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「君の行動にはもううんざりだ!」
華やかな学園の舞踏会。
大きな声が響き、演奏者は思わずその手を止めた。会場内が静まりかえり、三人に注目が集まる。
「ヴィンセント様、私の何がだめなのですか?! はっきりおっしゃってください!」
凛とした声で、この国の第一王子ヴィンセントに反論したのは、婚約者のエレノアだった。
ヴィンセントは輝くような気品を持つ、美しい王子だ。金髪に碧眼。ずらりと背も高く、国中の女性の憧れの的である。
そのヴィンセントの隣に立っていたイザベラが震える。
小うさぎのように愛らしいイザベラは、長いまつげをそっと伏せる。
二人が並んでいると、まるで宗教画のように美しい。
それに比べ、エレノアなど、自慢できるものは長年大切に腰まで伸ばしている艷やかな髪のみである。
それも赤みがかかっていて、特別美しい色ではない。
ヴィンセントはイザベラをそっとかばい、エレノアを睨む。
「確かに君の言動は正しいのかもしれない。
だけど、常に君には優しさが感じられない。君は人の欠点を責めてばかりだ。
君の言動が僕の耳に入っていないと思っているのか!」
エレノアは驚いてヴィンセントを見る。
「ヴィンセント様……エレノア様は間違っておりません。全て私が悪かったのです……」
そんなイザベラをヴィンセントは愛おしそうに見つめた。
「君はなんて優しいんだ。あれだけのことを言われて、まだエレノアをかばうなんて」
「そんな、私は……」
なんて見え透いた行動。エレノアはイザベラを冷たく見た。
しかし、イザベラはエレノアの視線など気にも止めず、涙を浮かべながらヴィンセントの影に隠れる。
「ヴィンセント様、イザベラさんの言葉よりも、まずは事実に基づいたご判断を!」
「いまさら何を?
そもそも、君との婚約だって、王と王妃が決めたことだ。
僕にだって意思はある。全てが君の思い通りになるなんて思わないことだ。
そしてイザベラを責め立てるような君のことを、僕が好きになることは絶対にない!」
エレノアの顔色が変わる。
そんなエレノアを見て、イザベラとその取り巻きたちは、薄ら笑いを浮かべた。
「そして君との婚約は破棄する!」
そのヴィンセントの言葉にエレノアの頭は真っ白になって立ち尽くした。
そんなエレノアには見向きもせず、王子はイザベラを大切にかばいながら、奥の部屋へと消えて行った。
残ったエレノアに聞こえてくるのは、嘲笑ばかり。エレノアはたまらなくなって、会場から逃げ出した。
舞踏会の会場から出ると、優秀な御者がすでにエレノアを待ってくれていた。それに駆け込むとエレノアは少し落ち着きを取り戻した。
馬車は心地のよいリズムで進み出す。
エレノアは馬車の中で、おおよそ令嬢とは思えない姿で頭を抱えた。
やってしまった……。
こんな日がいつか来るのではないかとは、薄々予想はしていた。だけどよりにもよって、舞踏会で宣言されるとは思っても見なかった。
エレノアの話は学園に留まらず、恐ろしい速さで国中に広まってしまうだろう。
そんなことになれば、学園はおろか、社交界への復帰も難しくなるはずだ。
しかしさすがに王子があそこまで子供だとは思っても見なかったけれど。
由緒正しい三大公爵家の娘を笑いものにしたのだ。すなわち、アルディス家の面子を潰したことになる。
一つ間違えれば取り返しのつかない問題になることも、あの王子はわかっていないのだろう。
まあ、私には関係ないけど。
婚約破棄と言う不名誉な宣言をされたにもかかわらず、エレノアは驚くほど落ち着いていた。
それどころか、身も心も軽くなっていた。
心を縛り付けてきた使命感という鎖から、晴れて解放されたのだ。
そして胸に手を当てて、小さなエレノアにそっと謝る。
ごめんなさいね。あなたの夢は叶えられそうにないわ。
それでも六年間、慣れない生活に耐えてきたのは、ひとえに小さなエレノアの初恋を成就させるためだった。
だけどこういう展開になったのなら、仕方がない。
これからは、好きに生きていこうじゃないの。
神崎遥の人生は、ここがスタートなのだから。
新しい作品を描いてみました。女の子が主人公と、くすりと笑えるストーリーを目指して頑張ります。
応援、よろしくお願いします。
※本作品は、ChatGPTなどのAIを補助ツールとして活用し、誤字脱字の確認や文章表現の整理を行っています。世界観・設定・ストーリー・登場人物はすべて作者によるオリジナルです。
※本作品は「カクヨム」と「小説家になろう」で同時連載しています。掲載内容は基本的に同一ですが、更新日時が前後する場合があります。




