第64話 捜索
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「邪気が強く感じる…」
「恐らく… 鏡水の滝近くにいる可能性は高い…」
「よいか凛…」
「再度聞くが…」
「覚悟はできておるか…?」
「うん… 行こう…」
2人は茂みを抜け、鏡水の滝へ向かった。
「お父さん!! お母さん!!」
「……」
「ん? 凛じゃないか!!」
「じっちゃん!! 2人がいたよ!!」
「凛… こっちへおいで…」
2人は凛に向かって手招きをした。
「もう!! 探したんだから!!」
凛は涙を流しながら2人のいる滝の中心へ駆けていった。
やった… やっと会える…
もっと… いっぱい昔の話を聞くんだ…
もっと… いっぱい抱きしめてもらうんだ…
もっと… いっぱい…
「凛!! 行くな!!」
「えっ!?」
「じっちゃん何言ってんの!!」
「せっかく2人がいたんだよ!!」
「……」
「凛… 目を覚ませ…」
「どこにも2人はおらんぞ…」
「えっ…」
「あれっ… 2人がいない…」
「……」
「ごめん… じっちゃん…」
「幻覚だった…」
「……」
「まぁ… 今回は許そう…」
「けれど、おかしい…」
「邪気は強く感じるのに… どうして、2人はいないんじゃ…」
2人は滝の近くに行った。
「けど、こんなに邪気を感じるってことは、お父さんたちがここに来たってことは確かなんだよね…?」
「うーーん… 恐らくな…」
「一体2人はどこにおるんじゃ…」
キラッ…
「ん? あれって…?」
凛は水の中に入っていった。
「どうした!! 凛!!」
「じっちゃん… これ…」
「お父さんたちの結婚指輪だよ!!」
「何じゃと!! 本当か!!」
「うん!! 裏に2人の名前と結婚記念日が彫ってあるからそうだと思う!!」
「それに…」
「すごい強く邪気を感じるんだ…」
「滝壺から…」
「!?」
「まさか…」
該伯も水の中に入っていった。
「いいか凛… お前は水の中から上がっておれ…」
「わしが確かめる…」
「わかった…」
該伯は滝壺へ向かい、凛は水の中から上がった。
「……」
凛は指輪を強く握りしめた。
大丈夫だよね… あの邪気は何かの間違いだ…
2人は生きている…
うん!! きっとそうだ!!
確かに凛の言う通り、ここは邪気が強く感じる…
けれど… 何も…
トン…
「ん?」
「何か足に…」
「!?」
「……」
該伯はうつむきながら、凛のもとへ戻っていった。
「あれっ… どうしたのじっちゃん…?」
「あー… もしかして、何も手掛かりがなかったんだ…」
「ごめんね… 私の勘違いで…」
「また、別の所を…」
ピタッ……
「!?」
涙…?
ぐっ……
該伯は凛の前に立ち止まり涙を流しながら抱きしめた。
「凛よ… わしにはお前しかおらんのじゃ…」
「だから… これから先何があっても…」
「わしが、お前を守ってやる…」
凛は全てを察し、涙を流し始めた。
「すまん… すまんかったの…」
「普通の女の子だったら、こんな悲しい経験せずに済んだのに…」
「じっちゃん…」
「謝るのは私の方だよ…」
「私が、あの場にいなければこんなこと起こらなかったのに…」
凛の体から黒い煙が出始めた。
「私なんか生まれてこなければよかったんじゃないのかな……」
「そんなことはない!!」
「父さんと母さんは最後まで、邪気からお前を守ってたんじゃろ!!」
「自暴自棄になるな!!」
「……」
「くそっ…」
「ともかくこの邪気を対処しなければ…」
「該伯流気術…」
「祓!!」
シュウウウ……
該伯は凛を抱きしめたまま、両腕から出ていいる煙で治療を開始した。
「凛よ… わしが、必ず救ってやる…」
「該伯流気術…」
「吸!!」
該伯は凛の体から出た邪気を全て吸い込んだ。
該伯の治療によって、凛の体から邪気がなくなった。 治療の後、凛はその場に座り込んだ。
「……」
「じっちゃん…」
「ありがとう…」
「今、すごく気持ちが楽だよ…」
「そうか、それは良かった…」
「それと… 気持ちの整理がついたよ…」
「もう少し休んだら…」
「最後に、2人に別れを言わせて…」
「……」
「わかった…」
該伯達は、滝壺に沈んでいた2人の遺体を陸に上げ寝かせた。
「……」
「2人は本当に死んじゃったんだね…」
「体は冷たいし、息もしていない…」
該伯は立ったままうつむいた。
「全く… こ奴らは大バカ者じゃ…」
「残された者の気持ちを理解しておらん…」
シュウウウ……
「死んだ人にも邪気ってついてるんだね…」
「あー… じゃが、祓で邪気を引き離す必要はない…」
「このまま吸で体内で取り入れることが出来る…」
「今から、わしが邪気を処理する…」
「じっちゃん…」
「私が、やってもいいかな…?」
「!?」
「ダメじゃ!!」
「それは危険すぎる!!」
「……」
凛はその場で該伯に深く頭を下げた。
「凛…」
「お願いします!! 私にやらせてください!!」
「じゃないと…」
「一生後悔すると思うから!!」
凛は涙を流し始めた。
「覚悟はあるのか…」
「この邪気はとても強い… 下手すれば、邪気が体を覆うことになる…」
「最悪、お前の両親と同じ道をたどる可能性があるぞ…」
「それでも、よいのか…」
「……」
「私ね… 決めたんだ…」
「将来… 立派な気術医になって、邪気で苦しむ人を助ける…」
「2人の意志は私が受け継ぐ…」
「だから… もう、邪気から逃げたくないんだ…」
「……」
「わかった…」
「じゃが… 何かあったらすぐわしが止めに入る…」
「よいな…」
「うん…」
第64話 FIN




