第13話
ノアとベラは祭り会場へと到着した。屋台がたくさん並んでいて、とても賑わっている。
「ベラ、金魚すくいあるよ! やろ!」
「……!」
金魚すくいや射的など、お祭りらしいものをやり尽くした二人は休憩のために少し離れたところにあるベンチに座った。
「楽しいね、ベラ」
「……」
ベラが頷く。二人で屋台の方を見ていると突然気づいた。キョロキョロ辺りを探しているような子供が一人居ることに。
「まさか、迷子なんてこと…ないよね?」
「……」
声をかけてみようとノアが立ち上がると、子供が泣きだしたのが見えた。
「ありゃりゃ、迷子だ」
「……!」
―――
「君、大丈夫?」
「お母さんとはぐれちゃった……」
「お姉さんに任せて。一緒に探してあげる」
「ほんと……?」
「うん。ほら、手握って?」
ノアが子供の手を握ると、落ち着いたようで子供が泣き止む。
「ベラも握ってあげて?」
「……」
ベラが恐る恐るといった感じで手を差し出すと、子供の方から手を握る。子供を真ん中に、傍から見たら仲のいい姉弟に見えるような形で歩く。
「あ、りんご飴あるじゃん」
屋台を見たノアがそう呟くと、子供の目もそちらに釘付けになる。
「……食べたい?」
ノアが聞くと子供とベラはこくんと頷く。
「ベラには聞いてなかったんだけど……」
「……!」
「分かったよ、買うから!」
悲しそうな目をしてじっと見てくるベラを前にノアも折れた。
「すみません、りんご飴を三つお願いします」
「はいよ! なんだ嬢ちゃん、姉弟で来たのか? 仲が良さそうじゃねぇか」
「えっと、この子、お母さんとはぐれちゃったみたいで一緒に探してるんです」
「そりゃあ大変じゃねぇか! ちょっと待ってろ!」
「「「???」」」
―――
「あんな簡単に見つかるなんて……」
「……」
りんご飴の屋台の店主は、他の屋台の店主たちにバケツリレー方式で迷子の子のことを伝えていった。やがてその情報は周囲の人にも伝わり、大声で呼びかけが行われた。すると、その中に迷子の子のお母さんが居たため、迷子はすぐに解決した。
「何もしてないのにりんご飴サービスしてもらっちゃったし」
ノアは、深々とお礼をしてくれたお母さんと、笑顔で手を振って別れた子供のことを思い出す。
「ま、悪くないかな」
「……!」
突然、ベラがノアの袖を引っ張る。
「ど、どうしたの?」
「……!」
「私、なんか忘れてる?」
ベラがこくこくと頷く。
「……あ! 隊長に頼まれたのに食べ物買ってない!」
思い出した二人は焼きそばの屋台へと急ぐ。
「焼きそば、三人分ください!」
「二人なのに三人分かい? よく食べるね」
「いや、家族の分です」
「そうかい、じゃあその人にもよろしくね。はい、三人分」
「ありがとうございます!」
焼きそばを調達した二人はコテナ号へと帰路に就く。そのタイミングで花火が上がり始める。破裂音と共に人工の空に花が咲く。
「綺麗だね、ベラ」
「……」
「……また来よう? 次は隊長も一緒に、家族全員で」
「……!」
ベラはノアの顔を見て嬉しそうに深く頷いた。




