6.ざわつき
授業中もずっと雨宮さんの事を考えて、からかわれてるんだったら……いや、本当に……でも、こんな私を好きになってくれる人なんて……そんな堂々巡りを繰り返し、あっという間に昼休みに。
雨宮さんは二人の友達らしき人に誘われて教室を出て行ったので、私はいつもの場所に行こうとお弁当を持ち、靴箱で上靴を履き替えて、旧校舎まで歩いていると、雨宮さんが二人の友達と一緒にいる所を目撃して、私は思わず隠れその会話を聞いてしまう。
「なぁ、綾。朝、誰かと手繋いで来てたけど彼女?」
「えっ、本当?」
「さー、どうだろうねー」
雨宮さんの言葉に私はなんだか心がざわついて、思わずスカートをぎゅっと掴む。
やっぱりからかわれたんだ。そうだよ、あんなキラキラしている人と私が付き合ってるだなんて、あり得ない。
私は下を向いて、その場を離れようとするけど、体に力が入らず隠れ続ける。
「なんだよ。まあ、彼女にしても友達にしても、綾には似合ってないなとは思ったけどな。下向いてて暗そうで、ボッチみた……」
「由依。それ以上言ったら怒るよ?」
「ご、ごめん!」
雨宮さんの低い声と焦ったような謝罪。私は雨宮さん達が消えるまで隠れ、少しだけ力が入るようになった足で、いつもの場所へと向かった。
◆
……やっぱりここは誰もいなくて、落ち着ける。
心の中のざわつきが静まり、私は座ってお弁当を食べ始める。
昨日ここで雨宮さんに……もう、やめようって。
私はすぐに頭を振って思い出すのをやめる。
嫌な事を考え続けるのは、ただただ自分が苦しくなるだけだと知っているので、楽しい事を考えようと、スマホでアニメやゲームの最新情報を見ながらお弁当を食べ、私はいつものように暇になる。
でも、なんだか今日は何もやる気が湧かず私はため息を吐きながらスマホで好きな曲を流して、気分を紛らわせる。
次第に時間が流れ教室へ帰ろうとした時、昨日演劇部の台本を落した事を今更思い出して、演劇部に届けようと少し探すけれど、どこにもなく首を傾げていると、
「わおっ、人がいるなんて」
後ろから、一度だけ聞いたことのある声が聞こえて肩をビクッとさせながら振り返ると、先程雨宮さんと一緒にいた人で……
「何か探し物?」
優しい笑みを浮かべながら、柔らかい声で私に話しかけて来た。
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