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第5話

『二人とも、通信は聞こえてる?』


 ノアの右耳に付けられた小型通信機から隊長の声が聞こえる。

 二人は例の依頼の座標付近まで来た。ノアはスナイパーライフル、ベラはアサルトライフルを持ち、目標地点の工場跡地を索敵しながら慎重に進む。


「通信りょうこ〜う! けど隊長、ここ誰もいなさそうだよ。私たちの足音しかしな〜い」

「……」


 廊下を一歩進むたびにカランカランと金属音が反響するが、敵が気づいて近づいてくる、なんてことは起きない。ベラが喋らないのも相まって余計静かに感じる。


『ノア、作戦中よ。真面目にやって』

「ごめんなさい、隊長。けどほんとに誰もいないんだもん」

「……」


 ベラが同調し首を振るのを映像越しで見た隊長は、不気味に感じながらも二人に話しかける。


『少なくとも依頼の目標地点は間違ってないわ。なにかはあるはずよ』

「……」

「は〜い、もう少し奥まで行ってみる!」


『気をつけて、異常があったらすぐに撤退しなさい。コテナ号もすぐに出られるようにしておくから』


 二人が奥へ進んでいくと通路がどんどん狭くなっていく。

 はじめは十人横並びで歩いても余裕がありそうだったのが、今では二人横並びだと少し狭く感じる程だ。


「ベラ、止まって……なにあれ?」

「……?」

『何か見つけたの?』

「そっちに映像送るね」

『……なによあれ?』


 吹き抜けとなった大きい部屋、その下で数十体の機械人形が真ん中にあるものを守るように配置されている。念のため姿を隠しながら二人は隊長の指示を待つ。


『中心のあれはなに?』

「高さが一メートルくらいの四角い黒い箱、かな? 破壊とかは無理そう」

『あなたたちでも?』


「うん、見た感じ装甲が硬そう。壊すなら対物ライフルとか持ってこなきゃかも」

「……」


 ノアの話を聞いて、隊長は次の行動について考える。


(一見普通の依頼のように見えるけど、護衛の機械人形の数が多すぎないかしら?)


『……二人とも、中身の解析だけこっちでしちゃうから待ってられる?』

「え、大丈夫?」

「……?」


『中身を覗くだけなら大丈夫だと思うわ」

「そういう意味じゃないんだけど……」

「……」


 隊長が遠距離から中身の解析を試みる。その間、手持ち無沙汰となったノアとベラは遮蔽物の陰に腰掛けようとする。


「よいしょ。って、えっ!」

「……!」


 しかし、ノアが座ろうとした瞬間、静かな工場に赤い光と共にサイレンのような警告音が鳴り響き始める。


「隊長ぉ〜!! ほらぁ〜、だから言ったじゃん!! またハッキングミスったんでしょ!」

『……完全にやらかしたわ。ごめんなさい』

「……」


 ベラも首を横に振って呆れたような顔をしている。


「もぉ〜、仕方ないなぁ。ベラ、機械人形を破壊するよ!」

「……!」


 二人は並び、迫る機械人形の大群に銃を向ける。

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