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7.カクヨムの死生がユーザーの手に握られていることについて

【本話の要点】

・「カクヨム」に対して何かを期待するのならば、ユーザー自体がカクヨムを利用し続ける姿勢が大切である。

 新小説投稿サイトとして出発したカクヨムですが、インターネットにある以上、「パレートの法則」から逃れることはできません。したがって、一部のユーザーが期待するような多様性が生み出されることはありません。


 ブックマークの格差については、何も言うことができません。「格差が小さくなっている」ということは「カクヨムに対して注目がなされていない」ということと同義です。そうなれば当然、カクヨムに投稿しているユーザーの作品が日の目を浴びる機会は減ります。


 では格差が大きくなればいいのでしょうか? 仮にそうであったとしても、あなたの作品がブックマークを獲得できる保証はどこにもありません。アクセスの集中する2割になればいいかもしれませんが、8割に埋もれてしまう可能性は大いに有り得ます。


 せっかくカクヨムが華々しくオープンしたというのに、これではお先真っ暗のような印象を受けます。ですが、必ずしもそういうわけではありません。もちろん、正式にオープンするまでの間に期待が膨らんだ分、外れた期待がすぐに失望感へと変わってしまったことについては弁護のしようがありません。しかし、カクヨムにはそれを補って余りある点もまだまだあります。


 それは決して、カクヨムを運営している主体が大手だからとかいうような、瑣末な問題ではありません。カクヨムという小説投稿サイト自体が、まだ若いという点が最大の利点なのです。


 項目6.において、私は「小説家になろう」の戦略を「ある種の自転車操業に近い」と形容しました。このように言ってしまうと節操のなさを悪し様にののしっているかのような印象を与えてしまいかねませんが、実際にははるかに大きな意義を秘めています。「小説家になろう」は、多くの新規ユーザーを引き付け、コンテンツを引き付け、短期的には変わっていないかのように見えても、長期的には著しい創造的進化を遂げています。


 今のカクヨムは確かに使いづらいかもしれませんが、正直2013年頃の「小説家になろう」と比較してみれば、使い勝手には大差がありません。以前のアクセス解析では、グラフとして表記されるのはユニークアクセス数であり、PV数ではありませんでした(そのため、アクセス0はざらにありました)。しおりに至っては、1つの作品にしか挟むことができませんでした(今では、200作品をブックマーク登録していれば、そのすべてにしおりを挟むことができます)。ユーザーページのレイアウトも格段に見やすくなっています。何もないところから、とつぜん今の「小説家になろう」が生じたわけではありません。数年毎の脱皮を繰り返していく中で、「小説家になろう」自体も大きな変貌を遂げているわけです。愛着を感じるかどうかは別ですが、ある意味ではウェブサイトも「生きている」と言えるのかもしれません。


 ですが、ウェブサイトは別に、無理して変わってやる必要はありません。外見的には単純な変更であっても、システム的には大幅な書き換えを余儀なくされる事態は無数に存在します。システムは「やってほしい仕事」をしてくれるのではなく、「やれと言われた仕事」をするだけに留まるためです。それでも「小説家になろう」が変化を厭わなかった背景には、「小説家になろう」にそれなりの魅力を感じて集まってくるユーザーが多いためです。


 このことを踏まえて、カクヨムについて考えてみましょう。オープンしてからまだ2週間しか経っていませんが、既にカクヨム、ならびにカクヨム周辺は焼け野原に近い様相を呈している観があります。ユーザーが去ってしまえば、カクヨムは本当に死んでしまいます。今のカクヨムは期待外れかもしれませんが、しかし期待が実現されるだけのチャンスが転がっているのも、またカクヨムだけです。「カクヨムは期待外れだったから、新しい小説投稿サイトができるまで待とう」と考えるかぎり、チャンスは永遠に訪れません。


 カクヨムがユーザーにとって、よりよい小説投稿サイトになるには、何が必要なのか? ――簡単なことです。ユーザーはただ待っていればいいのです。ただし、その待機は受動的なものであってはなりません。書き手ならば作品を投稿し、読み手ならば読んで評価する――このような能動的な待機を、しばらくの間は続ける必要があります。ユーザーが積極的に関わろうとする限りにおいて、そのウェブサイトは永遠に生き続け、成長し続けます。そして成長を続けるかぎり、カクヨムは「小説家になろう」とは異なった小説投稿サイトとしての生を生きることになるでしょう。

 『某新小説投稿サイトに早くも失望している方々へ』はこれにて完結です。読了ありがとうございました。

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