白猫ミヤ エピソード0 ようこそ 勇者さま!
こちらも作成日2024年4月もの。2話同時に書いたためどっち先?で脳内揉めでした。
先にした理由が今後こんな展開ないなと。まぁ英雄さんはすでにどこぞに出てますし。
目の前が真っ白になって何も見えない。
しばらく待つと霧が晴れ室内の様子が元に戻っていく。変わったのは魔法陣の上だけ。さざ波のような複数の喜びあう声がする。光が消えつつある魔法陣の上にいたものはぼんやりと周りを見渡す。室内にいる一人が進み出て恭しくひざまずいた。
「ようこそお越しくださいました、勇者さま」
ー--10年に一度、勇者の資質をもつ御方を招いてもてなす。
贖罪からはじまったことだと歴史書には記されている。先人たちが日々の努力で得た知識は、異界の門を開くまでになった。しかしそれはこの時点で持っているべき警戒心を伴っていなかった。門の先がどのような状態かも考えず招いたのは、邪神と英雄。
『誰ぞ。我らの邪魔をするのは』
「お互い決めてがなく攻めあぐねていたからちょうどいいじゃねぇか」
『白々しい。今ので止めを刺せたものを』
自分たちは特別だと思ったのか。世界の理を解きほぐし、神の高みが見えたのだと。だが目の前のものは何だ。だれもが絶望を見て、後悔を知る。そしてそれは遅いのだと体の震えが証明した。地に伏し涙を浮かべる者もいる。わたしたちはまちがったのだと。
ズガガガガガガガガガガー------------
巨大な邪神が軽く尾を振っただけで地が裂けた。邪魔をされた怒りと目の前の英雄は息も乱さず佇んでいるのが気に入らない。なんならにやにやしているのもまずいのだろう。どちらもここで戦う意思はないと見えるのが救いであってほしい。
興冷めた二方は長居することなく元の世界に戻るべく門へ向かう。邪神に声をかけるものはいないが地位あるものの勤めとして一人英雄に声をかけた。
「英雄様、我らはこの罪をどう償えばよいでしょうか」
跪き縋る目で見上げる少女は巫女だろうか。幼さは見えず、まるでその身を捧げろと言われても従う決意が見て取れる。さぁ困った。嫌がってないのならまったくもってやぶさかではないのだが、口うるさい友人が脳内でわめくのだ。けだものひとでなしとあらゆる罵詈雑言がぶつけられるくらい少女は華奢で小柄だった。残念無念というやつ。
「今度からは暇そうなやつをもてなしてやってくれ」
じゃぁなと手を挙げ門の向こうへ去っていく英雄の背には神が授けただろう大剣が輝いていた。少女は英雄の去った門が消えた後も長くその場を離れなかった。
この出来事が後世に伝わるにあたりちょっぴり脚色された。ちょっぴりね・・・
「ここ どこ?」
「勇者さま。突然お呼びして申し訳ありません。ここはあなたがいた世界と別の世界でございます。」
「ゆうしゃ? わたしミヤ、よろしくねー」
「まぁ、此度の勇者さまはとてもおかわいらしいですね。失礼ですが抱えてもよろしいですか?」
「うん、どこいくの?」
「まずはお食事にしましょうね、なにがいいですか?」
「わーい、ありがとー。おさかなー」
かつての魔法陣と比べるとずいぶんと小さく、呼び出す条件は元気で好奇心いっぱいな子であること。今回は赤いリボンを付けている白い若猫。頭に同じ白猫のマスコットをのせている。喋っているのはこのマスコットで、ミヤはふつうの猫である。溢れる好奇心のまま旅する『旅猫』さんだ。
もてなしている側はすらっとしたスーツを着こなしている女性で、召喚した場所は近代的なビルの中だった。外に出ると車に乗ってヘリポートへ向かう。大勢の人とカメラ撮影をミヤも楽しそうに見ている。今やイベント化した召喚式は、世界中に映像配信され後にミヤは今代の勇者のぬいぐるみとして大層人気になったそうだ。
「あら、ミヤおかえり。そう、たのしかったのね」
「うん、ゆうしゃのししつはだれにでもあるんだっていってたよー」
始まりました、『白猫ミヤ』シリーズ。内容はともかく俗物まみれな人が書いてることをお忘れなく。ごはん代稼ぐのです。でも書くと頭がすっきりするのも本当。このまま僅かでも体調良くなればなお良し。




