第70話 あと少しで、自分たちもあそこにいた
澪は上を見上げた。
一番上の層に、光の球が並んでいた。他の層より新しい光だった。中にいる者たちの輪郭がはっきりしていた。
装備に見覚えがあった。
今日、儀式でゲートをくぐった者たちだった。自分たちと同じグループで召喚された者たちだった。顔は見えなかった。でも装備の形、服装の色、それだけで分かった。
あと少しで、自分たちもあそこにいた。
その事実が、静かに胸に落ちてきた。
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下層へ目を向けた。
光の球が続いていた。上層より古い光だった。中にいる者たちの輪郭が、少しずつぼやけていた。さらに下へ、また下へ。どこまでも続いていた。
名前も顔も分からない誰かたちが、静かに眠っていた。
王都神殿地下で見た記録が頭に浮かんだ。選別という文字が並んでいた。レベル、魔力量、生命力。数字と名前が並んでいた。
あの記録に名前があった誰かが、ここにいるのかもしれなかった。
確かめる方法がなかった。でも否定もできなかった。
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私たちも、いずれこうなるはずだった。
その言葉が、頭の中で繰り返された。これまでの旅の中で感じてきた違和感、積み重ねてきた疑念、どれよりも重くのしかかってきた。
零司はこの空間全体を見渡したまま動かなかった。楓が光の球に鑑定をかけ続けていた。瑠奈が魔力の流れを感じ取りながら黙っていた。
それぞれが、この光景を受け止めようとしていた。
受け止めきれるものではなかった。でも受け止めるしかなかった。
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澪は息を吐いた。
ここで立ち止まっている時間はなかった。先生の力が保つ時間は限られていた。衝撃を受け止めながら、同時に次を考えなければならなかった。
「零司、行きましょう。時間がない」
零司が澪を見た。
「……ああ」
頷いた。
四人は前へ進んだ。




