?
「もう少し… 頑張れるね…」
「大丈夫…」
「俺たちは、凛の味方だ…」
ピカッ……
「!?」
「なっ… 何じゃこれは…?」
凛の体から白い気が放出され、体を覆い、体内に入っていった。
「白い邪気…?」
「いやっ… 邪気の感じはしない…」
あれっ… 苦しくなくなった…
「……」
「凛… 頑張ったね…」
「あなたと過ごした時間は… 本当に楽しかったわ…」
「ありがとう…」
「……」
「寂しいけど… もうお別れの時間…」
「大丈夫… 私たちは、あなたをずっと見守っているから…」
お父さん… お母さん…
最後に聞いて!!
私、立派な気術医になる!!
2人の遺志を受け継いで… 邪気で苦しむ人を1人でも多く救う!!
「……」
「きっとなれるさ…」
「そうね…」
「だって…」
「俺(私)の、子供だから!!」
「じゃあな(ね)…」
2人は微笑み、凛の前から姿を消した。
「……」
「バイバイ… お父さん… お母さん…」
バタン!!
凛はその場で気絶して、倒れた。
「凛!! 大丈夫か!!」
「んー…」
「凛!! 目を覚ましたか!!」
「じっちゃん…」
「安心せぇ… ここはわしの家じゃ…」
「邪気はどうなったの…?」
「凛…」
該伯は凛を抱きしめ、涙を流し始めた。
「よく頑張った… 治療は成功じゃ…」
「本当に1人でよく頑張った…」
「……」
「1人じゃないよ… お父さんとお母さんがいたんだ…」
「!?」
「そうか2人が…」
「そういえば… 2人の体は…?」
「あー… ほかの人に見つかると、大変じゃから…」
「茂みの奥に隠しておいた…」
「明日、墓を作ってやろう…」
「そうだね…」
ー翌日(2人の墓の前)ー
最後に手を合わせて…
「……」
「よし…」
「じっちゃん… 私決めたんだ…」
「立派な気術医になって、2人の遺志を受け継ぐ…」
「気術を教えて!!」
「いいぞ…」
「じゃが… お前はまだ、精神も肉体も幼いし…」
「必要な教育も受けきれていない…」
「じゃから、町に出て寮で暮らして…」
「学校に行きなさい…」
「その後、修業をつけてやろう…」
「うーん… わかった…」
「それって、いつぐらいになるの…?」
「そうじゃの…」
「大体… 10年後ぐらいじゃな…」
第65話 FIN




