賑やかな日常と、秘密の暴露
第12話では、和樹と山城先輩の甘い朝、そして親友カップルである和泉と沙羅との賑やかな交流が描かれます。学校一の美女として名高い沙羅と和泉の意外な関係性や、和樹の冗談に振り回される純粋な面々。孤独だった山城の世界に、新しい「仲間」が加わる記念すべき回となります。
翌朝。山城は和樹よりも先に目を覚ました。隣で無防備に眠る彼の顔を見て、彼女はたまらず頬を染める。そっとその額にキスをして彼を起こすと、目を覚ました和樹はしばらく彼女をじっと見つめていた。
「……おはよう」
和樹はいたずらっぽく笑うと、彼女の脇の下に指を滑らせた。
「ひゃっ、やめて、和樹……っ!」
子供のように笑い転げる山城。彼女が息をつけなくなるほどくすぐった後、和樹は彼女を力一杯抱きしめた。幸せな朝のひとときを経て、二人は朝食を済ませて登校した。
教室では、和泉が和樹の顔を覗き込んでいた。
「和樹、お前最近なんだか幸せそうだな。隠し事か?」
「ああ、秘密が一つあるんだ」
和樹が余裕の笑みで答えると、そこへ沙羅が勢いよく飛び込んできた。彼女は和泉の背中に飛び乗り、脚を彼の腰に、腕を首に回して密着する。和泉は慣れた手つきで彼女の腿を支え、落下を防いだ。
クラスの男子たちはその光景に絶叫した。クラス一の美少女である沙羅が、親友の「負け組」に見える和泉と付き合っている事実に、彼らの心は粉々に砕け散る。沙羅は彼らをさらに嫉妬させるように、和泉の頬に音を立ててキスをした。和樹はその阿鼻叫喚の地獄絵図を、楽しそうに眺めていた。
「和泉、お前の親父さんたちは彼女を認めてくれたのか?」
「いや、まだ説得中だよ」
「うちの両親も半分くらいかな」
沙羅がそう答えると、和樹はニヤリと笑って和泉をからかった。
「いいアイデアがあるぞ。手っ取り早く孫の顔でも見せてやれば、一発で認めてくれるんじゃないか?」
「バカ言え! 沙羅の前で何てこと言うんだよ!」
和泉が真っ赤になって怒るが、意味を正しく理解していない沙羅は、和泉の顔をじっと見つめて言った。
「和泉の両親が認めてくれるなら、私、孫をあげてもいいよ?」
「沙羅、それはそんな簡単なことじゃないんだってば……」
和泉が彼女の頬を優しく撫でてなだめる様子を、和樹は微笑ましく見守っていた。その様子を、廊下から山城が静かに見つめていた。
放課後、アパートに戻った二人の元に、和泉から一本の電話が入った。「今夜、ダブデ(ダブルデート)というか、お前の家で遊ばないか?」という提案だ。
和樹が快諾し、しばらくして和泉と沙羅がアパートを訪れた。
ドアを開けた二人は、そこにエプロン姿の山城がいるのを見て石化した。
「……いらっしゃい」
山城が静かに出迎えると、沙羅は「先輩、お邪魔します!」とすぐに順応したが、和泉の魂は口から抜けかけていた。和泉は震える指で彼女を指さし、和樹の耳元で必死に囁いた。
「お、おい和樹……なんで『氷の石像』がここにいるんだよ!? 殺されるぞ!」
和樹は和泉の肩をポンと叩き、平然と言い放った。
「紹介するよ。俺の彼女だ」
その瞬間、和泉の叫び声がアパート中に響き渡った。
ついに和泉に正体がバレてしまいました。学校での力関係とは裏腹に、和樹のアパートでは山城先輩が「家主の彼女」として穏やかに佇んでいる……。このシュールな状況に和泉はどう対処するのでしょうか。
次回、四人での賑やかな夜。山城先輩が、初めて「友達」と呼べる存在と過ごす、温かな時間をお届けします。




