表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/191

エピローグ


 俺たちは、侯国の大軍が去っていくのを見ていた。


 関所の城壁の上には、俺とマキマキ、アグーにシソーヌ姫、アルマとソレガシの旦那がいる。

 もちろん他にも兵隊さんはいるし、物見塔では魔術師ゴリンさんが警戒してくれてはいるけど、固まってるのは6人だ。


 カンミっちは何人かと、ドウブっちゃん達を迎えに行く準備をしてる。

 アベイル隊長は、ウインスさんや文官のカオッツさんの三人で、護衛をつけてガドニアの人質組と会議室だ。

 国都から偉い人達が来る前に話をまとめとくんだと。

 親父さんはまだ意識が混濁してて、文官のマログさんと関所の医療班が治療中だ。

 関所の下では、ガドニア候王二世の焦げた遺体を特使団のうちの騎士さん3人が囲んで、《鎮魂の儀》をしている。

 俺たちは、それを眺めてた。


「結局、何だったんだろうな……」


 俺が城壁のへりに肘をついて呟くと、シソーヌ姫が答える。


「ガドニア侯国は、アークガド聖王8世の時代に出来た国なの。聖王8世のお兄さまは聖騎士としての能力はすごく高かったけど、政治が嫌いで、優秀な文官を幾人か連れて大嶮山を越えた場所に、関門と隣国との緩衝地を作ったんだって」


 暗い表情で続ける。


「ガドニア候王二世は、凄く頭が良かったって聞いた事がある。小さい頃からオウゴン教の教義とか政治書を幾つも暗唱出来たから、将来を期待されてたって。でも在位数年で行方不明になったから、候王三世は弟君が継いだって。昔話にもなってるんだよ? 候王二世は神様に見出されて、今も神のシモベとして、この大陸を見守っているのですって……」


 なんだよそりゃ……。

 やるせなさすぎるだろ。


 ガドニア候王二世が、なんでボーニア伯爵と名乗るようになったのか。

 どうして聖王国を手に入れて、覇王なんてモンになりたかったのか。

 もう推測しかできない。


「ソレガシの旦那、あのチョーロクってのは何モンだったんだ?」


 旦那がゴツイ鎧を白く光らせて、腕を組む。


「分からん。分からんが、恐らくはヤツも異界人であったのだろう」


 まじで?

 アグーが口を挟む。


「ワシもそう考えておった。ヤツは地球のことわざ……故事を口にしておったしの」


「我が祖国で、チョーロクとは偽名として知られた名だ」


 結局ナゾはナゾのままか。

 なんかソーセージのカゴとかなんとか言ってたけど。

 暗号?


 俺が頭を捻ってると、ガシャッと音がした。

 ソレガシの旦那が、マキマキに跪いてる。


「え!? え!?」


 マキマキが後ずさる。


「某は貴女様に救われた。この新たな忠義、どうかお受け取り下さい」


「ちょ! 困ります! え~……カブラギさん何とか言ってくださいよぅ」


 ハハッ、ウケる。


「ハハッ、ウケる」


「ウケないウケない! 半分はカブラギさんのせいでしょ!」


 そうかな? 違くない?


「まぁ旦那、あんまり困らせないでやってくれよ。そうだ、トモダチ・・・・ってのはどう? マキマキ友達いないんだろ?」


 マキマキが眉毛を吊り上げる。


「し! しつれいな! いますよ!」


 シソーヌ姫にぎゅっと抱き着く。


「ね! シーちゃん!」


 暗い顔してたシソーヌ姫が驚いた顔をして、不意に笑いだした。


「アハハハ! ……マキマキ重い~」


「え!? 人として? 体重? イヤどっちもヤだけど!」


 アグーがふわふわと俺たちの上を飛び回る。


「ハッハ! やったのマキマキ、友達が増えたぞい。ソレガシ殿、ワシは妖精アグー。マキマキの保護者ぢゃ! 宜しくのう!」


 雰囲気が明るくなった。

 嬉しい。


 ソレガシのおっさんが立ち上がり、ガシャンと鎧を鳴らして腰に手をやる。


「某は《忠》の生き方しか知らぬが……。ふっふ、友人とはな。それも新しい生き方か。では、今後とも宜しく頼み申す。マキマキ殿」


 シソーヌ姫に抱き着いたまま、大きく溜息を吐くマキマキ。


「はぁ……アタシはもうマキマキなのね」


 仮面の下でニコニコしてると、視線を落としたアルマが目に留まる。

 なんか暗いな。

 談笑してるみんなを尻目にコソコソ近づき、肩を組む。


「おぅい、暗いじゃねえかアルマ。どした? ハラ痛い?」


 びくりと肩を震わせるアルマ。


「カ! カブラギ殿! 私は……貴方に、あ、あやまり、たい……」


「なんで? あ、背中? もう痛くねえよ、気にすんなって」


 アルマは瞳を伏せる。


「貴方が、ケモノの姿に……なった時に……」


 やっぱそっちか。


「いーっていーって、気にすんなって。あんなんがはっちゃけてたら誰でもああなるって。な!」


 俺が肩をバンバン叩くと、面白いくらい揺れる。


「しかし――」


「あーー!! イチャイチャしてる!!」


 シソーヌ姫が俺たちを指さす。


「はぁ!? 違いますー、健闘を称えあってたんですー。な! アルマ!」


 アルマと肩を組んでおどけて見せる。

 何も言わないアルマ。


「「「違わない」」」


 うおぉ……マキマキとアグーとシソーヌ姫が声を合わせた。


「そういうトコですよ」


「そういうトコぢゃぞカブラギ殿」


「そういうトコだぞぅカブラギぃ」


 だからどういうトコなのよ。

 鎧のお化けだから表情分かんねえけど、ソレガシの旦那も笑ってるっぽいし。


 お、アルマも笑った。

 翠色の瞳を細めて、フッと口を綻ばせた。


「アスガイアーカブラギ殿よ。気苦労が絶えそうにないな」


 優しい声で、ソレガシの旦那が気遣ってくれる。

 いや、旦那も旦那で大変だろうに。




「まぁいいさ。ヘーキヘーキ、俺はスーパーヒーローだからな」





一旦区切りとなります。

再開は11月過ぎを予定していますので宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリックして応援してね↓
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ