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両親は悪役貴族、娘の私は悪役令嬢…よね?  作者: 葦原 さくら
第五章
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閑話 私の心

私の主であるクラウス様が、ご婚約された。

この国の未来を担う責任がある事から、隣国の王女や、貴族のご令嬢から選ばれる事となった。

勿論、公爵・侯爵家から選ばれるのは聞いていた。

国王様がお選びになる事もわかっていた。

わかってはいたけれど、まさか……ルーテシア家のご令嬢だとは。

クラウス様が嫌がっていた婚約を受け入れたのは、ルーテシア公爵家のアリス様とご対面されたあの日から。

あの良い噂を聞かないルーテシア家のご令嬢との婚約は、歓迎されてはいなかった。

王妃様も、最初こそ乗り気ではなかったものの、アリス様とご対面なさってからは静観なさっているご様子。

表立って誰も反対する事はないが、内心では思う所があるのだろう。

噂話ではあるにしろ、こんな話を小耳にはさんだ。

“あの娘では、この国の未来はどうなる事か”、と言うものだった。

黒い噂が絶えないルーテシア家との婚約は、誰からも祝福されない。

城に出入りしている者は、そう思っているだろう。

けど、兵士や私の弟はそう言った反応ではなかった。


「アリス様はとても良い子ですよ。兄上も話してみては如何ですか?」


話す? 私が? アリス様と?

アインハルトが言いたいのは、貴族からの評判が悪いだけであって、ルーテシア家…ましてやアリス様は噂通りの娘じゃないと?

そう私に言いたいのか?


「…………」


「兄上は素直じゃないですよね。子供好きなのに、噂が噂だからか…アリス様相手に素直になれない。そんなに冷たい態度のままでは、アリス様に嫌われてしまいますよ?…兄上を嫌いにならないでほしいと、アリス様に話した事はあるけど」


そっそんな事はない、私が子供好きだと言う事は。

そんな事は…決して…、ない…のだから…。


「兄上。ご令嬢やご子息の集まったパーティーの中で、アリス様に釘付けになった事があったのをお忘れですか?」


ぐっ…。 そんな事も、確かにあった。

まだクラウス様に付き従って間もない頃…、父に連れられた貴族主催のパーティー。

談笑している大人たち、お茶を楽しんでいる子供たち。

そんな中、壁に背中を預けて立っている少女が居た。

人形と見紛う容姿の、とても可愛らしい…。

父に少女の事を尋ねると、ルーテシア家のアリス嬢だと教えられた。

噂を聞いていたから、それ以降は気にも止めなくなったが…。

城で再会を果たすとは私も思わなかった。

素直になれるなら、最初からしている。

そうしないのは、私の意思なのだから。

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