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4.暖かくて大きな手

 

「春ももう終わりだね」


 雨宮さんが、青い葉っぱが出だした桜の木を見ながらそんな事を言う。


「あっ、そ、ほ、本当、ですね……」


 私は手を握られている恥ずかしさから、あまり頭が回らず盛大に言葉に詰りながら返すと、雨宮さんは微笑みながら、


「とっても可愛いね、夢依ちゃん」


 からかっているのかマジなのか分からない声色でそんな事を言ってきて、私は顔を真っ赤にして下を向く。


「あらら、やり過ぎちゃったかな?」


 校門を出てからも私は恥ずかしさで下を向き、雨宮さんに導かれるまま歩いていると、


「ねぇ、夢依ちゃん。こっち向いてよ」


 甘えるように雨宮さんに手を引っ張られて、私はなんとか力を振り絞って顔を上げると、


「ふふっ、夢依ちゃん。私の家来ない?」


 何故かいきなり家に誘われて、私はあたふたしながら、


「い、いえ、大丈夫です。迷惑……かけますし」


 雨宮さんの誘いを断ると、唇を尖らせてそっぽを向きながらムスッと言われる。


「そう……つまんないな」


 その言葉に私は何を返せばいいのか分からず、無意識に雨宮さんの手をぎゅっと更に握ると、雨宮さんは少し目を見開きながらこちらをじっと見たあと、不意に笑って言う。


「夢依ちゃん。なら、連絡先交換しようって言ったら、してくれる?」


「あっ、はい!」


 雨宮さんの笑みに安心しながら大きめに頷くと、お互いにスマホを取り出して交換する。


「これでいつでも話せるね」


「あっ、はい……」


 始めて登録された友達に、私はなんとも言えない感動を覚えていると、いきなり雨宮さんから、


『もしかして、嫌だった?』


 私が感動していて素っ気ない返事をしたからか、確認するようなメッセージが来る。


 私はそれに慌てて文字を打ち、メッセージを返す。


『そんな事ないです。すごく嬉しいです!ありがとうございます!』


「良かった……夢依ちゃん、寂しい時電話しても良い?」


「えっーと……ちゃ、ちゃんと話せるかは分かりませんけど、いい……ですよ」


「ありがとう、夢依ちゃん」


 こんなに明るくて、友達もきっと沢山いる陽の人でも寂しい時があるんだと少し驚きながらも、安心したような雨宮さんのお礼に私も笑みが少し溢れる。


 それからすぐ、私と雨宮さんはお互いに別々の道へと別れ家へと帰った。


 なんだか久しぶりに人と喋って頬が痛い。でもそれ以上に、雨宮さんと繋いでいた手が自由になって少しだけ寂しく感じた。

面白い、続きが読みたい、そう思った方はぜひブックマーク!それと、

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