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第14話 暇つぶし


「ユウゲンさん!」


「はは、呼び出されちゃいました」


 ユウゲンさんが、バツが悪そうに笑う。

 

「サジーさん、どういう事?」


 腰に手を回して笑うサジーさん。


「いや、いや。スーパーヒーローくんは自信ありそうだったけどさ、二の矢三の矢は必要かと思って、うん。一応ユウゲンくんに声をかけてみたんだけど、正解だったみたいだね、うん」


「自分はルーレットが得意なんで、フレンドのチカラになってほしいと言われまして」


 なるほど。


「その前にさ、カジノの管理をしてるキューダ・ゲス・ネカジャノくんに今回の件を話してくるよ、うん。もちろん《神霊薬》の使い道は伏せてね。ミーたち以外の人が先に手に入れても困るしさ、イカサマをお願いするんじゃあないよ? ただわざわざ貴重な景品を出したのはワケがあるだろうし、その辺を考慮しないでいきなり《神霊薬》をもらっちゃうとカドが立つからね、うん」


 根回しってヤツか。

 同じ都市に住む貴族同士、関係の悪化は良くないんだろうね。

 でもその日の内に目玉景品を取れる自信があるのか。

 

「それで……」


 サジーさんがシソーヌ姫を見る。


「シソーガール。ユーにも付いてきてほしいんだ」


 ガールがキョトンとする。


「いいですけど……、なんで?」

 

「さっきアポイントを取った時に言われたんだけどさ、うん。どうも感づいているみたいだねぇ。大聖王国の商会のご令嬢と顔つなぎをしたいから、仲介してもらえませんかってさ、うん。流石にメサルテに来た理由までは知らないと思うけどさ」


「……なんでバレたのかな?」


 シソーヌ姫が俺たちを振り返りながら訝し気にする。

 なんでだろうね、見た目かな?

 金髪ロングの美少女なんて特徴ありまくりだし、変装もしてないもん。


「ミーの眷属からではないみたいだよ。やましい感情があるとすぐ伝わってくるからさ、うん。キューダ・ゲス・ネカジャノくんは今や大貴族だからね、きっと独自の情報網があるんだろうさ、うん」


 感情が伝わるって、プライバシーもクソもないね。


「まあいっか、人脈づくり人脈づくり。平和になったからお忍びで観光してますって言えばいいでしょ。身分を下手に隠すと、いざというときに頼れないしね」


 気持ちを切り替えて、行く気まんまんのシソーヌ姫。

 ネカジャノくんは今カジノの管理室にいるからって、サジーさんは馬車を駐車場に止めてきたフリードリッヒさんと、シソーヌ姫たちを連れて関係者用みたいな入り口に入っていった。

 シソーヌ姫のお供はアルマとアルセーヌさん、それにソレガシの旦那だ。

 アルマとアルセーヌさんはシソーヌ姫の護衛と執事だから当然だけど、ソレガシの旦那が一緒なのはデカくて立派な鎧を着てるから、侮れないようにするのにいいだろうって。


 着てないけどね。

 鎧そのものだけどね。


 ゾロゾロ行くのも良くないからって言われた俺たち。

 元祖地球組の俺とマキマキとアグー。

 それとユウゲンさんは留守番だ。


「どんくらいで帰ってくるかな? すぐ終わんねえよな?」


「どうぢゃろうな? どうせカジノにはまた入るしの、下見も兼ねてワシらも見てくるかマキマキ」


「アタシまだ15歳なんだけど……入場制限とかないのかな?」


「大丈夫ですよ。清潔な恰好をしていて、入場料さえ払えば誰でも入れます。実はサジーさんから、先に自分の腕前を見せておくといいよって言われてるんです。やり過ぎない程度にですけど」


 お、いいね。

 雑談しながら噴水からカジノに向かう。

 

「カブラギさんはもう何にもやっちゃダメですからね」


「もう金がねえよ……でも大丈夫。俺は見てるだけで楽しめるという特殊能力があるんだ」


「わーすごーい」


「はは、確かにゲームって見てるだけでも楽しいですよね」


「? ユウゲン殿は何度か足を運んでおるのかの?」


「あ、そうですね。商人としてやっぱり色んな場所に出入りしないと」




 入場手続きを済ませてカジノに入ると、キンキラキンで賑やか。

 角の生えた貴族っぽい人や、獣耳の生えた皮鎧の男の人。宝石をジャラジャラ付けたリザードマンの人や、ヌメヌメした人型で顔のない種族もいる。


 入場料は銀貨一枚。

 俺は一度入るときに払ってるからナシ。

 入り口の担当スタッフがその日の入場者を魔導具で記録してるからだ。

 

 アグーも一枚払ってた。

 「テイムしている魔獣でしょうか?」ってマキマキが聞かれて「ワシは妖精ですぢゃ」と答えるアグーにスタッフが目を剥いてた。


 色んなテーブルをスルーして向かう先に景品コーナーがある。

 ガラス張りの棚が、高い天井まで伸びて壮観だ。


「色んなモンがあるね」


「カブラギさん、さっき見なかったんですか?」


「見てない。ゲームしかしてない」


「このヒトは……」


 剣や弓矢なんて武器もあるし、盾とか鎧も飾ってある。

 どうやって使うか全くわからん魔導具も多い。

 その中で、一番真ん中の大きなスペースにキレイな小瓶が座布団みたいなもんの上に置いてある。


「アレが《神霊薬》か?」


「そうでしょうね。あのスペースだけ特にケージの透明金属クリアメタルが分厚いです。多分、魔素妨害の効果も付与してあるんじゃないですかね」


 ユウゲンさんがそう言って見上げていた首を戻す。


「棚の下にズラッと並んでいるゴーレムは特別製ですよ。ハイウーツ鋼で作成された超高級品ですね。一体で白金貨10枚くらいだそうです」


 それいくら?

 アグーに視線をやる。


「だいたい一億円くらいぢゃろうな」


 スゲーーーー!!


 えっと……。


「一億二億三億四億……」


「ちょっとカブラギさん! 恥ずかしい! ホント恥ずかしい!」


 指差しながらゴーレムを数える俺をマキマキが制してくる。

 おっとっと、俺としたことが少々お行儀が悪かったな……。


「20お……20体もある。そんだけ景品に価値があるって事か」


「あのゴーレム一体でAAAトリプルエー級の冒険者並みに戦闘力があります。アレを飾ってあるだけでもメサルテの防衛力の凄さが伝わりますね」


 ユウゲンさんが踵を返した。


「それじゃ、ルーレットの方に行きましょうか」





 

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