可愛い妹02
お城へ向かっている最中、外が騒がしい。
なにかあるといけないからと、アンリに一緒に乗って貰って正解だった。
何処の者に雇われたかはわからないけど、アサシンが二人…見事に倒れている。
倒したのは、一緒に乗って居たアーノルド。
家の執事とメイドは、その辺のアサシンなんかより強いわよ!!
なんて、大きな声で言えたらどんなに楽か。
「…何処の者か、吐かせてから処理してちょうだいね。アーノルド、後は任せるわ。アンリ、御者に言って城まで走らせて。何事もなかったように振る舞う事」
「畏まりました。…お嬢様が本当に五歳なのか、疑いたくなりました」
アーノルドに言われて、良い笑顔で返す。だって、私にそんな事言うの、居ないじゃない?
「私は五歳になったばかりよ。…そうね、私は悪役令嬢になりたいの。こんな事で怖がっていられないわ。お父様を悪役貴族だと罵る愚か者は、私がいつか処理してあげるんだから」
私の台詞にアンリは苦笑を浮かべるだけだった。
ふふっ、私はお父様やお母様を悪く言う貴族は許さないの。
お兄様たちもそう、使用人たちも悪く言われたくないのよね。
公爵令嬢としての権力は、傲慢にならない程度で使わなければ。
…とは言っても、悪役令嬢ならば、我儘放題でもどうとでも…。
…待てよ、悪役令嬢の末路は悪い方にしか傾かない。
となれば、どう対処したら…。
「お嬢様、付きました」
アンリの言葉に現実に呼び戻され、お城に入っていく。
従者とアンリには馬車で待機して貰い、クラウス様付きの執事に案内して貰う。
「初めまして、ではないけれど。ちゃんと挨拶はした事なかったわね。知っていると思うけど、私はルーテシア家長女のアリス=ド=ルーテシア。貴方、お名前はなんと仰るの?」
「お久し振りです、アリス様。クラウス様付きの執事、フリードリッヒと申します。以後、お見知り置き下さいませ」
そうそう、フリードだ。
クラウス様がそう呼んでいらした。
執事服を着こなしているこの青年は、佇まいも長年執事として努めているようで。
笑顔で私を見ているけれど、目が笑っていない。
…私、フリードリッヒに会うのは二回目の筈だけど。
何故、そんな目で見られるのか。
「フリード、お前は下がって良い。僕がアリスを連れていくから」
「宜しいのですか?クラウス様」
「くどい。さっ、アリス。行こう」
…なんだろう、クラウス様とフリードリッヒの関係が悪くなってる…?
まさか、そんな筈は…。
…お父様の噂のせい…?




