表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/191

第7話 魔防都市メサルテ


 着いた!

 魔防都市メサルテに着いたぜ!


 うおお!

 空飛ぶ船!

 デカい塔!

 キラキラした建物!

 派手な服着た人がいっぱい!


「都会だな!!」


「田舎者まる出しですよカブラギさん」


 ウキウキする俺に冷や水をぶっかけてくるマキマキ。

 俺は元々田舎モンだからな。

 なんかフワフワしちゃう。


「サンジェルマン卿との面会は明日に取り付けました。私は宿を確認してまいりますので、しばしあちらの店にてお待ちくださいませ」


 アルセーヌさんは馬車を預けるとそう言い残し、すぐさま人ごみに姿を消した。

 仕事が早いね。

 促された先には上品そうなレストランがあった。

 入り口では蝶ネクタイをつけた、角のある紳士が扉を開けてお客さんを招き入れている。


 ふふん。

 俺たちには丁度いいグレードの店じゃねえか。


「大丈夫ですかね? アタシたち結構な人数ですけど。お席空いてますかね?」


 マキマキが不安そうな声を出す。

 確かに。

 俺とマキマキ、シソーヌ姫とアルマにソレガシの旦那とアグー。

 聖王国組が計6人(獣含む)。

 メイ姫たちも6人。

 合計12人もいる。


「それにああいう店って、ドレスコードとか予約必須とかあるんじゃねえのかな?」


 俺もマキマキに同調すると、角のあるさっきの紳士が近づいてきた。


「シソーお嬢様にマルマリ子爵家御一行さまですね? お待ちしておりました。個室を用意しております、どうぞ店内へ」


「……いつの間に?」


「アルセーヌ殿が手を回したんぢゃろう。恐ろしい手並みぢゃな」


 ぼそっと呟いた俺にアグーが感心した声を出した。

 みんなで店内に案内されて、そのまま奥に通される。


 デカいシャンデリアが高い天井に吊るされ、ステージ上では楽団がゆったりとした音楽を演奏していた。

 二階席では上品な紳士たちがそれを聞きつつ、グラスを傾けている。

 給仕の人たちは男女みんな蝶ネクタイ。

 

 ドン引き。


「変わった音楽だな。ふむ、悪くない」


「旦那立ち止まんないで、置いてかれちまうよ」

 

 デカい図体が通路で止まってたら通行の邪魔だ。


「カブラギさん。なんか映画の世界みたいですね」


 マキマキが小声で話しかけてくる。

 何言ってんだ今更、映画みたいな人生送ってるクセに。


「美味そうなモンを食っとるのう……。ありゃケバブぢゃないか?」


 食いモンの事ばっかだなこのじいさん。


 みんな浮足だってんな。

 その点シソーヌ姫とアルマは王族とその護衛なだけあるわ。

 しゃんと歩いて案内について行っている。


 手をつないで。


 緊張した時シソーヌ姫はあーするんだよ……。

 マトモなのは俺ぐらいか。


「マトモなのは俺ぐらいか」


「一番キョロキョロしてるヒトがよく言いますね……」


 声に出てた!


「あー……これはアレだよ。知らない場所に来たら周囲の警戒、これヒーローの鉄則」


「ハイハイ」


 マキマキを上手く誤魔化してるうちに部屋へ通された。


 アラビア風のタペストリーが壁に掛けられた広い部屋だ。

 大きな大理石の長机に背もたれ付きの椅子がズラリ。

 あとグラスが人数分と透き通った水入りのピッチャー、中には輪切りのレモンがぷかぷかしている。


「コース料理をお持ちいたします。個室ですのでマナーなどはお気になさらず、お楽しみくださいませ」


 案内役の人が頭を下げると音も無く扉を閉めた。

 なんか、この非日常感はアレだな。

 テンション上がるな!


「俺こういうのテンション上がる!」


「しぃ! カブラギさん! おっきい声出しちゃダメ!」


 マキマキに怒られた。


「うふふ、では席に着きましょうか。ソマリ、皆さんのグラスを」


「ハッ」


 ソマリさんが目配せすると若い魔人族さんが2人、ピッチャーの水をグラスに注ぎ始めた。


「ああ、いいのに。自分らでやるよ」


「まぁまぁ。皆さまにはお世話になりっぱなしですもの」


 まぁ、厚意を無下にしちゃ良くないね。


「ありがとうございます皆さん。ありがとうメイちゃん」


「ふふ、こちらこそお礼を言わせて頂きますわ。トラブルはあったものの、無事ご先祖様の土地を開拓できそうですし。特に周辺の魔獣を討伐していただいたのは助かりました。グランドキマイラやマンティコアロード、それに数百のゴブリンなんてマルマリ家のチカラだけでは解決できませんでしたわ」


 成り行きとはいえ助けになったんなら良かった。

 

「お嬢様も大活躍でしたね。悲鳴を上げる様子が素敵でした」


「ありがとーね! だってあんな魔物初めて見たんだもん。スリル満点だったけどね」


 アルマが引いた椅子にシソーヌ姫も座る。

 それを見届けると魔人族組も席に着いていった。


「先ずは乾杯致しましょう。無事に魔防都市まで着いた事を祝して」


 メイ姫の言葉に全員グラスを上げる。

 アグー以外。


「乾杯!」


 みんなでグラスを掲げた。

 ソレガシの旦那はすぐさまグラスを空にして「酒ではないのか……」って呟いてるけど無視だ。

 その後は運ばれる食事を楽しんだ。


 トマトやらキュウリやらの夏野菜をオリーブオイルらしきモノで和えたサラダ。

 柑橘系の果実を振ってあるみたいでサッパリしていた。


 ペースト状の豆とマヨネーズを混ぜたソースにモッチリしたパンを付ける料理。

 ゴマの風味も混ざって頬張る度に食欲が増す。


 一口サイズに丸めたヤギのチーズ。

 舌に残る濃厚さに、とうとう俺もワインに手を出した。


 ニンニクを溶かしたトマトスープ。美味い。

 葉野菜を刻んで生魚の切り身と混ぜ込んだもの。美味い。

 ケバブみたいなスパイシー肉料理。美味い。

 スポンジ状のチーズケーキにヨーグルトが掛かったデザート。美味くない訳がない。


 会話もモチロン楽しんだ。

 酒が入ったメイ姫は抱き着いてくるし。

 アルマが「カブラギ殿の身体には毒が塗ってあります!」とか言いながらそれを引きはがすし。

 マキマキはまた若い魔人族2人に煽てられてテレテレしてるし。

 シソーヌ姫はアグーをこねくり回しながら「手触りがいいの! メイちゃん触ってみて!」って叫んでるし。

 ソレガシの旦那はソマリさんと中年の魔人族2人と酒を飲みながら料理の話をワイワイ喋ってるし。

 

 込み入った話とか一切しないのね、この人たち。

 カオスだわぁ。


大陸の西側は魔王軍が来てないので余裕ありますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリックして応援してね↓
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ