第五十七話【武闘大会一回戦・弐】
バァァァァァン!!
岩が赤く光ったと思ったら、やはり爆発しやがった。
『うわっ、岩の爆発と共にものすごい光が出て来ました! これは‥‥‥上級の魔法ですね。相手の二年生は平民らしいのですが、戦闘不能は免れないと思いま‥‥‥‥‥‥えっ!?』
女性が実況を途中で止め、驚きの声を上げる。
何故かって?
俺は爆発の中でも歩き続けて、相手に向かって足を進めているからだ。
あぁ、にしてもびっくりしたわ。
心臓に悪いぜ。
てか顔が若干痛かったし。
この俺にダメージを感じさせるとは‥‥‥あいつ、なかなかやるじゃねぇか。
因みに俺はもう相手の目の前に迫っている。
「ねぇ、先輩さん? この魔法とやらを受けたあとで言いますよ? ギブアップしてください」
そう言ってみると、相手は唖然とした表情。
そして少しの間が空いたあとで、やっと状況が理解出来たらしく、
「…………ど、どうして。‥‥‥なんで無傷なんだよ!! おかしいだろ!」
「だから言ったでしょ? 戦力差があるって」
聞き分けの無い奴は嫌いだ。
はやくしろ。
じゃないとキレるよ?
『なんと! レインは何事もなかったように歩き続け、今現在何やら会話をしているようですが、全く聞き取れません』
おい、実況。
うるさいよ?
交渉に集中させてくれるかな?
フィリップとやらは、拳を握りしめて悩んでいる。
別に悩む理由なんてなかろう。
自慢の魔法が相手に無傷だった。
それだけで諦めがつくのは普通だ。
あんまりしつこいと女子に嫌われるぞ?
俺はしつこくなくても嫌われているけどな。って今そんなことはどっちでもええねん。
「ギ‥‥‥ギブアップする」
相手は大人しくそう宣言し、自分から膝を地面に下ろした。
『おぉっと。フィリップが自発的に膝を落としました。これはギブアップとなります。これにより勝者二年生レイン!!』
そんな声が響いて来るが、観客からの声はない。
静まりかえってやがる。
まあいいけどさ。
俺は膝をついている相手を無視し、反対方向の出口へと向かって歩き出す。
『彼は一体何者なのでしょう。平民が一度も攻撃することなく、一方的に攻めていた上級生をギブアップさせました。これは次に期待出来ます』
‥‥‥。
やはり声援はない。
その後俺は、観客席に戻って俺のクラスメイトたちが座っている付近の席へ移動すると、静かに次の出番を待った。
因みに、誰も話しかけて来てはくれなかった。
ティナさんが近くにいたら、おそらく「おめでとう」くらいは言ってくれたはずなのだが。
そのティナさんは結構遠くにいるんだよな。
まあ、さっき目が合って、一瞬笑顔を見せてくれたけどさ。
てかやっぱり俺、孤独だわ。
まじで関わりのある奴が少なすぎる。
俺がひそかに好意を寄せている金髪ロングヘアーで人懐っこいリランディさんは、魔術コースだからそもそも座っているエリアが違いすぎるし‥‥‥シャーロットくんは見た感じどこかへ行っているし。
となると、本当に話せる人がおらんぜよ。
誰か話しかけてくれよ。
とか考えていたその時。
「ねぇねぇ」
女子のそんな声が聞こえて来た。
おっ!?
席に座った状態で右側を向いてみると‥‥‥同じAクラスの女子が、俺の左に座っている女子に視線を向けている。
「どうしたの?」
左の女子は俺を避けるように体を曲げると、右の女子と視線を合わせてそう答えた。
‥‥‥うぜぇ。
てか気まずいわ。
俺は、そのまま自分の腕に頭を押し付け、寝たふりを始める。
まじでこういうのいらんわ。
何してんねん。
俺の左右で話をすな!
どっちかが移動しろよ。
なんで俺をまたぐねん。
あー、てっきり俺に「すごかったね!」とか言ってくれるのかと思ったのに‥‥‥。
うん、今更すぎるけど、俺って孤独。
いや~、一人って楽だな~。
全く気を使わなくてもいいしな~。
悲しくなんてないもん!
しばらくして‥‥‥。
俺は今現在、準備室で出番を待っています。
通路越しに試合場を見た感じ、今はシャーロットくんが木刀を使って五年生魔術コースの男子と戦っている。
まあ、決着はそろそろだろうな。
『決まりましたぁ!! 勝者、五年生ハント!!』
やっぱりか‥‥‥。
明らかに戦力差が離れすぎていた。
勿論シャーロットくんは魔力こそほとんどないものの、戦闘が上手い。
だが、相手の五年生はそれを上回るほどの魔法力で圧倒していたのだ。
この学園って‥‥‥普通に化け物揃いだよな?
ただの平民である俺くらいしか、一般人がいないよな?
そうだよな?
少しの間通路の近くに立って待っていると、一回戦の時と同様、体が細くておっとりした案内役の男性教師が、試合場へと続いている通路からやって来た。
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