晩御飯の後に
おひさしぶりです、リアルが忙しすぎて放置しすぎました。
一応、大体の流れを構成したのでぽつぽつ更新していきます。
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。量は足りましたでしょうか?」
「ああ、十分だった、ありがとう」
「なによりです。しかしご主人様、若い頃より~のようなことを言っていたわりには、結構な量を召し上がっていたかと」
「そう?」
「ええ。お米の量、1.5合程をぺろりでしたよ」
「え、そんなに食べたかあ。金無かった頃は米の量で補っていたことはあったけど、時間を金で買うようになってからは米を炊かなくなったしなあ。お前の作った晩御飯が美味かったからご飯もすすんだんだろうな」
「恐悦至極に存じて奉り。…いえ本当、とてつもない殺し文句ですね」
「はん?」
「年頃の女子でしたらイチコロでしたよ」
「イチコロて。なんだそりゃ。でも本当、美味い白身の南蛮漬けだった、短時間で作った割にはめちゃくちゃ美味かった」
「時間に関しては手際などもありますからね、あとは慣れと、経験でしょうか」
「ふーん?」
「ご主人様の好みは大体把握してますからね、それにご主人様の体調など加味すれば、味付けに関してはそれなり好みのものが作れますよ」
「すげーな、プロの料理人みたいだ」
「本職の方々に失礼ですよ…喜んで頂けたのなら幸いです」
「ん。ああ、片付けくらいはやるって、そんくらいはさせてくれよ」
「いえ、ご主人様のお世話をさせて頂くのはわたしの喜びであり幸福なのです。まさか、ご主人様はわたしからそれを奪おうというのですか?」
「いや重い」
「わたしの想いは重いのです」
「唐突にしょうもない」
「晩酌もされないのでしたら後はご就寝までゆっくりされて下さい。でも寝る前に動画閲覧などは控えてくださいね、就寝前のブルーライトは健康に悪いのです。あ、その前に歯磨きしてくださいね」
「母ちゃんかよ」
「元犬です」
「ったく、本当頑固な。つーかお前もバイトで疲れてるだろ」
「えーと、率直な意見としては、十代後半と三十代前半とでは疲労に関しては大きく変わるものがあるかと」
「・・・まあ確かに、寝ても疲れがとれねえな、って思うようにはなっちまったけど・・・いやまだ三十って若くない?」
「犬ならばほぼ確実に魂を還しているかと」
「いや比較対象と表現。詩人か」
「どちらにせよ、わたしにとってはこの形が望ましいので」
「そーかい、じゃまあ、お言葉に甘えるかね」
「時にご主人様、先ほどの三十代云々のお話ですが」
「何を掘り下げようってんだ」
「その年にもなって、良い方はいらっしゃらないんですか?」
「おいなんでいきなり刺してきた?」
「いえ、純粋に疑問に思ったまでなのですが」
「十代の三十代に対する判定こわい・・・あのな」
「はい」
「俺もお前くらいの頃は、三十になる頃には結婚くらいはしてて、なんなら子供もいるくらいだろうなと思ってたよ」
「はい」
「むしろ、二十越えたら大人になるもんだと思ってた」
「はい」
「だけどな、ただ年をとるだけで、勝手に大人になんてならないんだよ…変えよう、大人になろう、なんて意識して実行しないと、思い描いた大人になんて絶対にならないんだよ」
「金言ですねえ」
「なんかそのあたりお前は達観してるの腹立つなあ」
「まあわたしには、人として生を受けたときにできた、ご主人様に奉仕するという確固とした目的がありましたので、精神的な成長のための土台が出来ていたということでしょうか」
「だから重いって」
「元犬の価値観としてはそう大したものではないんですけれどもね」
「本当かそれ?」
「少なくとも、わたしにとってはそうでしたよ。わたしがご主人様をご主人様と認めた日から、わたしの世界はご主人様を中心に回っているのですから」
「俺自身がそう大したものじゃねえよ・・・そんな価値のある人間じゃねえって」
「そこは否定させて頂きます。ご主人様ほどすばらしい人間はおりません。さしあたっては、ご主人様が魂を還されるその日まで、お側にいることをお許しください」
「なにこれプロポーズ?」
「そう受け取っていただいても良いですよ」
「軽々しく受け取れねえ・・・」
「まあ、考える時間はいくらでもありますから」
「・・・あれ?これ暗に俺にそういう相手はしばらくいないだろって思われてる?」
「ははは」
「そこもちゃんと否定しろよ!!」
定期的に投稿できるか微妙なところですが、ゆるりとお待ち頂ければ、と。